『イナズマイレブンGOギャラクシー』第13話「勝利への解法」の感想 【真名部と皆帆が覚醒する!】
恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第13話「勝利への解法」を観ての感想を書く。チームで1、2を争う頭脳派の2人がお互いの過去と向き合い、そしてそれを克服していく。その過程がそのままこの試合の「勝利への解法」となるさまを我々は目(ま)の当たりにすることになる。
当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。
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『イナズマイレブンGOギャラクシー』第12話「フィールドの告白」の感想 【チーム内リア充誕生か?】
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少年サッカー世界大会「フットボールフロンティアインターナショナル(通称FFIV2)」アジア予選準決勝に挑む松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【イナズマジャパン】はタイ代表【マッハタイガー】と激突する。
強力な攻撃力を誇るマッハタイガーに苦戦しつつも、前半を1−1の同点で折り返したイナズマジャパンは、運命の後半戦に臨む。それにあたりここまで監督らしさを見せて来なかった黒岩流星(CV:佐々木誠二)が真名部陣一郎(CV:野島裕史)と皆帆和人(CV:代永翼)の名を呼ぶ。
黒岩「見出すんだ。お前たち2人で勝利への解法をな……」
秘策を授けるとばかりに声を掛けたと思ったのだが、なんだ、やっぱり自分たちで考えさせるのか。さておきその言葉は、この大会の異常性に気付きつつあった真名部と皆帆に勝利の趨勢(すうせい)を託すと言いたげな口調であった。果たして黒岩の真意とは? そしてこの試合における「勝利への解法」とは?
オープニング
後半戦開始直前、ピッチに立つ両チームにあって、もっとも思考に思いを巡らせるのは、真名部と皆帆の両者だった。皆帆は思索する時のクセなのだろう、耳をピクピクと動かしながら黒岩の語った「勝利への解法」を推理する。
真名部「難問に挑むのは嫌いではありません」
一方の真名部もこの難問を託されたことに対して思案する。彼もクセである眼鏡を人差し指で直すという仕草を見せて自信ありげに笑う。
頭脳派の2人はこういう場面で頼りになるのだが、困ったことに今この2人は互いを知能で上回るべきライバルだと目(もく)していることだった。皆帆は真名部よりも先に解法を解き明かすと自信満々に告げる。そして真名部も皆帆の自信を返り討ちにして鼻っ柱をへし折るつもりでいた。
協力して思考した方が良さそうな気もするんだけど、果たしてこのライバル関係が相乗効果で良い方向に向かうのだろうか?
天馬はキャプテンとして仲間に気合いを入れるべく檄を飛ばす。たぶんアホの子の天馬くんは難しいことは頭脳派に任せ、自分に出来ることを為(な)す。その檄は仲間を鼓舞し、野咲さくら(CV:遠藤綾)や鉄角真(CV:泰勇気)の気持ちを奮(ふる)い立たせる。
だがハーフタイムを経て気力が一新しているのは敵であるマッハタイガーも同じだ。キャプテンのナパ・ラダーム(CV:コノミアキラ)は前半終了時に見せた敵愾心(てきがいしん)をイナズマジャパンにぶつけることを仲間に指示し、天馬に負けないキャプテンシーを発揮する。
後半戦開始のホイッスルが鳴る。イナズマジャパンボールのキックオフ。瞬木隼人(CV:石川界人)からパスを受けた剣城京介(CV:大原崇)が攻め上がるが、9番MFのバーク・セパクロー(CV:不明)がまたもムエタイの雄叫びを上げて挑みかかる。
バークは剣城から見事にボールを奪い、ドリブルで逆襲に転じる。天馬は攻撃重視のマッハタイガーの戦略に感嘆しつつ、バークの突進の阻止に向かう。
だがバークはボールを巧みに御して天馬のタックルをかわす。そのトリッキーなプレーはさしもの天馬をも翻弄(ほんろう)する。天馬を抜き去ったバークは意気揚々(いきようよう)とエースストライカーの11番FWのタムガン・ジャー(CV:不明)にパスを送る。
タムガンの後方にはパスを送ったバークと10番の巨漢、ガオラン・サゴット(CV:不明)が併走しており、どちらにパスを出すのか分からない。ディフェンス泣かせの戦法に、真名部と皆帆は互いにクセ丸出しの姿で待ち受ける(真名部は分かるけど皆帆は何やってんの?)。
だが両者は読みに入っていなかったか、ガオランに出されたパスに反応することが出来ない。そこに前回の九坂隆二(CV:岡林史泰)の愛の告白でコンプレックスを払拭(ふっしょく)し、潜在能力を発揮する状況を手に入れた森村好葉(CV:悠木碧)がフォローに回る。
開眼なった必殺ディフェンス技「このはロール」で巨漢のガオランの突進を阻止する好葉。フィールド上で一番小さな選手が一番大きい選手を巻き取ってしまうのは、まさに柔よく剛を制す的なイナズマ必殺技の醍醐味(だいごみ)だ。
好葉の活躍でボールはタッチに押し出され、イナズマジャパンはピンチを脱する。ただ敵の攻撃に対してまったく動かず防御を放棄したかのような真名部と皆帆の態度には、九坂が苦言を呈する。
皆帆は「分かってないね」と言わんばかりに指を横に振り、ただ見ていただけではないということを説明する。真名部もその動作が相手の解析のためであったことを示唆する。
そして皆帆が安心して敵の解析に専念できたのは、好葉が後ろで守っていてくれていることが分かっていたからだと語る。必殺技を得た好葉の実力を冷静に見極めていた両者の意見は結果的に好葉を褒めたように聞こえ、好葉に好意を抱く九坂は自身が褒められたかの様に喜ぶ。もちろん好葉自身もそれを素直に喜ぶ。イジメによって自己を否定されるという悲しみを味わってきた好葉にとっては他人から認められることが心の傷を癒(いや)す一番の良薬になるだろう。
攻守が入れ替わり、今度はイナズマジャパンが攻勢に立つ。天馬から剣城へと雷門中ホットラインがつながる。チャンス到来かと思われたが、そこでナパと2番DFのヤム・ボアタン(CV:不明)がまたも合体ディフェンス技の「デスサイズミドル」で剣城を物理的に吹き飛ばし、豪快にボールを奪取する。
ナパから中盤の6番MFサリット・チナワット(CV:不明)を経て、ボールはまたもタムガンへ。突進してくるタムガンの後方には先ほどと同じ布陣でバークとガオランが走り込む。真名部と皆帆の方も先ほどと同じような所作でタムガンの突進を待ち受ける。
皆帆がパスを出す瞬間にどちらの足に重心を掛けるのかを拠(よ)り所とする推理を働かせるが、解を数学的に集約させるべきというのが持論の真名部にとっては不確定要素が多過ぎるとし、後方から走り込む2人の角度から解き明かそうとする。しかし別のアプローチをしていたはずの両者の解は不思議と一致する!
真名部「右です!」
皆帆「右だね!」
果たしてタムガンがパスを送った先は右のバークだった。だがその見極めが遅く、両者はまたも突破を許してしまう。バークに送られたパスは鉄角のナイスカバーで難を逃れたが、判断がギリギリになってしまったことを真名部は悔やむ。
皆帆は真名部が「不確定要素」などと余計なことを言わなければもっと早く反応できたと責任を真名部一人に押し付ける。真名部は努めて冷静に、それは自分のセリフだと言い返す。やはりこの2人が争いながら分析しているのはマイナスに働いている気がするなぁ。
悩みつつ苦闘する真名部の姿を、スタンドから2人の冷徹な視線が見つめていた。それは一度は真名部のサッカーへの参加を諌(いさ)めようとした彼の両親だった。
なおもマッハタイガーの攻勢は続く。タムガンからガオランへのパスは神童拓人(CV:斎賀みつき)がカットする。カウンター攻撃を策す神童は彼専用の必殺タクティクス「神のタクトFI(ファイアイリュージョン)」を駆使し、速攻を指示する。
指名されたさくらは炎の軌道に向かっていくが、敵5番のMFサラナ・ククリット(CV:不明)が何と先着してそのボールをカットしてしまう! 「神のタクトFI」が受け手のせいではなく阻止されてしまったのはこれが初めてだ。瞬木の弟の雄太(CV:小林ゆう)と瞬(CV:戸松遥)はいつも通りの兄貴ひいきの意見を吐く。
瞬「隼人兄ちゃんなら行けたのにぃ……」
雄太「だよな、お前の言うとおりだ」
兄貴ひいきもここまで来れば立派だが、走力のある瞬木だったら確かに敵に先回りされることもなかったかもしれず、一理ある気もする。
ボールは7番の選手が押さえ、九坂のスライディングタックルをかわして前進する。そしてまたもポイントゲッターのタムガンにパスが回る。神童が阻止に回るが、タムガンたちはここで一斉にジャンプし、パスの行く手をより一層分からない状況に持ち込む。空中でのプレーはこれが初めてで目が慣れていない真名部と皆帆も分析することは絶望的だ。
タムガンはそれを承知でジャンプしたかのように不敵に笑い、バークへとパス。バークも空中から地上のメイ・パクディ(CV:不明)へパスを送る。好葉がそれに対応していたが、実はそのパスはフェイクで、好葉が追いつく直前にバナナカーブを描く。
ボールを受けたのはいつの間にか地上に降り立っていたガオランだった。そのトリッキーなパスに対してはイナズマジャパンコーチの船木宏正(CV:金野潤)が驚愕の声を上げる。
ガオランはまたもジャンプ。その後方にはナパとサラナが駆け込み、同時にジャンプしていた。プレーに参加するメンバーが変わってもこの連携にいささかのズレも無い。見事なまでに統率されたチームプレーである。
空中の状況に目を奪われ、翻弄されまくる真名部と皆帆。その間隙(かんげき)を突き、タムガンがゴール前に走り込む。ガオランたちのジャンプはそのプレー自体が壮大なフェイクだったのだ!
ガオランはもちろんそこにラストパスを送る。タムガンはここで必殺シュート「アイボリークラッシュ」を撃ち込む。だが一度はそのシュートにゴールを割られた井吹宗正(CV:鈴木達央)は二の舞だけは受けないとばかりに、必殺キーパー技の「ワイルドダンク」で迎え撃つ!
しかしゴール至近まで詰め寄られていたせいもあったか、「ワイルドダンク」の挙動が間に合わない! 驚愕する井吹を置いてきぼりにして、ボールはゴールネットに突き刺さる。
タムガンのゴールが決まってしまった! これで試合は1−2とまたもマッハタイガーがリードする展開になってしまい、これには瞬木の弟たちも目に涙を浮かべてしまう。
井吹は自身のキーパー技が不発に終わり、あっさりとゴールを許してしまったことを悔しがってフィールドを拳で叩く。ふと見ると、神童がこれ以上無いぐらいの冷たい視線で井吹を見ていた。『お前はこんなシュートも止められないのか?』と言われているような気がして井吹はより一層悔しがる。井吹の悔しさの炎に油を注ぐ神童が容赦ないシーン。
この失点はチーム全体に動揺を与える。曲がるパス、ジャンプしてのフェイクなどイナズマジャパンの守備陣をまさしく翻弄し尽くし切り裂いた完璧なゴールである。さくらや鉄角が落ち込むのを励ますのは天馬だった。意気消沈する仲間を鼓舞するのもキャプテンとしての責務だ。
その言葉は落ち込んだ彼らの瞳に再び戦う闘志の炎を灯(とも)す。そんな中、真名部と皆帆は彼らとは別の意味でしてやられた感で満たされていた。彼らの分析をハズすようなマッハタイガーの動きについて行けず、結果ゴールまで許してしまったことを忸怩(じくじ)たる思いでいたに違いない。
次こそは分析してみせると、2人は天馬の鼓舞とは別に自力で闘志を燃やす。
ベンチでは、ここまで良いところなくやられている真名部と皆帆に信頼が置けない船木が黒岩に対して抗議する。黒岩の代わりにマネージャーの水川みのり(CV:高垣彩陽)が呆れた口調で船木の焦りから来る意見を一蹴(いっしゅう)する。いちマネージャーが大人である指導者に向けての言葉とは思えないのだが、言っていることは確かにその通りで船木は二の句が継(つ)げない。
試合再開に向けて位置につくイナズマジャパンメンバーにあって、皆帆はまったく別の方向を見ていた。彼は何かを見つけたのだ。そして傍らの真名部に対し、スタンドに彼の両親が来ていることを告げる。
それを見た真名部は激しく動揺する。サッカーに否定的だった両親がどうしてここに来たのかとその真意を測りかねる真名部の動揺を、皆帆は意外そうな表情で見つめる。
弱みを見せたくない相手に動揺してしまった姿を見せてしまい、真名部は取り繕(つくろ)うように敵選手を分析し、「勝利への解法」を解き明かすことが大事だと語る。皆帆も真名部の思いに感じることがあったのだろう、それに同意して真名部の両親の話をそれ以上掘り下げることはしない。
試合はイナズマジャパンのキックオフで再開を待っていた。だがキックオフに絡む役どころの瞬木は信じられない動きをするマッハタイガーの雰囲気に飲まれてしまっていた。そんな瞬木に剣城がアドバイスする。
剣城「瞬木、フォワードが苛立ちや不安を見せるな。平常心を保て!」
FWはチームの先頭を切って敵と対峙する。つまり他のメンバーはその背中を見て戦うのだ。それなのにFWが苛立ったり不安な姿を見せてしまえば、チーム全体の士気に関わる。剣城はそれが言いたかったのだろう。
なおも前向きになれない瞬木に、今度は天馬が説得する。敵にマークされる前に細かいパスで突破するアイデアを告げ、瞬木の動揺を押さえようと腐心する。
神童「それで良い、天馬!」
天馬のアドバイスを受け入れてようやく前向きになった瞬木。その意識を変えさせた天馬の姿を遠目に見ながら、神童はキャプテンとして着実に成長する天馬を優しげな視線で見つめていた。その優しい視線を1兆分の1でもいいから井吹に向けてやってくれさい。
そしてホイッスルが鳴り、試合は再開される。瞬木からさくらへとサイドを使ったパスが渡る。さくらはダイレクトでパスを回す。天馬の言う、マークがつく前の細かいパスに全員の意識が統一されているようだ。
だが天馬に渡ったボールはサリットにカットされる。浮き上がったボールに飛びつくのは、またもタムガンたち3人だった。ここまでイナズマジャパンを翻弄して来た空中攻撃がまたも再現される。
皆帆と真名部は解法が分からぬまま、その攻撃に立ち向かう。右だと判断した真名部の発言の直後にパスは左へと送られる。イザコザがありながらも真名部の推察能力を認めてきた皆帆は真名部が予測をハズしたその事実に驚く。
もしかしたら真名部は両親が見ているということがプレッシャーとなってしまっているのかもしれない。敵と観客席の両親を交互に見つめる真名部は、彼にとってトラウマである過去を思い返す。
正答が書かれた答案に対し、父は別の方法を用いればもっと早く解法に辿りつけたはずだと真名部を非難する。本来なら「よくやった」と褒められて然(しか)るべき100点満点の答案用紙であっても容赦しない父のこの態度は真名部の心を傷つけ、頑(かたく)なにさせた。
真名部にとって思い出したくもない過去を図らずも思い起こさせる現在の試合状況だった。頭を抱える真名部を、皆帆や天馬は心配そうに見つめる。
だがそんなセンチメンタルな気持ちなど、敵側はもちろん考慮してなどくれはしない。ガオランは空中からシュート並みに強烈なパスを放つ。その軌道の標的は好葉だった。
真名部は冷静にボールの軌道を見極め、そのボールが左に曲がることを予測する。好葉はそれを信じて左に動くが、真名部の読みに反して軌道は右に曲がってしまう。
危うい状況を救ったのは九坂の好フィールディングだった。必死のヘディングでボールをサイドラインに押し出す九坂。真名部のミスを九坂がカバーした形だ。九坂は好葉をカバーしたつもりだったろうけど。
またも読みが逆の結果をもたらし、真名部は自信を喪失してしまう。皆帆は心配して語りかけるが、真名部は両親が見ていることを自分に告げた皆帆が悪いとその責任を転嫁してしまう。
喧嘩しながらもお互いを認め合っていた2人の間に、今度こそ目に見える亀裂が入った瞬間だった。強敵を前にして最悪の展開となってしまった。
皆帆を激しい敵意を持って見つめる真名部。しかしその後方にいる両親、ことに父の姿は彼を冷静ではいられなくさせる。そんな態度を抜群の推理力を持つ皆帆に悟られるのは時間の問題であった。真名部が父を恐れていることを見てとった皆帆に対し、真名部は語気を荒げて会話を中断させる。それは皆帆の推察を裏付けることでしかなかったのだが。
努めて動揺を見せないように真名部は振舞うが、さくらに出した指示がまたも逆を突かれてしまう。通常攻撃に対してもその読みがハズレるようになってしまった。
ならばと自身で持ち込む真名部に、ガオランの豪快なスライディングが迫る。得意の計算力でかわせると判断した真名部だったが、それも計算ミス。豪快にボールを奪われてしまう。
息子の相次ぐミスプレーを見ていた父はネクタイを弄(いじ)りだす。サッカーを球蹴りと馬鹿にしていながら、さすがに目に余る息子のミスに、表情には出さないものの冷静に見ていられなくなったのだろう。それは息子をダメな奴と見下しているのだろうか? それとも……?
その後も精密機械が不調をきたしてしまったかのような真名部の指示ミスは続く。鉄角に向けた指示もハズレてしまい、ついに真名部は糸が切れてしまったかのように膝をついてしまう。
そんな真名部に皆帆は厳しい口調で迫る。真名部が以前語った『親なんてみんな自分の立場を押し付けて子供を支配することしか考えていない』という言葉を俎上(そじょう)に上げ、今現在観客席で試合を見守る両親の姿を見てからの真名部の態度から、真名部が父親に認めてもらうことを渇望していることを見抜く。
真名部はそれを否定するが、皆帆は構わずに自説の開陳(かいちん)を続ける。真名部が父親を嫌うということは、イコール父の期待に応えることが出来ない自分自身を嫌っているのだと結論づける。その言葉は今の真名部には酷な宣告に思えたが、皆帆なりの荒療治(あらりょうじ)なのだろうか……。
試合はバークと剣城が激しくボールを奪い合い、両者が足を痛めてしまう。
両者に駆け寄るメンバーたち。イナズマジャパン側はマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)が治療役を務めるが、マッハタイガー側はサラナが甲斐甲斐(かいがい)しく治療にあたる。マッハタイガーにはマネージャーいないのかな?
両チームの視線がそこに集中しているというのに、真名部と皆帆はそっちのけで喧嘩していた。異常な事態に天馬、それに他のメンバーが気付く。「どうしちゃったのあの2人?」というさくらの疑問に瞬木は「さあ?」とまるで他人事だが、以前皆帆の心に黒い思惑を植え付けようとした張本人のくせに「さあ?」は無いだろうと思うが。
皆帆は父を避けようとする真名部の考えが理解できないと言う。以前の会話で皆帆から、父親を尊敬していてうまく行っている親子関係を自慢されたと思っている真名部はそれを聞いて面白くない。だが皆帆はそれを聞いて何か意表を突かれたかのような表情を見せる。
天馬「真名部! 皆帆!」
そこで天馬が試合中にもかかわらず言い争いを止めない2人の喧嘩の仲裁に入る。真名部は皆帆に対してこれだけは言わせて欲しいとばかりに、皆帆の父子関係をもってして自分たち父子のことを同列に語らないで欲しいと告げる。
皆帆の父のことをズケズケと語る真名部に対し、皆帆は感情を押し殺すような静かな口調で、こう返す。
皆帆「父さんに僕を見てもらいたくても、もう出来ないんだ……」
皆帆「父さんは、もう亡くなってしまったから……」
その言葉は仲裁に入った天馬はおろか、何も知らずに皆帆の父子関係を語っていた真名部をも絶句させる。皆帆は遠い過去のことだとばかりに笑顔で語り、父とぶつかり合いながらも目指す目標というものを身近に持っている真名部を羨(うらや)ましいと告げる。
皆帆の過去……。警視総監賞の表彰状を手に暖かい家庭に凱旋(がいせん)した父を、幼い頃の皆帆が褒め称える。可愛い息子にそう言われて喜ばない父親などいない。父は嬉しそうにその言葉を受けていた。
皆帆の両親。こうして見ると皆帆は母親似だということがよく分かる。髪質とかそっくりだもんね。皆帆には悪いけど、彼が憧れる父親には残念ながら似ていない。
どんな難事件でも解決する父は皆帆にとって誇りだった。警視総監賞の勲章を父から付けてもらい、皆帆はこの時が人生でもっとも幸福だった瞬間だったろう。
皆帆は父を喜ばせるためではなく、本当に憧れの存在として自分も父のような刑事になることを誓う。その時見せた父の期待するかのような笑みが、今では遺影として皆帆に笑いかけていた。父を超えるような存在になったとしても、もうそれを見せる父はこの世に存在しない……。
目指すべき存在を失った皆帆は、まだそれを持っている真名部を勇気づける。自分と違って目標とすべき存在があるということは、真名部をどこまでも成長させてくれるだろうと言って。
皆帆の真実を知った真名部はバツが悪そうに、この試合で自身が成長できるとは思えないと自嘲気味に語る。「勝利への解法」もおぼつかない状況を悲観する真名部に対し、意見するのは天馬だった。
本気でそう思っていないのなら諦めて欲しくないと天馬は語り、真名部と皆帆なら「勝利への解法」を見出してくれると信じていると熱っぽく告げる。ここまで良いところ無しの自分を信じてくれた天馬に、真名部は感じ入ってその瞳を潤(うる)ませる。
試合は鉄角のスローインで再開される。フェイントをかけてさくらに送ったパスだったが、タムガンはものすごい掛け声と動きでそれをカットする。
そしてまたも優勢に試合を進めるマッハタイガー。苦戦を強いられるイナズマジャパンにとっての生命線、それはやはり真名部と皆帆の「勝利への解法」を解く頭脳だった。皆帆は真名部にある忠告をする。それは真名部の父がこの会場にやって来て以来、ずっと真名部を見つめているということだった。
それを聞いて観客席を見た真名部の視線をあわてて逸(そ)らせる真名部父。そう、口では真名部に厳しく対する父も、心の奥底では血の繋がった息子を心配していたのだ。彼がネクタイを弄るのは、心配事がある時の彼のクセだった。そして彼の今の心配事、それは愛する息子がピンチに陥っているということなのだ!
人間観察が誰よりも優れる皆帆はネクタイを弄る動作と父の心配事が相関関係にあることを見抜いていた。
皆帆「どうやらお父さんはキミのことを嫌っていないようだね」
あの辛辣(しんらつ)だった父が自分のことを本当は心配していた……真名部の心が激しく動揺する。しかしそれはこの試合中に感じていた動揺とは違い、やがて心地よい心境に至るであろう動揺だった。
7番の選手のパスに天馬が飛びつく。だがまたもそのパスは大きく変化して天馬の足先をかすめてしまう。タムガンに渡ったそのボールをウォッチしているのは真名部だった。人差し指と親指で作ったアングルを注視して真名部がその解析に挑む。
観客席ではそれを見る父の手に力がこもる。息子だけでなく自分にさえ見せなかったその心の動きを、真名部の母は意外そうな表情で見つめる。
『効率よく解答を導き出せ!』
必死で解法を見通そうとする真名部の脳裏に、かつて自身を叱責したと思っていた父の言葉が蘇(よみがえ)る。あの言葉は真名部を成長させるための言葉であったことがこの瞬間の真名部は気付くことが出来たであろうか?
出来たはずだ。その言葉にインスピレーションを受けた真名部は皆帆に向けて、お互いの読みの不足を補い合うことが「勝利への解法」に近づくための必要にして十分条件であることを述べる。
皆帆はそれを受け観察や行動分析は自身が引き受けると受け合う。そしてデータや数学的な分析は真名部が担当する。イナズマジャパンが誇る2つの頭脳、行動心理学と数学の最強のタッグがここで結成なったのだ!
2人は強くうなづき合う。お互いの過去を知り、お互いがお互いを心から認めたこのコンビの初仕事。それは突進してくるタムガンに向けられる。またも宙高く舞い上がったタムガンとバーク、ガオランの3名。これまでの真名部と皆帆だったらどう動くのかまったく把握できなかっただろう。
だが今の2人の目を欺(あざむ)くことは誰にも不可能だ。皆帆はタムガンの動きを分析し、パスを出す方と反対側の腕が下がり気味であることを過去のデータに照らし合わせて見通す。タムガンの左手が下がっていたことを見てとった皆帆は仲間に「左」の指示を出す。
アニメを見ていると言うまでもないけど、文章だと分かりにくいので補足。こちらに向かってくるタムガンの腕の左右と迎え撃つイナズマジャパンの左右は鏡合わせで逆の向きとなる。つまりタムガンがパスを出す右はイナズマジャパン側から見れば「左」となるわけだ。
見破られつつもガオランが今度は変則パスを出す。そのボールの回転数や速度、風向きを冷静に見極めた真名部はそのパスが左に曲がることを見破る。
その読みも当たるが、なおもボールはマッハタイガーがキープする。ボールを持って攻め上がるサリットのドリブルを分析する真名部は計算式を駆使してその後の流れを読み切る。
ついに編み出された真名部の必殺ブロック技「ディフェンス方程式」が炸裂する! ちなみに「E=mc2(エナジー・イコール・エムシー・スクエアド)」はあの有名なアインシュタインの相対性理論。エネルギーが発生すると質量は失われていく→つまりその対偶としてエネルギーを使えば何もない空間に質量を生み出すことが出来るという理論。これ以上の説明はド文系の私には無理なので、学校の数学の先生に聞こう。
新必殺技の誕生に、天馬はガッツポーズで真名部を称える。だがディフェンスでは効果を発揮した真名部の動きも攻撃には向いていない。バークが挑みかかり、ボールを奪い返されてしまう。
皆帆「真名部くん、僕が取り返すよ!!」
皆帆はそう叫ぶとバークに詰め寄り、まったく同じ動きでその横につく。それは皆帆の新必殺技「トレースプレス」だった。
敵の動きに同調しつつ一瞬のスキを突きボールを奪い取る皆帆の新必殺技「トレースプレス」の威力に、神童や鉄角は驚き、天馬は歓声を上げる。鉄角やさくらにすれば、必殺技の会得でまたも出遅れてしまったという感はあるかもしれない。しかもどちらかといえば非運動部出身でサッカーが決して上手いとは言えなかった皆帆と真名部というのが引っかかるかも。
ベンチでも2人の想像外の動きに、みのりが目を見張る。これはお互いが反目し合ってではなく、お互いが意識し合いつつも協調しあうことで成し遂げた相乗効果だろう。だが黒岩にとっては2人の変化は想定済みだったらしく、ようやく答えを導き出した2人を顔色ひとつ変えずに見ていた。
皆帆はチームの韋駄天(いだてん)、瞬木にパスを送る。パスを受けた瞬木は弟たちの声援を背にマッハタイガー陣内を風のように駆け上がる。しかしそこで迎え撃つのはナパとヤムという、瞬木のシュートを止めた合体技を持つ2人だった。
瞬木は自力でゴールを狙うことをせず、ナパたちをギリギリまで引きつけて剣城にパスを出す。受けた剣城の前はがら空きだ。剣城はそのタイミングを無駄にしない。必殺シュート「バイシクルソード」を放つ。
シュートはキーパーのウドム・ゲウチャイ(CV:岩崎了)を吹き飛ばし、豪快にゴールネットを揺する。これで試合は2−2と、またも勝負の天秤(てんびん)は均衡状態に戻される。
残り時間もあとわずか。勝負の天秤を司(つかさど)るであろう女神は、次に得点を挙げたチームに微笑むことは間違いない(放映時間的にも)。
タムガンががむしゃらに攻め上がってくる。彼らも負けが許されないということを自覚している(溶ける的な意味で?)。必死の形相のタムガンは九坂、好葉のラブラブ……もとい、九坂の片思いコンビの防御を突き破る。
そしてゴール前、これまで全得点を挙げている驚異の必殺シュート「アイボリークラッシュ」を撃ち抜く。先に敵に必殺シュートを撃たれてしまったよ!
だがこれ以上、神童に蔑(さげす)みの視線で見られたくない井吹は先ほどよりも早く必殺キーパー技「ワイルドダンク」を発動させる。初めて激突した両者の必殺技は、井吹の「ワイルドダンク」が勝利を収める。
どうだと言いたい井吹に、神童は今度は素(す)の目つきで一瞥(いちべつ)して、何も言わずに立ち去ってしまう。蔑まれることこそ無かったが、まだ褒められる域には達していないという神童のその態度に井吹は不満げに舌打ちする。
ここで天馬が疲れきった仲間に最後の檄を飛ばす。勝利への強い意思を呼び覚まされた10人の仲間が一斉に天馬の檄に応える。井吹から鉄角にボールがフィードされる。その前に立ちはだかるバークの足の動きを観察する皆帆は一瞬の判断で左にパスを出せと指示を出す。
そのパスを受けたのは好葉だった。好葉の前にはフィールド一の巨漢、ガオランが迫ってくる。それを見ていた真名部は成功率92%とデータをはじき出し、九坂にパスを出すよう指示する。
パスを受けた九坂の前に現れたメイがスライディングを狙っていることを皆帆がいち早く伝え、九坂は危機を脱する。そしてさくらにパスを送る。さくらの前には「神のタクトFI」のパスを横取りしたサラナが迫る。一瞬弱気な表情を見せたさくらを励ますのは真名部だった。
「さくらの脚力なら勝てる」と告げる真名部の後押しを信じて前進したさくらは、その言葉通りサラナをかわして前進する。
さくらは前線の瞬木にパス。瞬木に向かってくるサリットを見て、彼女がショルダーチャージするつもりなのを見抜いた皆帆が忠告する。心得た瞬木はサリットが近付いてくる前にノートラップで神童にパスを送る。
胸トラップした神童に7番が迫る。対応が間に合わないと見た真名部のバックパスという指示に神童は従い、剣城にバックパスする。これは神童がかつては素人と揶揄した真名部の指示を信用したという証左でもある。
剣城にはナパとヤムの「デスサイズミドル」コンビが駆け寄る。彼らが「デスサイズミドル」を狙っていることを見抜いた皆帆の指示に従い、剣城は自ら持ち込まずに天馬にラストパスを送る。
ベンチの葵の声援を受け、天馬はここで決めると必殺シュート「ゴッドウィンド」を敵ゴールめがけて撃ち込む。ウドムはキーパー技「キラーエルボー」で迎え撃つ。
真名部と皆帆が見つけ出した「勝利への解法」が十全に機能して迎えたシュートチャンスである。止められるわけがない。「キラーエルボー」をぶち破り、ゴールがマッハタイガーゴールに突き刺さる!
そしてゴール決定のホイッスルと試合終了のホイッスルが相次いで鳴り響く。絵に描いたような逆転劇で試合はイナズマジャパンが見事に勝利し、アジア地区予選の決勝へと向かう切符を手に入れた。
天馬は喜びを爆発させて勝利を表現するが、敗れたマッハタイガーは……。
負けてフィールドに倒れ込むナパ。その目が怪しく光りだす。これまでにイナズマジャパンに敗れ去って来た他チームのキャプテン同様、これもやはり普通の人間には起こりえない身体変化である。
勝利したイナズマジャパン。神童は試合結果をスコアボードで確認しつつ、これまで認めようとして来なかった新生イナズマジャパンが真に勝つためのチームであったということを認めざるを得なかった。それを認める神童の表情は清々(すがすが)しく、これまでの反発心は消え去っていた。
同じく黒岩の采配を認めず、その罷免(ひめん)をサッカー協会会長の豪炎寺修也(CV:野島裕史)にまで直訴した過去を持つ船木も感慨深く黒岩を見つめる。黒岩はそんな視線などお構いなしに超然と立ち上がり、フィールドを後にする。その後ろには当然の如くみのりが付き従っていた。
観客席ではこれまでの苦虫を噛み潰したような表情を安堵に変え、真名部の父がネクタイを緩めていた。真名部の母が見ていることに気付いた真名部父はあわてて取り繕い、息子にはサッカーなどというくだらない球蹴りを早く止めさせなければならないと強がる。
真名部母は内心で素直でないと思いつつ、真名部があの子なりに頑張ったのではないかと弁護する。これは一見真名部を思いやる行為に見えるが、実は素直でない夫の顔を立てるための真名部母の方便だったと思われる。良いお母さんであり、良い妻ですね。
そしてフィールドでスコアボードを見つめる真名部である。皆帆が近寄り「勝利への解法」を見つけられたねと声を掛ける。真名部は言いにくそうにメガネを弄り、やがて笑顔で「ありがとう」と感謝の言葉を告げる。
皆帆「フフッこちらこそだよ!」
皆帆も笑って手を差し出す。真名部はようやく素直な気持ちでその握手を受ける。これは仲直りであり、今後永く続くであろう2人の友情を誓い合う握手であった。
まさに悲喜交々(ひきこもごも)の様相が表出される試合後のフィールドを、一人の男が眺めていた。それはこの大会が始まる前、イナズマジャパンに選出されることが確実視されていた日本を代表する少年サッカー選手、白竜(CV:福山潤)であった!
どうして白竜がここに!? ま、まぁ日本国内での試合だから彼が現在のイナズマジャパンの戦いぶりを観に来るのはあり得ない話ではない。ただ問題は試合を見終わった彼が不気味に笑ったことである。果たして現在の彼は天馬たちの敵か味方か……。
嵐の前の静けさを思わせつつ次回へ続く。
エンディング
【まなみな】覚醒回。今回はやはり真名部と皆帆の過去が明らかになったという点が最大の見どころだっただろう。皆帆の父親はやはり故人だったんだね……。小さい頃のツーショット写真を見ていたからもしかしたらそうではないかと思っていたんだけど。
そして真名部も父親が実は「過保護な父さん」ということが発覚して微笑ましかった。厳格な父親として威厳を保つために真名部にきつく当たってきたんだろうね。真名部はそんな父親から逃れたいと誤解していたわけだけど、今回の経験を経て真名部家はもう少し風通しが良くなるはずだ。
前回は【くさこの】、そして今回は【まなみな】というキャラたちの進展があったせいで、敵であるマッハタイガー、ことにキャプテンのナパが目立たなかったのが残念な気がする。コノミアキラさんはぜひとも別キャラで作品に登場して欲しい。そのキャラのコスプレも楽しみにしています。
そして今回のラストで衝撃的な展開を思わせる引きがあった。次回は白竜を筆頭に、抜群のサッカー能力と実績を持ちながらイナズマジャパンの選考から漏れた選手たちが登場する。
『イナズマイレブンGO』のホーリーロード編で雷門中を苦しめたライバルたちの懐かしの顔ぶれ。詳しくはこちらを参照のこと。【レジスタンスジャパン】を名乗る彼らはイナズマジャパンのライバルとして臨時に召集された感じだろうか? 監督は左端の不動明王(CV:梶裕貴)かな。ハッキリ言って今のイナズマジャパンよりずっと強いだろう。現状のルール的に化身を使えない点がネックかな?
次回「強襲!レジスタンスジャパン!!」に続く。
↑ 最後まで読んでくれてありがとう。「見出してみせる、『ブログランキング勝利への解法を!』」(今日の格言・真名部風)というわけで記事が面白かったと思われましたら、毎日クリックして頂けると嬉しく思います。本当はまだ見出してないですが……。
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