『イナズマイレブンGOギャラクシー』第26話「目覚めよ!俺のダークサイド!!」の感想 【瞬木のソウル発動!】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第26話「目覚めよ!俺のダークサイド!!」を観ての感想を書く。前回で他人を信用しないというその心の闇の理由が描かれた副主人公、その彼がダークな心をそのままにしてソウルのパワーに目覚める! 新たなヒーローはダークヒーローだ!



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第25話「瞬木隼人の闇!」の感想 【ポワイちゃんとヒラリちゃんサイドを応援してしまうという】
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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦2回戦の舞台【惑星サザナーラ】で野試合のサッカーバトルを挑まれ、敗北してしまう。

 天馬たち地球人を翻弄(ほんろう)したサザナーラ人たち。彼らは人の心のかたちを見る能力【アズル】を持っていた。対戦相手の次の行動が読めてしまうという地味ながら強力な能力を前に、天馬たちはその能力に対抗する術(すべ)を持たない。

 また、チームのストライカーである瞬木隼人(CV:石川界人)はその秘めた過去が形作っていたであろう異形のアズルをサザナーラ人に見られてしまい、激しく動揺する。



 グランドセレスタ・ギャラクシーのそもそもの原因を作った銀河系最大最強の惑星【ファラム・オービアス】では、王城に軟禁状態の剣城京介(CV:大原崇)を次期国王にと考えた女王、ララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)による説得が続けられていた。

 剣城は「なぜ自分が王になることを望まれるのか?」という当然の疑問がわく。ララヤは剣城ならこの星を良くしてくれると「何となく」思ったと曖昧(あいまい)な言い方に終始する。彼女の敬愛する父親と剣城が似ているから、という本音はやっぱり言えないようだ。

 剣城はファラム・オービアスはすでに良い星であり、自分に出来ることはないとつれない返答をする。ララヤはそれを聞いて悲しそうな表情を浮かべる。無理やり強引に誘拐してきた割に最後の決断は剣城にさせるというところはララヤもやはり悪人ではないと思わせる。

 剣城は王になるにもこの星をよく知らないと難しいという理由を述べ、今日一日を自由に過ごさせるよう要請する。するとララヤは突然元の強気でワガママな面が出て来る。そう言って逃げる気だと決めつけ、その手には乗らないと言い放つ。

 だが剣城は余裕ある表情で、必ず帰って来ると返答する。まだ訝(いぶか)しげな視線で剣城を見つめるララヤだったが、剣城のその笑顔、それはやはり彼女の尊敬する父に似たものであった。結局ララヤはそのジゴロ笑顔に折れ、その言葉を信用してしまう。



「分かった。良いじゃろう。1日だけじゃぞ!!」



   オープニング



 一方、惑星サザナーラでは次の戦いを控えてファラム・オービアスから送り込まれた紫天王の一人、ヒラリ・フレイル(CV:小林ゆう)がお風呂タイムを迎えていた。水の惑星での快適なお風呂のはずなのだが、ヒラリの表情は冴えない。



 視聴者サービス的にお風呂シーンを披露するヒラリ。残念ながら水着着てる。


 彼女の不快感の理由、それは先刻のサザナーラ人たちとの諍(いさか)いに因を発していた。ヒラリはチーム・サザナーラへの助っ人としてこの地に赴任したわけだが(そういう点で惑星サンドリアスでのバルガ・ザックス(CV:岩崎了)と同じ立場)、彼女のアズルを覗き見ようとしたチームのキャプテンのポワイ・ピチョリ(CV:折笠富美子)を痛めつけた経緯があった。


 情報共有のため瞬木のアズルの話を問いただすヒラリ。ポワイの側近でチームのゴールキーパーであるヴァン・タレル(CV:泰勇気)は、ポワイの同意を得てアズルとは何かを語り始める。

 それによるとアズルとは人の心のかたちであり、その対象の人物が考えることを様々な色や形で見極めることが可能だという。



 例示。男性からプレゼントを受け取った女性のアズルは優しい色と形になり、女性が喜んでくれていることによって男性のアズルも優しく穏やかなものとなる。


 だがそのシーンを見た男性の恋敵(こいがたき)は、先を越され女性の心も奪われてしまったことに激しい怒りと嫉妬の念を抱く。そのアズルはこのようにドス黒くトゲトゲした邪悪なものとして見えるというわけだ。


 サザナーラ人は心のかたち、アズルを見ることで対象が何を考えているのかを理解する。それは対象が次に何をしようとしているのかを読み取る能力でもあるのだ。

 ヴァンは自分たちにファラム・オービアスからの使者に逆らう意思など無いことを示すため、ヒラリも自分たちのアズルを見ることが出来れば良いのですが、と語る。

 だがその慇懃(いんぎん)な口調とは裏腹に、ヴァンの意図を察したサザナーラ人たちがヒラリを取り囲む。

 ヴァンはアズルがある限りサッカー対決に負けることはないと笑顔で語り、試合は自分たちに任せて欲しい旨(むね)を告げる。そしてヒラリを長旅の疲れを癒すという口実をつけて何処(いずこ)かへと連行させる。



 体(てい)よく邪魔者であり異分子であり彼らのリーダー(ポワイ)に無礼を働いたヒラリを排除することに成功したヴァンのこの策士のような含み笑い。サンドリアスの時もそうだったが、紫天王と現地人との仲の悪さがアースイレブンの付け入る隙となるだろう。


 ……以上がヒラリの回想となる。つまり彼女のお風呂タイムは強制的に連行された末の事態であった。不快になる気持ちも分からないでもないのだけど、そこはやっぱり女の子。


「気持ち良いから、まぁいいか♪」

 男勝りと言われようが女佐久間次郎と言われようが(言ってるのは私だが)、やっぱり女の子にとって風呂は命の洗濯だ。コロッと誤魔化(ごまか)されてるところが可愛い……



 ……と思いきや、やはり彼女はファラム・オービアスの栄光たる紫天王の一角。突如表情を引き締め、サザナーラの選手たちが劣勢になった暁(あかつき)には自分が乗り出してアースイレブンを叩き潰すと自身に課せられた使命を思い返し、気合いを込めるのだった。



 そして我らのアースイレブンは、今回の試合が行われる試合会場を視察していた。水中ながら会場はドームで覆われ、地勢的な不利は感じられない。その点はサンドリアスの時よりはマシだが、今回の相手はこちらの行動を読んでしまうという大きなハンデがある……。

 それを踏まえ、天馬は厳しい戦いになることを予想するが、相手がどんな能力を持っていようと自分たちは自分たちのサッカーをするしかないと言い聞かせる。


天馬「全力でぶつかって行くぞ!!」
一同「オウッ!!」


 キャプテンの檄にメンバーは力強く応じる。いよいよ決戦は明日だ。



 そしてその日はやって来た。ダクスガン・バービュー(CV:勝杏里)によるDJ調の実況が繰り広げられる中、大歓声の試合会場ではすでにチーム・サザナーラがベンチ入りしていた。ヒラリはサザナーラ側の要請か、先発メンバーでは無さそう。余裕の表情でベンチに腰掛ける。


 そこに地球代表、アースイレブンが入場してくる。早速その姿を見定め、天馬たちのアズルを見極めるポワイ。



 なるほど部下のヴァンから聞いたとおり、瞬木のアズルだけはドス黒く異様な形を表している。他に気になる点としては、天馬が異様に明るいアズルを見せる点と、ニセモノの剣城である剣偽のアズルが他のメンバーと同じように見えているところ。入れ替わられてもその精神状態が安定していればサザナーラ人にすら見破れないということなのだろうか。


 傍(かたわ)らの九坂隆二(CV:岡林史泰)と一見にこやかに話す瞬木だが、その心の内面を見通すサザナーラ人たちからすればその本質を見破ることも容易だ。



 サザナーラの3人娘たちが瞬木の異様なアズルを見て露骨に拒絶反応を示す。サザナーラはポワイ、ヒラリ以外にも女性の選手が多い。


 彼らがこちらを見ていることは、それだけで地球人を不安にさせる。マネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)が警戒する中、皆帆和人(CV:代永翼)はもうすでに自分たちの心の中を見られていることを断言する。

 その言葉を聞き、一番ナーバスになるのはやはり瞬木だった。心に秘めたドス黒い秘密を容赦なく見られることに、瞬木は怒りの形相で不快感を隠さない。そんな瞬木を、天馬は心配そうに見つめるのだった。


 野咲さくら(CV:遠藤綾)や鉄角真(CV:泰勇気)は敵ベンチに、猫耳が特徴のサザナーラ人とは違う姿のヒラリを見とがめる。またも異星人の援軍を得ている敵チームに警戒感を隠さない鉄角と、どこか指摘する点がずれているさくらちゃん。


さくら「なんか顔ツヤツヤしてない?」


 それは入浴による美肌効果だと思われ。あるいはポワイから精気を吸い取ったせいかと。




 ポワイは改めて瞬木のアズルを見つめる。それはドス黒いだけでなく、張り出したトゲが触手状に瞬木本体に絡みつき、精神上に大きな影響を与えていること明らかであった。ここまでドロドロしたアズルはポワイでさえ見たことがないものであった。


 方や天馬のアズルを見て感動するポワイ。天馬のアズルはとても美しく、仲間を信頼しきっている者だからこそ持てるアズルであると絶賛する。だがその同じ地球人とは思えない2つのアズルを見て、ポワイは何かを企(たくら)む。


「ポワイ面白いこと思いついちゃった♪」



 ポワイは仲間にその作戦を告げる。それは「アズルつぶし」と命名されたようだ。内容はまだ判明しないが、その作戦は一同の賛同を得る。ただポワイの見た目より勝気な性格や、ただ勝つだけでは面白くないという作戦の意義を鑑(かんが)みれば、その作戦がえげつないものであることが予測される。

 チーム・サザナーラのその様子を眺めつつ、ファラム・オービアスよりの刺客であるヒラリはとりあえず静観を決め込む。



 その頃、アースイレブンベンチでは驚くべきことが起きていた。剣偽が監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)に「休ませて欲しい」という要望を告げたのだ。剣偽は体調がすぐれないと言い訳を口にするが、天馬はそれを本気で心配する。

 強敵を前にしてチームのエースストライカーを失ってしまうのはチームにとって大いなる損失だ。サードストライカー的存在の九坂隆二(CV:岡林史泰)は戦力ダウンに懸念を表明する。

 黒岩は現状、もっとも信頼に足る存在である背番号18番、市川座名九郎(CV:小西克幸)を剣偽の代役に指名する。座名九郎は歌舞伎の見栄を切るような顔つきで振り向き、例の決め台詞を吐く。


座名九郎「そう言うと思いましたよ!」


 エースストライカーが不在なものの、ソウルの力に目覚めた座名九郎がFWに入ることで戦力減は感じさせない。それに天馬たちは気づいていないが剣偽はニセモノだし、実力は本物と互角とはいえ本気で戦ってくれるかどうか分からないしねぇ。ただここで剣偽が試合に参加しない理由が気になるが……。




 恒例の試合開始直前の両チームの布陣。チーム・サザナーラはキーパーを軸にした二等辺三角形のような形の2-5-3。キャプテンのポワイは後列のMFポジションだ。司令塔ではない模様(12番が司令塔ポジ)。現段階で判明している分で、ポワイの他に4番ウルミ・チャププ(CV:不明)、6番(名前CV:不明)、12番、8番のチュルカ・ポッタ(CV:佐々木日菜子)が女の子確定。2番のネス(CV:不明)も女の子っぽく見えるが男の子のよう。


 アースイレブンはサンドリアス戦の時と同じ、4-3-3の攻撃的フォーメーション。天馬がFWに入るという形態だ。注目はやはり先発した座名九郎だろう。アズルの異様さを知る敵によって何らかの作戦に狙われそうな瞬木も注目。つまり今回はFW3人が注目されるポジションと言えそうだ。


 ヒラリを警戒する鉄角は、彼女がベンチスタートであることを意外さと安堵感の両面で見やる。ただ紫天王を先発させないということは、それだけ現有戦力に自信があるということの裏返しでもある。


 瞬木は野試合で敗れたあと心を見透かされた屈辱を忘れられない。あの時のサザナーラ人の能力と同じものをこの敵チームは先発した全員が持っている。そう思うだけで憎悪感が湧いてくるのだった。



 瞬木の敵愾心(てきがいしん)が深まる中、試合開始のホイッスルが鳴る。

 キックオフはサザナーラ。美男美女が揃うウクライナのようなこのチームにあって珍しく強面(こわもて)タイプの11番のヴァルハ・ポロポ(CV:不明)が攻め上がる。同じく11番の瞬木が怒りの気持ちを持ったまま挑みかかるが、ヴァルハは余裕の表情でそれをかわす。アズルが見えている敵選手に真っ向から挑んでもボール奪取は難しいということなのだろうか。

 ヴァルハはチュルカにパスを送る。そこに駆け込んでボールを奪ったのは九坂であった。

 九坂は天馬にパス。天馬は即座にさくらにパスを回す。そこまで来て、敵の異変に気づく。彼らが心を読めるなら、このパスもこうも上手く繋がるとは思えない。なぜ簡単にパスが通るのか、神童拓人(CV:斎賀みつき)はかえって混乱してしまう。普通のチーム相手なら「パスが繋がる」ということは気にしないどころか好都合のはずなんだけどね。


 地球人たちの混乱を見て、ポワイはなぜかプンプン怒り出す。これでもサッカーの能力を買われてサザナーラ代表となった彼らだ。心を読むことなくサッカーの実力だけで戦うのは当然だと思ったよりも正々堂々とした態度を表明する。

 その言葉は確かに殊勝なものだったが、それがおそらくは本心ではないということを、ベンチで見つめるヒラリは見抜いていたのだろう。ポワイの言葉を鼻で笑い飛ばす。



 だが地球人サイドからすればその態度表明は僥倖(ぎょうこう)だ。思わず「信じたくなる」良い知らせである。真名部陣一郎(CV:野島裕史)は「心を見る能力は使わないのだな?」と今一度その言葉の意味を確認する。

 ポワイはそんなことをしなくても勝てるという言い方で、言外にその質問を肯定する。この場合「言外」というのが曲者(くせもの)で、いつでも反故(ほご)にされそうな口約束ではあったが……。


 さくらは決然とドリブルで攻め上がる。ポワイの言葉を一応は信じた形だ。サザナーラ側もポワイの言葉を裏付けるように、さくらの突進に対して必殺技で対抗する。



ネス「ウォーターフォール!」


 ネスはアズルを見る能力ではなく、正々堂々と必殺技でさくらからボールを奪い取る。そして一気に前線の背番号10番、セバン(CV:鈴木達央)にボールを送る。

 セバンは完全フリーの状態でゴールに迫る。守るのは最終防衛ラインのキーパー、井吹宗正(CV:鈴木達央)ただ一人。井吹は野試合で心を読まれて逆をつかれた経験から、どう対処すべきなのか悩み心を乱す。

 セバンはここで必殺シュートを撃つことを採用する。必殺シュート「バブルボイル」がゴールを襲う!



井吹「右か!?」
セバン『……残念、正面だ!』


 井吹の挙動を邪悪に笑ったセバンの表情を見るに、ここで彼はアズルを見ていたに違いない。実際彼らがポワイの言うとおりに能力を使用しているかしていないかは地球人には区別できない能力であるから、口約束を信用するのは考えものだろう。ちなみにこの場面、騙したセバンと騙された井吹は中の人が同じ。



 セバンの「バブルボイル」は井吹の意表をついて真正面に飛んで来る。予測を誤った井吹はそのシュートに為(な)す術がない。シュートはアースイレブンゴールを貫き、先制点はサザナーラが獲得する。



 落ち込む仲間を鼓舞するのはキャプテンの仕事だ。天馬は1点を取り返すぞとチームに喝を入れる。

 アースイレブンもすかさず勇気を取り戻す。心を見られないなら条件は同じと、鉄角はまだポワイの口約束を信用している様子。そうやって戦う意志を失わないアースイレブンを見て、ポワイは嬉しくてたまらないといった感じで身体をくねらせる。


 ポワイ提唱の「アズルつぶし」とはどういう作戦なのか。ここでその作戦を提示した時の回想シーンに移る。ポワイは天馬のアズルと瞬木のアズルをぶつけてしまおうというのだ。しかも今のままでは面白くないから、醜い方(瞬木)のアズルを試合中に育てて大きくして天馬のきれいなアズルにぶつけるという非情な計画を立てていた。

 きれいなアズルって「きれいなジャイアン」みたいな言われようだな。

 さておき正反対のアズルをぶつけて消滅させるというアイデアは面白いものであると他のメンバーたちの賛同を得る。しかも邪悪なアズルを成長させ、天馬のきれいなアズルが打ち負かされるというパターンを彼らは想定していた。仲間を信じる天馬の心を打ちのめすという非情な作戦であることは言うまでもない。


 ポワイはその瞬間が訪れるのを心から楽しみにしていた。



 試合は先制されたアースイレブンのキックオフで再開されようとしていた。瞬木はその間も自分を見て蔑(さげす)みの笑みを浮かべるサザナーラの選手たちに腹を立てていた。その怒りが彼の負のアズルをより成長させるということも知らずに……。



 座名九郎からボールを受けた瞬木は自らを馬鹿にするサザナーラサイドに一気に駆け込む。自慢の脚力でマークに来ていたウルミを抜き去る。だが抜かれたウルミもそれを見ていたポワイも邪悪に笑う。そう、瞬木はなおも敵の作戦の術中(じゅっちゅう)にいるのだ。


 天馬はさくらと九坂というMF陣に瞬木のフォローに向かうよう指示するが、それを妨げるのはポワイたちであった。瞬木を孤立させるのが彼らの作戦の一環であることは疑いない。

 瞬木の前には先ほど「ウォーターフォール」でさくらを止めたネスが現れる。パス先を求めて辺りを見回す瞬木だったが、さくら、九坂、天馬、そして座名九郎までがマンマークを受けており、パスが出せない。

 その間にネスは再度の「ウォーターフォール」で瞬木からボールを奪取する。



 ネスはまたもチュルカにパス。余談だがネスは先ほども「チュルカさん」と呼んでいるようで、フェミニンな性格なのかもしれない。

 サザナーラのパスが通り、攻守は一転する。アースイレブンはたちまち防戦一方に追い詰められてしまう。ボール支配率はサザナーラが圧倒の様相。


瞬木「好きにやらせるか!!」


 瞬木だけはなぜか相手のプレーに対応が可能な様子で、6番からボールを奪い取る。だがその後にパスを出そうにも、やはり同じパターンでパスコースを封じられてしまう。

 パス先を探す隙をまたもゼスにつかれ、ボールを奪い取られる瞬木。その後はまたもサザナーラの攻勢が続く。しかし彼らも押し気味に試合を進めながら、押し切るまでは行かないのは何らかの意図が働いているのだろうか?


 九坂がボールを保持しようとした瞬間、瞬木はパスを要求する。だがそれを先読みするかのようにチュルカがヘディングでクリアしてしまう。繰り返される味方の自分無視(瞬木にはこう見えている)に対し、瞬木の心にドス黒い感情が芽生えてしまう。


 今度はクリアボールを押さえた天馬にパスを要請する瞬木。天馬もそれに応じようとするが、やはり的確にそのパスを未然に防いでしまうサザナーラの対応を前に、瞬木の孤立感は深まって行く。

 これら一連のプレーはやはりポワイの思惑通り、瞬木のダークなアズルを育てる過程にあると見て良いだろう。瞬木だけには甘いプレーでボールを奪われるのもその作戦の一環なのであろう。ポワイたちは作戦が着々と進展しつつある状況に笑みをこぼす。

 その笑みを不快に思う瞬木はますます心の負のアズルを育成してしまう。



 瞬木のフラストレーションは頂点に達する。その攻撃性は敵だけでなく、自分の足を引っ張る(ようにポワイたちが演出している)仲間たちにまで向けられ、その負のアズルの方もどんどん増幅していく!



 敵のその戦略も含めた異常時に最初に気づくのはやはり神童であった。ポワイの口約束に対しても疑念を抱いた神童は、それを確認するために冷静にこれまでのプレーと現在の状況を照らし合わせる。


 試合は相変わらず瞬木だけが敵からボールを奪い取ることに成功する。だがその後はパスコースを潰され、ゴール前で必ずネスに奪われるまでがワンセットの状況が繰り返されていた。



 今度はネスだけでなく、もう一人3番の選手も加わって瞬木の前進を阻(はば)んでしまう。


 瞬木だけを自由にしてゴール前でそれを止める。その行為にどのような意味があるのか。神童の慧眼(けいがん)をもってしてもその作戦の真意は見通せない。ただ何かを企んでいることだけは確かだ。


 瞬木をはじき飛ばしたネスは憎まれ口を叩いて瞬木の憎悪を増幅させる。しかも3番はボールを保持したまま瞬木の前に仁王立ちで、試合を意図的に止めてしまう。攻めようとしないその態度は、実況のバービューから見ても奇妙なプレーに思われた。

 倒れたままの瞬木を気遣って天馬たちが駆けてくる。それに対し、瞬木は『今さら来ても遅い』と心の中で悪態をつく。



瞬木『友達ヅラしやがって……!!』


 瞬木のアズルがとんでもなく増幅している状況を把握し、それでも表面上はチームの仲間に感謝するような友達ごっこを演じる瞬木の態度……それはすべてを演出し企画したポワイにとって何よりも面白い見世物であった。

 激しく笑い出したポワイの態度に九坂は不快感を示すが、ポワイはここで仲間ごっこはやめろと告げる。

 瞬木に思っていることを言えと指図するポワイは、種明かしをするかのように瞬木が試合中に仲間に抱いていた不満を言葉で表す。


ポワイ「『俺の足ばっかり引っ張りやがって!』『お前らが不甲斐ないから俺が力を発揮できないんだ!』ってね♪」


 その言葉を聞かされ、瞬木は顔面蒼白になる。そして瞬木を気遣っていた鉄角も瞬木を疑いの目で見つめ始める。

 そこまで来て神童は敵の策略に気づく。ポワイたちは瞬木の心を乱し、仲間割れを引き起こすためにあえてあのようなプレーをしていたのだ! しかも心を見ないと言っておきながら、ずっと瞬木のアズルを見ていたと約束違反を公言している。おそらく他の選手のアズルも見て、行動を先読みしていたであろうことも確実だ。


 ポワイは瞬木をさらに追い詰めるべく、瞬木が誰も信用していないことを言葉に出してアースイレブン全員に告げる。その言葉は瞬木を見つめる仲間の視線を懐疑的に変えてしまう。

 瞬木もその空気の変化に気づき、自分のことを信用しない仲間たちに自身の真相を訴えかける。



「そうさ! 俺はそういう奴なんだ!!」


 そしてここまで隠して来たおのれの思いをすべてぶつけるかのようにその感情を吐露(とろ)する。他人を信用などしないということ、このチームのメンバーも一度だって信用したことはない、ただ物分りの良い人物を演じていただけだと開き直ったように言い切る。


瞬木「それがこの俺、瞬木隼人なんだ! 誰にも文句は言わせない!!」


 瞬木の感情の爆発をアースイレブンのメンバーは悲しげな表情で聞いていた。逆にサザナーラ人たちはその仲間割れの光景を楽しそうに見ていた。

 そして感情の迸(ほとばし)りが制御できなくなったのか、瞬木の黒いアズルが閃光を発し始める。ウルミはそれを待ち焦がれていたように期待感を持って見つめていた。だがしかし……


天馬「文句なんか、無いよ」


 天馬だった。その屈託のない瞬木を肯定する言葉はその場のすべての人々の驚愕をもって迎えられた。もちろん瞬木自身も。

 天馬は瞬木がどこかで覚めていて他人を信用していないということに気づいていたと語る。そして天馬はそれを否定しない。天馬が分からなかったこと、それはなぜ瞬木がそれを隠していたのかということだった。なぜ皆に「良い人」と思われようとしたのかを、天馬は問う。

 意表を突かれまくりの瞬木はしどろもどろになりつつ、それが大人の対応だからだと返す。しかし天馬はそれに明確な否定をもって返答とする。


 瞬木が「良い人」を演じようとしたわけ、それは瞬木自身も本当の自分が嫌だったからなのではないかと天馬は見当をつける。本当は他人を信用したいのに、出来ない自分自身を否定したい気持ちがその態度に現れたのではないかと告げられ、瞬木のアズルは混乱する。


 瞬木は黙って聞いていたが、天馬の主張を頑なに認めようとしない。


瞬木「お前たちみたいな爽やかぶった青春野郎どもとは訳が違う。おれは悪人なんだ!!」


 強硬に自己否定の言葉をまくし立てる瞬木のその態度に、周囲の青春野郎どもは言葉がない。ほくそ笑むポワイ。だがやはりその言葉をあるがままに受け入れる声がそこに響く。


座名九郎「良いんじゃないですか、悪人だって」


 今度は座名九郎だった。座名九郎は達観したような表情で、悪い心を持たない人間などいないと真理を説く。それは子孫に規格外にものすごい悪党を産み出すことになる座名九郎が言うからこそ説得力にあふれたものとなる(もちろんそのことを瞬木は知らないけど)。



「私だって役で演じているほど善人ではありませんし」


 その説得力ある言葉はまたも瞬木のアズルを混乱させる。そして瞬木のアズルを暴走させようと計画していたポワイも、その意図が上手く行かなくなって来ていることに驚愕する。

 天馬は座名九郎の意見に賛成し、誰にでもある悪い心を否定するのではなく、それを受け入れ乗り越える勇気を持つべきだと瞬木を説得する。その天馬の背後には、これまで以上にきれいなアズルが輝きを放っていた。



天馬「良いところも悪いところも全部ひっくるめて、瞬木隼人だ! ぜーんぶ、俺の仲間の瞬木隼人だ!!!」


 胸に手を当てて本音を訴える天馬の気持ちは、アズルが見えない瞬木から見ても嘘偽りのない真実の気持ちを語っていることがよく分かったであろう。キャプテンは本気で自分を心配し、本気で自分を仲間として受け入れてくれている……。

 天馬の正のアズルが膨張し、瞬木の負のアズルを覆(おお)い尽くしていく。完全にそのアズルに飲み込まれた瞬木が再び姿を現したとき、その身に目に見える変化が生じていた!


「ホントに……おもしれえ奴だぜ!!」

 本音を明かした自分を本音で信じると断言する天馬のその態度は、人間不信の瞬木をして面白いと思わせるものがあった。自身のアズルと向き合った瞬木の姿は、その右髪の一部先端が青く染まり、何らかのソウルの発動を示唆(しさ)するものであった。


 目覚めつつある瞬木の姿を見て、ベンチの黒岩はしてやったりの笑みを見せる。



 瞬木は突如、先ほど自分をはじき飛ばした3番に向けて猛烈なスピードで走り出す。そう、試合自体は止まっていたがそれはボールがデッドになっていたわけではない。あくまでもサザナーラ側が試合を止めていただけで、プレー自体は中断されてはいないのだ。

 そのあまりの展開の速さ、そして瞬木の疾(はや)さを前にして、アズルを見るどころではない。3番は何もできないままボールを奪取されてしまう。



 ボールを奪って突き進む瞬木の前には、これまで彼を何度も止めているネスが立ちはだかる。ネスは冷静に瞬木のアズルを見極め行動を予測しようとするのだが、その黒きアズルが暴走状態で何も推し量ることが出来ない!


 ネスを抜き去り、瞬木の前身は止まらない。ゴールを守るヴァンがはじめてそのプレーを披露する瞬間が訪れた。だが今の瞬木はその力の大きさを自覚していた。猛然と宙に舞い上がり、その秘められた力、ソウルを発動させる。

 中空で彼の姿はハヤブサに変わり、ゴールに迫り寄せる。ヴァンはソウルを見ても努めて冷静に必殺キーパー技「アクアブレス」で対抗する。




 そのぶつかり合いを制したのは、やはり瞬木のソウルパワーだった。ソウルシュートが豪快にサザナーラゴールネットを揺らし、試合はアースイレブンが1−1の同点に追いつく。


 同点はもちろん、瞬木がソウルを発動させてゴールを奪ったことが天馬には何よりも嬉しかった。

 そしてそこで前半戦終了のホイッスルが鳴り響く。強敵を相手にして、アースイレブンは前半を同点で折り返すことが出来た。勝負の趨勢(すうせい)は後半30分に委(ゆだ)ねられることとなった。

 ベンチの葵や西園信助(CV:戸松遥)も大喜びの展開。天馬は開眼なった瞬木の元に駆けつける。そのシュートを心から祝福する天馬に対し、瞬木はニヒルに「自分が気に食わないなら(いつでも交代させてくれても良い)」と言おうとした。

 だがそれを聞く前に天馬は、今の瞬木こそが本当の飾らない瞬木だと言う。



天馬「やっと本当のお前と仲間になれたんだ! 嬉しいよ!」


 まさに人心掌握(じんしんしょうあく)においてこれ以上の言葉はないだろう。瞬木は否定されると思っていた自分の本当の姿を見てなお、そのことを素直に喜んでくれる天馬の態度に感動を覚える。


 その段になって、さくらはようやく瞬木の外見が変わっていることに漠然と気づく。そんな仲間に対し、瞬木は外見以上に自身の態度が変わることを言い聞かせるべく、不敵な笑みで本音丸出しの暴言を吐き出し始める。



瞬木「俺のスピードに着いて来られるように、お前ら練習に精出せよ!」


 その豹変ぶりにはさしもの鉄角やさくら、九坂、座名九郎といったメンバーも毒気を抜かれたような表情になる。瞬木は取り繕(つくろ)うように頭を掻いて冗談めかしたように笑うが、それこそが本物の瞬木であることをチームメンバーはすでに理解していた。




 その瞬木の背後にあるアズルがさらに邪悪な形態に変化していることをポワイは見て取る。そのアズルが瞬木のソウルを覚醒させたとしたら、前半の彼らの作戦はまさにヤブヘビだったと言えるだろう。


 作戦の見直しを期するポワイに向け、これまでサザナーラの自由にさせていたヒラリがついに自身が乗り出す意思を表明する。

 もちろんその存在を歓迎する選手はいない。12番が露骨に嫌な表情でヒラリの参戦を拒否したところ、その態度にキレたヒラリが前回ポワイを痛めつけたあの能力を駆使する。



 ヒラリの髪の毛は巻き取った相手の精気を吸い取ってしまう。まともに受けた12番はその場に崩れ落ちる。ヒラリの態度はともかく、交代の選手を出さないわけには行かなくなってしまう。

 敵チームに沸き起こる不協和音はチャンスとなるかもしれないが、それ以上にヒラリの能力が上回ればむしろアースイレブンにとってはピンチとなり得る。風雲急を告げる後半戦、一体この戦いはどうなってしまうのだろうか?


ヒラリ「待ってなさい、今後は私が相手になってあげる……」




 次回に続く。



  エンディング



 更新が遅れて本当にごめんなさい。今週は土日も含めて休みがないのですよ(~_~;)


 本題。今回は前回の瞬木の心の闇を解説する回に続いて、その闇と向き合い、本当の自分をさらけ出す回だった。天馬のKYに見えてよく観察していた行為が功を奏して、瞬木の心にも彼の思いが伝わったと言えそうだ。

 瞬木にとってはソウルを発動させたことよりも、本音を見せてなおかつそれを祝福してくれた天馬に対しての喜びの方がむしろ大事だっただろう。ソウルはあくまでもその心の平安の地平に誕生したものであるからだ。黒岩もこの辺のことは全部お見通しの上で天馬にキャプテンを任せていたんだろうな。

 瞬木の負のアズルを暴走させようとしたポワイたちの作戦は失敗に帰したが、彼らの誤算は天馬の正しいアズルがものすごく大きなものになるということを見極められなかったという点にあるだろう。


 瞬木の能力が開眼したとはいえ、アズルを見通すサザナーラ側の優位は動かないし、さらに恐るべき女佐久間次郎が後半は試合に参戦して来る。アースイレブンはまだまだ気を抜くことが出来ない。



 次回は皆帆が活躍する内容になるようだが、気になるのはそのタイトル。何と彼がオウンゴール自殺点)をしでかしてしまうらしい。一体どうなるのか……というか、このシーンのウルミちゃんが可愛すぎる。敵にするのが惜しいぐらい。




 国民投票、今回はFW部門だ。剣城が順当に強そうだが豪炎寺やフェイ、今回見せ場があった瞬木といった新旧対決も苛烈を極めそう。名も無き小市民はエントリーされなかったのね。ちなみにもう投票は終了していて、結果発表も終わってると思われるので掛けても無駄です。



 で、DF部門の発表。見事に1位に輝いたのは菜花黄名子(CV:悠木碧)でした! やったやんね! 蘭丸と風丸も順当な印象。壁山さんが入賞しなかったのは、やはりネット投票とは勝手が違うからだろうな。



  次回「皆帆のオウンゴール!」に続く。



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