『イナズマイレブンGOギャラクシー』第25話「瞬木隼人の闇!」の感想 【ポワイちゃんとヒラリちゃんサイドを応援してしまうという】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第25話「瞬木隼人の闇!」を観ての感想を書く。本作から登場した物語の副主人公の過去が明かされる。彼のそのブラックな人格形成に、一体何が影響したのか? それは彼が信頼していた友たちとの心理的決別にあった。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


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『イナズマイレブンGOギャラクシー』第24話「水の星の戦士たち!」の感想 【ララヤちゃんファザコン説】
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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦2回戦の舞台、【惑星サザナーラ】へと降り立った。


 早速サッカーバトルを挑まれ、敵地からの洗礼を受けるアースイレブン。だが彼らが自信を持つ攻撃パターンがことごとく封じられ、アースイレブンはその戦いに敗れてしまう。

 まるでこちらの行動を読めるかと思うようなサザナーラ人たちの秘める「厄介(やっかい)な能力」とは? 本戦の前哨戦(ぜんしょうせん)に完敗してしまったアースイレブンはその不気味な能力を打ち破らねばならない。



 一方、ファラム・オービアスの女王ララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)の要望で誘拐され仲間たちから引き離された剣城京介(CV:大原崇)は、その地でララヤの善政を目の当たりにする。

 民たちに慕われ、尊敬を集めるララヤの姿は剣城にも好意的に映る。ララヤはこの国をまとめ、人々を正しき道に導いてくれる王の存在を待望していた。その王の姿を、今は亡き父の姿と酷似している剣城に見い出したララヤは自身と婚姻し、ファラム・オービアスを共同統治することを望む。



 真剣な眼差しで剣城を見つめるララヤ。彼女がファラム・オービアスの行く末を心配しているのはもちろんだが、やはり剣城その人自身にも一目惚れに似た感情があったことは間違いないだろう。揺れる瞳にその乙女の緊張感が垣間見れる。



   オープニング



 サザナーラステーションに停留中の【ギャラクシーノーツ】号内のミーティングルームでは、アースイレブンがサッカーバトルにあえなく敗れた原因を突き止めようとしていた。特に考えられないほどの絶妙さでフェイントシュートを決められたキーパーの井吹宗正(CV:鈴木達央)は怒りが収まらない。


井吹「どうして負けたんだ!?」


 サッカー技術や身体能力では特に目立ったところも無かったサザナーラ人たち。しかし試合展開は完全に向こうにペースを握られてしまっていた。

 試合に参加せず、外から試合を見ていた神童拓人(CV:斎賀みつき)は天馬たちの動きが悪かったわけではないと語る。天馬たちが劣っていたわけではなく相手の動きに因があったことを神童は諭(さと)したのだ。

 それを受け、チーム1の分析力を買われて試合に参加した皆帆和人(CV:代永翼)も自説を述べる。敵はこちらのパスコースに必ず割り込み、先回りしていたという実感を語った。それも一度や二度ではない、すべてのプレーでそうだったのだ。

 すべてのパスがカットされては試合にならない。だがそれを実行するには、こちらの動きを完全に読む必要がある。本当にそんなことが出来るのだろうか? 天馬はこういう時に相談相手になれる、長年の付き合いの剣城に話を振る。


天馬「剣城はどう思う?」
剣偽「あ、ああ……」

 本物の剣城はファラム・オービアスにいる。ここにいるのはビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)が送り込んだニセモノ、スパイだ。出来るだけボロが出ないようにするためだろうか、気の無い生返事で返す剣偽。中身が半分異星人の水川みのり(CV:高垣彩陽)は早くも不信の目を向けているようだが。剣偽にも自分と同様の「におい」を嗅ぎつけているのかもしれない。


 そこまでの状況証拠を積み重ね、真名部陣一郎(CV:野島裕史)はある仮説を立てる。サザナーラ人は未来の動きを予測することが出来るのだとぶち上げる真名部に、鉄角真(CV:泰勇気)は懐疑的に声を上げる。皆帆は未来が見えるなら試合の結果も承知済みなのではないかと疑義を呈する。

 そこに、サザナーラ人の持つ「厄介な能力」の正体を知るみのりが、(真名部の)その推理はハズレだと割って入ってくる。そしてサザナーラ人は相手の心を目で見ることが出来るのだと本当のところを解説する。



 その言葉を聞いて瞬木隼人(CV:石川界人)が驚く。確かに彼には心当たりがあった。試合に敗れたあと、サザナーラ人に「孤独なやつ」と言われたその理由をみのりの解説から知ったのだ。彼はサザナーラ人に心を覗かれていたことに驚愕し嫌悪する。


 心が読めるのではなく、心そのものを目で見ることが出来るというのが真相という。信じられない能力だが、それを持っている相手と戦うことの困難さも思い知らされる。それはこちらのパスがことごとくカットされたことを思えば想像も容易(たやす)い。


さくら「嫌だ、なんか気持ち悪い……」


 野咲さくら(CV:遠藤綾)は心を見透かされるということに対する不気味さを率直に口にする。他の選手たちも様々な感慨を抱くが、自身の孤独さをすでに見られてしまっている瞬木だけは心ここにあらずといった表情で狼狽(ろうばい)する。

 瞬木が試合直後に話しかけられていたことを思い出した真名部に顛末(てんまつ)を尋ねられ、瞬木はさらに動揺する。


「『お前たちは弱い』……とか、そういうイヤミだよ」

 協調しているフリをしつつ、その実(じつ)心の中では誰のことも信用してはいなかった瞬木の本音。それは彼の心の闇と呼べる部分だった。それを敵対するサザナーラ人にいみじくも指摘されたという本当のことを天馬たちに正直に言えるわけがない(ここで言えるなら最初から協調できてる)。瞬木は罪悪感に顔を歪めつつ、ウソをつく。


 瞬木のとっさについたウソで、話題は元のサザナーラ人の厄介な能力そのものの問題に戻る。心を読むとまではいかないまでも、心を見通して先の行動が読めてしまう能力が事実なら、これはサッカーに限らず、ほぼあらゆる勝負ごとに関して圧倒的に有利な能力である。そんな相手を前に勝負になるのかと鉄角は悲観的に語る。

 だが逆に楽観的なのが皆帆だった。彼は当初からサザナーラ人の能力に興味津々だっただけに、先を見越して行動する敵の裏をかくにはどうすれば良いのかを考えることが楽しみだと笑顔で語る。


 そこで皆帆の楽観論を戒(いまし)めるのが、子孫とは比べ物にならないほど冷静で思慮深い性格を見せる市川座名九郎(CV:小西克幸)だった。

 座名九郎は「こちらが裏をかこうと考えていること自体も相手には知られてしまう」という皆帆説にとっての盲点を適切に指摘する。つまり「裏の裏をかかれてしまいかねない」という懸念だ。

 勝たなければならない試合にあたり、考えないで戦うことなどはおおよそ不可能である。真名部はこの難問の解を求めようと脳細胞をフル回転させるが、チーム1の頭脳派である彼をもってしてもこの難問を解くことは難しいであろう。


 先行きを心配するアースイレブンメンバーにあって、瞬木だけは他のメンバーとまったく別の心配事に心を揺らしていた。



 一方、惑星サザナーラを代表する【チーム・サザナーラ】のメンバーひしめく一室では、可愛らしい少女が自分の預かり知らない場でサッカーバトルが行われたという報告に憤慨(ふんがい)していた。



 チーム・サザナーラのキャプテン、ポワイ・ピチョリ(CV:折笠富美子)。背番号5番。キャプテンマークを付けていることから、彼女がこのチームの柱なのであろう。見た目と違って勝気な性格らしい。明るく猫っかぶりなイメージは前作イナクロのベータ(CV:伊瀬茉莉也)ちゃんを彷彿(ほうふつ)とさせる。


 ゴールキーパーでありポワイの側近であろうと思われるヴァン・タレル(CV:不明)の「ポワイ様を慕う住人」という言葉にやや気をよくした彼女は、自分たちの能力で地球人たちがさぞ驚いたであろうことを面白そうに想像する。

 さらにヴァンは対戦した地球人の中に、極めて恐ろしい【アズル】の持ち主が存在していたことを伝える。アズルとは彼らの言葉で「心のかたち」と訳すべきであろうか? その対象としてモニターに映し出されたのは、やはり瞬木だった。

 ヴァンは暗く、醜く、歪(いびつ)なアズルを持っていると瞬木を紹介し、警戒を要する存在として瞬木を扱うのだが、ポワイはやはり楽しそうに興味を抱く。どんなアズルの持ち主であろうと、地球人など恐るるに足らずというのが彼女の感覚なのであろう。


???「その話、私にも聞かせて」


 圧搾空気(あっさくくうき)の音を響かせ、室内に入って来たのは片目をアイパッチで覆った長髪の美女だった。頭上に耳が無いその姿はサザナーラ人では無いということを端的に示していた。



 それはファラム・オービアスより送り込まれたアースイレブンへの刺客(しかく)、紫天王のヒラリ・フレイル(CV:小林ゆう)だった。怜悧(れいり)な印象を受ける美女だが、やはりそのアイパッチが特徴的。弱点は絵を描くこと(中の人的に)。サザナーラはキャプテンも紫天王も女の子ということで、今回のメンバー編成は実に華やかだ。


 予期せざる訪問だったのか、ヴァンはやや畏(かしこ)まって慇懃(いんぎん)に対応する。ヒラリは情報を共有すべきだと正論を述べ、仲良くしたいと表層だけの笑顔を見せる。それが本意では無いことを、アズルを見ることが出来るサザナーラ人が見抜けないわけがない。ポワイはそれがウソであることを皮肉たっぷりに指摘する。

 だがヒラリは自分の心を見透かされて黙っているほど甘い性格では無かった。不気味に顔を歪め、その長髪を一閃(いっせん)すると彼女の髪は意思を持った触手のようにポワイに巻き付き、さらに電撃状に光が迸(ほとばし)りポワイを苦しめる!



 不用意に自身の心を読んだ行為を懲罰(ちょうばつ)したことを示し、ヒラリは椅子に腰掛ける。彼女の髪には相手の生気を吸い取る能力があるらしい。

 リーダーであるポワイを痛めつけられ、チーム・サザナーラはヒラリに敵意を抱くが、ヒラリはそんなことなどお構いなしに瞬木の情報を提供するよう言いつける。前回の【チーム・サンドリアス】のときと同様、あるいはそれ以上に紫天王とチームとの仲は悪いようだ。強敵ではあるが、この辺にアースイレブンのつけこむ隙があるかもしれない。



 それはそれとして、瞬木の映像を見て舌なめずりをする肉食系女子のヒラリちゃんがエロカッコ良い。中の人は瞬木の弟の雄太(CV:小林ゆう)と同じ人なのだが……。冗談はさておき、ファラム・オービアス紫天王にして瞬木のアズルに興味を示す彼女の思惑とは一体なんなのだろうか?



 自分の映像を見た肉食系女子に舌なめずりされていることなど露ほども知らない瞬木は、ギャラクシーノーツ号の通路で皆帆に話しかけられる。他のメンバーは強敵との戦いを前にブラックルームで特訓に打ち込んでいる。

 それなのにブラックルームに向かおうとしない瞬木に、皆帆は違和感があったのだ。おそらくミーティングルームでの瞬木の弁解のときから皆帆は何かを感じていたかもしれない。いや、アースイレブンの中で唯一、瞬木の心の闇を垣間見た存在である皆帆は確信を持っていたに違いない。


皆帆「その態度、サザナーラ人にはそういう時の君の心がどんな風に見えているのか、僕も見てみたいな」


 瞬木の気持ちを逆なでするような挑発混じりの皆帆の質問は続く。そこに天馬がやって来たのを見て瞬木は反論を控え、その場を立ち去る。2人の間に不穏な空気を感じた天馬は、残された皆帆に経緯を尋ねる。皆帆はサザナーラという星の特殊性を考え、今まで秘密にしていた瞬木の心の闇を語り始める。



 一方、皆帆の追求から逃れた瞬木はサザナーラ人から言われた「孤独なやつ」という蔑称を何度も反芻(はんすう)していた。そしてそれを強く打ち消そうと試みる。その思いが強ければ強いほど、心の奥底ではその言葉を肯定していることに繋がることも考えずに……。



 彼はいつしか過去のことを思い出していた。瞬木が今よりも小さかった頃……彼はおもちゃ屋の窓にくっつくようにして何かを見つめていた。それは楽しそうにレーシングカーのミニチュアで遊ぶ子供たちの群れだった。

 お父さんと手をつなぎ、楽しそうにおもちゃを持って帰る自分と同じ年頃の少年を見つめ、瞬木は何を思うのか?


 そこに同級生2人がやって来る。彼らもいま大流行のレーシングカーの模型【ビュンカート】を遊ぶためにこのおもちゃ屋にやって来たのだ。

 2人のうち、瞬木の事情を知らない同級生が嬉しそうにビュンカートのコツを語る。だが瞬木の実家が貧しくおもちゃなど買えないという事情を知るもう一人の同級生がそれを無駄だと諌(いさ)める。


 瞬木は「今度買ってもらう」と言って体裁(ていさい)を繕(つくろ)う。2人はそんな瞬木を置いて店内に去っていく。それをまた店の外から見つめるしかない瞬木の思いは如何ばかりであったろう……。

 瞬木は財布の中を確認する。子供の立場としては頑張って集めたと思われるお金が入っていた。だが瞬木はその財布をポケットにしまい込み、淡々とその場を去るのであった。


 しょんぼりとした表情での帰り道、瞬木は親しい友人の後ろ姿を見て嬉しくなって駆け寄る。友人は塾へ向かう途上だったらしい。友人は瞬木を土曜日の自宅での集まりに誘う。瞬木は家庭の事情で弟の世話をしなければならないという理由をもってそれを断る。だが友人は弟も連れて来ても良いと優しく言葉を返す。

 友人の優しさに感謝しつつも、瞬木はやはりまだ幼い弟が何か迷惑をかけてしまっては大変だと再度その申し出を断る。友人は無理強(むりじ)いをするわけにも行かないという表情で、それを受け入れる。


 瞬木は病院に母を見舞う。瞬木の母(CV:悠木碧)は身体を壊して入院しているらしい。父親は彼らを捨てて蒸発してしまったことは以前語られた。

 病弱な母を心配させないよう、瞬木は気丈に笑顔を見せる。母の向かいの入院患者の見舞いに来ていた少年が嬉しそうに見せびらかしていたおもちゃ、それはいま瞬木が一番欲しいと渇望するビュンカートであった。母はやはり可愛い息子の気持ちが分かるのだろう、毎日のやりくりでお金が余れば買っても良いと瞬木に語りかける。



 しかし瞬木はそれは無駄遣いだと言って欲しい感情を表に出さない。見舞いを終え外に出たとき、瞬木は改めて財布の中を覗く。このお金があればビュンカートを買うことは不可能ではないだろう。だがそれをしてしまうと弟たちのことを任された母の思いへの背任であることも瞬木は理解していた。大切な母を、そして弟たちを裏切るわけにはいかない。


 瞬木は弟たちにたくさんのお菓子をお土産(みやげ)に帰宅する。財布の中身はこのお菓子に化けたのだろう。嬉しそうにお菓子を頬張る生まれたての瞬(CV:戸松遥)とややお兄ちゃんの雄太の笑顔がその日一日の瞬木のストレスを一気に解消させる。



 弟たちの笑顔に力を得た思いの瞬木は、土曜日の友人の誘いに応じて弟たちを連れて友人宅にお邪魔することを決意するのであった。



 ……
 そこで一旦、瞬木の思い出が途切れる。そのあとの出来事を思い出すことが苦痛でならないのだろうか、ギャラクシーノーツ号私室ベッドに横たわる瞬木の顔が苦悶に歪む。



 その頃、談話室で皆帆に瞬木の話を聞いた天馬は、実は彼も瞬木の態度に思うところがあったことを述べる。天馬は決勝戦の前に彼の弟たちから聞かされた言葉が気にかかっていたのだ。



 瞬木の回想が再開される。小学校のクラスでは相変わらずビュンカートの話題で持ちきりだった。そんな同級生たちを横目で見ながら、瞬木は昨日自分を誘ってくれた友人に声をかける。

 昨日の弟たちも連れて来いという友人の優しい言葉を信じて語りかけた瞬木だったが、友人は土曜日の予定が変わったことを打ち明ける。塾の仲間たちとビュンカートで遊ぶということになってしまったらしい。

 瞬木はビュンカートを持っていないから来ないだろう……という友人の思惑は外れた。放課後のクラス、瞬木が来ると返答したことを、友人は憮然とした表情で他のクラスメイトたちに語る。

 ビュンカートを持っていないくせに来てどうするつもりなんだと仲間内では非難が飛び交う。もちろんその場に瞬木がいないことで彼らの陰口はヒートアップするわけなのだが……



 残酷なことにその陰口を瞬木が聞いていた……。ビュンカートで遊ぶというのも瞬木兄弟が訪問することを断るための言い訳だった。信頼していた友人の口から紡(つむ)ぎ出される自身への非難の言葉は幼い瞬木の心に大きな傷を残したことだろう。


 夕暮れの純情商店街をとぼとぼと歩く瞬木の前に、一枚の福引券が落ちていた。見ると近くの福引所にて使用できる券らしい。落ちていた券で福引をする瞬木は、見事三等賞を引き当てる。

 三等の賞品の中に、ビュンカートを見つけた時の瞬木の表情が喜色(きしょく)に弾ける。この気持ちはよく分かる。大喜びでビュンカートを指定した瞬木は勇躍帰宅して、弟たちの前で誇らしげに組み立てるのだった。



 そして完成させた黄色と黒の鮮やかな機体は、これまで彼にとって進入禁止だったおもちゃ屋の店内でクラスメイトたちの羨望(せんぼう)の眼差しを持って迎えられた。自分をバカにしていた彼らが手のひらを返したように近寄ってくる。



 走らせてみても瞬木のビュンカートが1番早かった。だが友人たちは瞬木をそっちのけにして、彼のビュンカートにのみ興味を示すのだった。そのとき瞬木はすべてを悟る。彼らは「瞬木の存在」を求めているのではなく、「ビュンカートを持つ瞬木」を求めているのだということを……。


 夕陽が辺りを黄金色に染める川辺で、瞬木はあれほど心を焦がして欲しがっていたビュンカートを川に投げ入れる。それは偽りの友情を交わして来たクラスメイトたちへの決別でもあり、そして友情というものを二度と信じはしないという彼自身の人間的な感情への決別でもあった。急速に水中奥深くの闇に沈んでいくビュンカートは、心を閉ざして闇に沈んでいく瞬木自身の思いを暗示するかのようであった。



「友達……そんなの嘘っぱちだ。人間なんてこういうものなんだ。他人を信じちゃダメなんだ。頼ってもいけないんだ……!」


 その日以来、瞬木は現在に至るまで家族以外の誰にも心を開かなかった。



 心の一番触れたくない部分だったのだろう、瞬木はベッドで身をよじらせてこうつぶやく。


「くだらないことを、思い出したな……」



 そこに来訪を示すチャイム音が響く。訪れたのは信助だった。練習に同行しようという誘いだった。瞬木がドアを開くと、そこには九坂隆二(CV:岡林史泰)の姿もあった。

 心が見えるという強敵を相手に効果的なフォーメーションを組むにはどうすれば良いかを考えるには、先発選手全員の意思疎通が必要だ。つまりそれにはFWの瞬木の存在も欠かせないと語るアースイレブンきっての凸凹コンビ(身長的に)に、瞬木は笑顔で同意する。さっきまでの回想を含め、当然ながらこの笑顔も彼の本心ではないことが分かる。



 練習に向かう道中も、瞬木の脳裏にはサザナーラ人から向けられた「孤独」という言葉が渦巻く。だが瞬木は大人の対応で周囲と波風立てずになあなあで行かせる行為こそが「上手くやっている」ということだと思い込み、孤独というレッテルを打ち消す。

 今もその大人の対応で信助たちに付き合っていることがよく分かるシーンだ。実はこういう感覚それ自体が「孤独」なのだけど、精神の歪んだ今の瞬木にはそれが見えていない。

 先にグラウンドに来ていた天馬は皆帆と語り合っていた件(くだん)の人物、瞬木がやって来たことに気を引き締める。



 練習開始、皆帆から真名部を介し、瞬木が剣城へとラストパスを出す。だがそのパスが最後で繋がらず、剣城のシュートは不発に終わる。

 剣城のらしくないプレーにその場の全員が意外そうな表情を浮かべる。中でも森村好葉(CV:悠木碧)はいつもと違う剣城の様子に不信感を深める。



 剣城との付き合いが誰よりも長い天馬も目の前の剣偽に違和感を隠すことなくぶつける。それもそのはず、この剣城は剣偽なのだから。


 休憩時間、好葉はさくらに剣偽の違和感を告げる。剣偽がタオルを使ってゴシゴシ顔をこする姿を見て、これまでの剣城はそんな使い方はしなかったと意外にも観察眼の鋭さを示す。

 好葉は実はメンバーの癖(くせ)を覚えており、いつもと違う行動をとった場合はすぐに気づいてしまうらしい。さくらが15分も鏡の前から動かないという癖も好葉は目ざとく覚えていた。



 地獄耳の剣偽は疑われ始めていることに気づき、修正の必要性を感じる。彼が耳たぶを触ることで何らかのデータがダウンロードされる。


 剣偽は「何か用か?」と自分の方から語りかけ、サザナーラ人とどう戦うかを気にかけるあまりプレーがおろそかになったのだと先ほどのプレー失敗のエクスキューズを印象づけようと試みる。

 さくらはまんまとそれに騙され、その様子を見た剣偽は満足そうに去っていく。好葉の鋭い視線から見ても今の態度はこれまでの剣城と同じように見えた。とはいえ好葉はそれでも疑念を完全に取り払うつもりは無かったのだが。



 宿舎であるギャラクシーノーツ号の自室にて、剣偽はオズロックからの通信を受けていた。天馬に疑われたことを軽率と認めつつ、剣偽は問題は解消されたと強気だった。彼が語るには、あの耳たぶいじりは本物から抽出された記憶データを自分の記憶にインプット、トレースする行為だったらしい。それによって剣偽はサッカー能力を含め、あらゆる能力が本物と同様になるという。

 え、じゃあその技術を使えば全員同じ選手でイレブン作れたり出来るの? 円堂守(CV:竹内順子)イレブンとか菜花黄名子(CV:悠木碧)イレブンとかザナーク・アバロニク(CV:小西克幸)イレブンとか、ゲームで再現できたら良いなぁ。夢は膨らむ。ザナークイレブンだけは一人だけ座名九郎を混ぜたりしてね。



 同じ頃、船内の監督室を神童が訪れていた。心を見るというどうしようもない強敵を相手にどうやって戦えば良いのかを、百戦錬磨の黒岩流星(CV:佐々木誠二)から作戦を引き出したいという神童の思いだった。



 だが黒岩は自身のアドバイスが無ければ勝てないほどお前たちは無能なのかと神童の自尊心を傷つける形で挑発する。神童はその言葉に無言で引き下がるのだが、私だったら「監督の責任を果たせ」と一言どころか5万言ぐらい言い返すけどな。「あなたにも回答が分からないのか?」と挑発し返す行為もありかも。



 サザナーラステーションの一角に瞬木を呼び出した天馬は、そこで気がかりだったアジア地区決勝戦を前にしての瞬木の「優勝は無理だ」という言葉の意味を尋ねる。



 瞬木は天馬に見えないほど一瞬の表情の変化を見せる。だがその心の動きを勘付かせないように彼は努めて笑顔で、弟からの伝聞であることを理由に誤解があると語り出す。そのにこやかな表情は天馬を安心させるが、彼の本心を知る視聴者の目からはまたもその場しのぎの詭弁(きべん)を弄(ろう)していることは明白だった。

 彼は「『チームが一丸にならないと』優勝は無理だ」と言ったのだと弁解し、弟たちの発言が言葉足らずだったことを詫(わ)びる。


 天馬はその弁解をすっかり信じ、笑顔を見せる。そして心が見えるというサザナーラ人の能力について、自分はそんな能力は要らないとキッパリと告げる。


天馬「人間て良い顔も悪い顔も、いろんな顔があるから人間だと思うんだ」


 サッカーもお互いの心理の読み合いで成り立つゲームであり、そこが面白さの真髄であるのに心が見えてしまえばその面白さも一気に減退してしまうというのがサッカー馬鹿(褒め言葉)の天馬の理屈だった。

 そして天馬は翌日の試合で、心を見られようが気にせずに全力を尽くすことを宣言する。「俺のサッカーをするだけだ!」という彼の信念はいささかも揺るぎが無い。

 瞬木はその言葉が自分にも向けられていることを意識し、分かったと受け合う。だがその言葉はやはり表面上、相手と上手く付き合うためだけの瞬木の処世術なのであった。瞬木は天馬のことも、他の誰のことも未だに信頼してはいなかった。


 天馬は伝えたいことを伝え、瞬木が帰って行くのを見送る。思いの丈(たけ)を伝えることが出来たかと大きく息をつく天馬の前に、唐突にピクシー(CV:北原沙弥香)が現れる。

 自分の気持ちが瞬木に伝わったかどうかを心配する天馬を励ますかのように、ピクシーは髪の毛を引っ張ってじゃれついてくる。



 この無邪気さが可愛い。果たしてこれが天馬を励ましてるのかどうかはともかく。



 実戦練習を続けているグラウンドでは、鉄角が猪突猛進の体(てい)で剣偽のボールに挑みかかる。だが心を見られるという現象をことさらに意識する鉄角は無意識に行こうと無意識すぎる突進を繰り出し、軽くかわされてしまう。激しく地面を転がった鉄角は身体をしたたかに打ち付ける。



 怪我の治療をされて染みたのだろう。そのあまりの痛みに顔をしかめる鉄角。肉体的には痛い目にあった彼だが、ここでは女の子たちに囲まれて精神的には報われたかもしれない。今のところ、ここが鉄角のモテ期の絶頂。


 心を見るまでもないと思われた鉄角のそのザル作戦だったが、天馬は声を出すという作戦が意外と使えるのではないかと語る。さくらはその意図を、天馬の名を呼びつつ剣城にパスを出すという風にして裏をかくつもりだと解釈する。

 だがその流れにまたも水を差すのは座名九郎だった。「本当にコイツの子孫は『グレートマックスなオレ!』の彼なのか?」と思えるぐらい冷静に、いくら声で惑わそうともパスを出すときは意識はその対象に向けられるはずで、そこを読まれないとは思えないとこの作戦の成果に疑義を呈する。



 冷静に言われてみれば確かにその通り。じゃあどうすれば良いのと駄々っ子のように身をくねらせるさくらちゃんが無駄に可愛い。敵に可愛い女子キャラが増えたのを意識しているのだろうか?(この時点では知らんはずだが)


 この地味ながら最強の能力に手こずり、解決策が思いつかないのは彼ら凡人組だけではなかった。事態の打開に関しては天才的素質を持つと思われる真名部、皆帆のコンビも未だ打開策は思いつかない。


 彼らの視線の先には、シュートを止める特訓を繰り返す井吹の姿があった。神童のフェイントをかけたシュートに翻弄される井吹の調子では、常に彼の思惑を外され逆方向にシュートされてしまうに違いない。



 明日の試合を前に依然止められないことを焦る井吹に、神童は行き当たりばったりではダメだと釘を刺す。


神童「相手の気持ちになってどう来るかを予測するんだ!」


 その言葉を聞いて何か天啓(てんけい)が舞い降りたか、皆帆は興味深いものを見た時の彼の癖、耳をピクピクと動かして思案に耽(ふけ)る。そして意を決したように隣に控える真名部に向け、こう語るのであった。


皆帆「『行き当たりばったり』『相手の気持ちになる』これは大きなヒントになるかもしれない……」



 次回に続く。



  エンディング




 更新が遅れていて申し訳ない。またも例年の11月頃にひく風邪にやられてしまって、更新が滞(とどこお)ってしまったのです。いい加減、11月になったら厚着しろ自分。



 今回はこれまで一部しか明かされなかった瞬木の過去が詳(つまび)らかにされた回だった。見ていて悲しくなってくるぐらい、瞬木のつらく悲しい気持ちが伝わってくる内容だった。

 物語当初に見せたお金に執着する彼の態度を卑しいものだと思っていたけど、この過去ならやむを得ないという気もしてしまう。彼の心が闇に支配されている本当の理由を知り、何とか友情というものの本質を見つめ直して欲しいという気がする。天馬たちならこの完全に凍てついた瞬木の心を融(と)かすことも不可能ではないと思える。

 彼らを繋ぐ触媒(しょくばい)は、遊び手を選ぶビュンカートではなく、サッカーという共通の言語を持つものであるわけだしね。




 話は変わって国民投票、今回はゴールキーパー部門の結果発表があった。予想通り、シリーズ最初の主人公、円堂守が1位の栄冠に輝いた! 現役の信助や井吹がダメだったのは残念だけど、レジェンド相手だしこの結果は仕方がないか。




 次回はいよいよ試合パート。心を見るという強敵なんだけど、そうとは思えないふわふわした連中に見えるのはなぜだろう? ポワイちゃんをはじめとしたサザナーラ人たちは可愛い娘が揃ってるな。サザナーラ人は全員が長髪で耳が見えないことから、頭上の猫耳っぽい部分が彼らの耳と考えて良いのかもしれない。



  次回「目覚めよ!俺のダークサイド!!」に続く。



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『イナズマイレブンGOギャラクシー』第24話「水の星の戦士たち!」の感想 【ララヤちゃんファザコン説】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第24話「水の星の戦士たち!」を観ての感想を書く。アレな方のマネージャーの正体が明らかとなる衝撃の告白から新たな惑星での騒動、そして連れ去られたメンバーが受けるプロポーズシーンなど、今回も盛りだくさんの内容だ。詳細は以下感想文にて。



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『イナズマイレブンGOギャラクシー』第23話「獣(ソウル)出現!」の感想 【みのりのカミングアウトがすべてを吹き飛ばす】
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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦1回戦において【惑星サンドリアス】代表チームと戦い、勝利を収める。


 それぞれの棲む星の運命を賭けて戦われるグランドセレスタ・ギャラクシーのルールに則(のっと)り、地球の運命はひとまず安泰(あんたい)となったものの、敗れたサンドリアス人たちのその後の運命を考えると、この勝利は天馬たちにもやり切れない思いを残した。



 その運命を変えることが可能だとしたら……? ブラックホールの発生により【惑星ファラム・オービアス】が陥(おちい)った危機がこの悲劇の始まりである。ブラックホールさえ何とかなるのであれば、このような非情な戦いは終わりにすることが出来るかもしれない。

 天馬にその道筋を示そうと現れたのは、【惑星キエル】のカトラ・ペイジ(CV:上田麗奈)だった。彼女のビジョンが教示(きょうじ)した【光る石】を4つ集めたとき、問題解決に向けた何かが起こるらしい。


 次の星に向けて飛び立つ宇宙船【ギャラクシーノーツ】号の船内で天馬はその不思議な現象を語る。だがその話をあり得ないと一蹴(いっしゅう)するのは、マネージャーの水川みのり(CV:高垣彩陽)であった。彼女が言うには、惑星キエルはすでに滅亡しているという……。

 一介の女子中学生がどうしてそのようなことを知っているのだろう? 天馬たちのその疑問に、みのりは自身がその惑星キエルの人間、つまり宇宙人であることを明かす。


みのり「私は宇宙人なの!」



 みのりの衝撃のカミングアウトに、天馬たちは大いに驚く。数学的実証主義の真名部陣一郎(CV:野島裕史)はその持ち合わせる思考ゆえにその主張を信じられないと懐疑的に両断する。

 みのりは淡々と、その事実を証明してみせると語る。彼女が天馬たちの前に持ってきたのは、一体の人形だった。


西園信助(CV:戸松遥)「に、人形!?」

 その人形、視聴者なら見覚えのある姿をしていた。それはこれまでは監督である黒岩流星(CV:佐々木誠二)の前にだけ姿を現していた怪しい小男、ポトムリ(CV:三木眞一郎)だった。



   オープニング



 その人形を持ち出して、何を証明しようというのか? みのりは質問されるより早く、早速実証に移ることを告げる。その直後、みのりは意識を失ったようにその場に崩れ落ちる。マネージャーの同僚、空野葵(CV:北原沙弥香)が駆け寄るが、みのりからの反応は無い。

 鉄角真(CV:泰勇気)や野咲さくら(CV:遠藤綾)はその態度をいきなり寝入るという冗談めかした行為と思うが、その直後に起こった驚愕すべき事態を前に、場が凍りつく。

 人形と思われた物体が声を発し、テーブルから飛び降りて動き出したのだ!



 事態の急変を受けて驚く一同。前列の面々は腰を抜かして座り込む。怖いもの知らずに思われた九坂隆二(後列中央 CV:岡林史泰)でさえ腰を落としてしまっている。


 驚く一同を前に、人形=ポトムリは慇懃無礼(いんぎんぶれい)に自己紹介をしてみせる。彼は現状、魂だけの存在としてこの人形、そしてみのりの肉体に憑依(ひょうい)していることを説明する。

 鉄角は人智を超えたその存在に警戒しつつ、なぜ宇宙人の魂であるポトムリが自分たちと一緒に行動しているのかを問いただす。

 ポトムリは彼の棲んでいた惑星、キエルの最期(さいご)を語り出す。キエルは今回のファラム・オービアスの危機と同様、ブラックホールに吸い込まれてしまったのであった。キエルが滅亡する寸前、ポトムリはただ一人、脱出することに挑んだ。

 そのチャレンジは半ば成功し、半ば失敗に終わる。彼の肉体はその際に滅んでしまい、精神である魂のみが残されたのだ。


さくら「それって幽霊!?」

 肉体を失い、魂だけの存在になるということ。それは地球人に馴染みの表現をすれば、「幽霊」ということになる。それに気づいた女子のさくらと森村好葉(CV:悠木碧)はガタガタ震えて抱きつき合う。幽霊を怖がるところなんてやっぱり女の子という感じがして可愛い。


 その言葉には、またも一同が驚くのだが、その喧騒をよそに幽霊状態のポトムリは話を続ける。精神体のみの存在となったポトムリは広大な宇宙をさまよい続ける。

 そしてたどり着いたのが地球であったのだが、孤独なまま長い長い時空間を経ていたポトムリの精神力はもはや尽きようとしていた。魂は肉体に宿っていてこそ、その存在を維持することが出来るのだ。

 そこでポトムリ(の精神体)は最後の力を振り絞り、病床で命が尽きようとしていたみのりの肉体に入り込み、みのりの命を救いつつ自身も消滅の危機から脱したのだという。



 事故なのか病気なのか、みのりの入院及びその生命力が尽きようとしていた原因はここでは語られなかったが、とにかくその肉体にポトムリの魂が宿ることによって彼女の命も救われた。その際、病床のみのりを微笑を持って見つめ続けていた人形が、ピエロのような姿のポトムリ人形であった。


 ポトムリは彼の精神が完全にみのりの肉体に定着しないように、定期的に彼女の身体と人形の間を行き来していたことを明かす。推論だが、宇宙人であるポトムリの精神力の方がみのりのそれよりも強く、ずっと定着していればみのりの魂と自身の魂が融合してしまい肉体を本来の持ち主(みのり)から奪ってしまうことをポトムリは懸念したのだと思われる。


 地球人(みのり)の肉体を借りて何とか生き延びたものの、ポトムリはその後の自分の使命を見いだせないでいた。だがそんな時、ポトムリは自身と同じく、地球人ではない者が放つ特有の「におい」を感じる。

 それが銀河連邦評議員にして月を奪い取るという形で地球人にグランドセレスタ・ギャラクシーへの参加を強(し)いたビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)だったのだ。

 ポトムリはその事態に運命的なものを感じていた。彼の故郷、キエルと地球が似ていたことを思うと、今彼が存在するこの地球を救うことが彼に課せられた運命なのではないかと考えたのは自然な発露であっただろう。それはブラックホールによって滅ぼされた母星キエルと現在のファラム・オービアスの運命を重ねての思考だったのかもしれない。

 ポトムリはそこでカトラについて驚くべきことを言及する。カトラは惑星キエルの姫君だと言うのだ。キエルもファラム・オービアスと同じく王政が敷かれた体制だったようだ。カトラはそこの王女(女王の可能性もあるが)ということになる。

 天馬はそれを聞き、カトラもポトムリのように何らかの形で生き延びたのではないかと強く語る。だがポトムリはにべもなくその仮説を打ち消す。彼以外にあの惨劇(さんげき)を逃げ延びた形跡は無かったと言うのだ。



 精神体のみとなったポトムリが最後に見たキエルの運命……それはブラックホールに飲み込まれていく母星の滅び行く姿だった。他の人間がこの運命から逃れられたとは思えないというのがポトムリの言い分だ。


 天馬がサンドリアスで見たというカトラのビジョン、それは幻(まぼろし)であるとしか説明がつかないとポトムリは語る。だが天馬はカトラのビジョンに教わるまでカトラやキエルという固有名詞すら知らなかったはずである。それを知っているということは、本人に会って聞いたという何よりの証明になると天馬は反論する。

 ポトムリは街のどこかで聞いた噂話が天馬の精神に影響を及ぼし、幻として現れたのだろうと再反論し、天馬の意見を受け入れようとしない。惑星キエルや、カトラ姫に襲いかかった悲劇を知る者は他の星にも少なくないというのがポトムリの説の補強論となっている。

 そこまで断言されては、天馬の実感したカトラのビジョンにも自信が持てなくなる。


 そこまで話が及んだところで、眠るように倒れていたみのりが意識を取り戻す。ポトムリの精神体が抑えていたはずのみのりが、その制御を失った状態で目覚めるということは……



みのり?「何なんだおめぇら〜っ!?」


 これまでの言動からはあり得ない暴言と暴力的な態度で天馬の襟(えり)をねじ上げて一同に喰ってかかるみのり。ポトムリ(の精神体)はあわてて人形から飛び出してみのりの肉体に入り、その制御を取り戻す。

 みのりはこれまでのような落ち着いた口調で語り始める。その落ち着いた口調はみのりの本来の人格ではなく、あくまでもポトムリが肉体内に存在する間の仮の姿であったことがここで明らかとなる。

 つまり逆説的に、先ほどの暴力的な言動、それこそがみのりの本来の人格であるということだ。


九坂「今のはつまり、スケバンってことか?」
みのり「彼女は学校でもかなりの問題児だったそうよ」


 それを聞いて、不良上がりの九坂ならではの情報として、みのりが「岩城中のミノタウロス」と呼ばれていた札付きのワルであることが明かされる。初対面時、のりをちょっと可愛いと思っていた皆帆和人(CV:代永翼)はその正体を聞いて背中に冷たい汗が流れるのを感じていた(はずだ)。


 みのりの肉体内にポトムリの精神体が存在するときは2人の精神が融合する状態となるらしい。ポトムリとも違う、本来のみのりとも違う第三者的人格となると語るみのりの表情はその事実を知った後であろうとも、やや不気味だ。


みのり「男性であり女性……大人であり子供……」



 みのりの正体とその意思という物語上重要な秘密を聞いたアースイレブンメンバーたち。それぞれの思惑を載せたまま、ギャラクシーノーツ号は次の目的地を目指して走り続ける。



 そのアースイレブンメンバーにあって、ただひとり拉致(らち)されたせいでその場に居合わせない剣城京介(CV:大原崇)はどこに? 余談だけど彼は普段から口数が少ないせいでニセモノと入れ替わっていたことをここまで忘れていたぐらい。


 そこはファラム・オービアスの王宮、女王であるララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)の御前(ごぜん)に剣城は連行されていた。



 囚われの身とはいえ、拘束されているわけでもなく自由な振る舞いを許されている様子。剣城そのものよりも、その周囲を飛び回るピクシー(CV:北原沙弥香)に似た黒いピクシーの姿が気にかかる。


 ララヤから女王であると自己紹介を受けても剣城のふてぶてしさは変わらない。自分をどうするつもりなのかと問いただす。ララヤは剣城に自分の側で仕(つか)えるよう言い渡す。

 これまでの話の経緯(いきさつ)から敵であることがほぼ必定であるファラム・オービアスに仕えろと言われ、剣城は鼻で笑う。そのような命令に服するつもりは無いということだろう。

 ララヤは自分の命令が断られても上機嫌に、剣城には選択肢が無いことを告げる。そしてファラム・オービアスのことを深く教えるとして剣城を街の散策へと導く。


 王族が乗るロイヤルな視察用の乗り物からファラム・オービアスの城下町がいかに栄えているかを剣城に見せつけるララヤ。

 国民たちもララヤの乗り物を見ると嬉しそうに歓声を挙げて手を振ってくる。これはララヤが女王としていかに国民に愛された存在であるかを端的に示すものであった。



 ファラム・オービアスの住人たちの中でもこの可愛い少女が印象的。宇宙一栄えたこの惑星も、今や滅亡の危機に瀕しているのだ。生き残るために他の星を犠牲にするというグランドセレスタ・ギャラクシーの理念が、図らずもこういった子供たちにとっても生き延びる希望となっているのが現状である。


 彼らの前に降り立って手を振り返すララヤの姿は、彼らにとって敬愛すべき為政者のそれであった。


ララヤ「ツルギ、妾(わらわ)の人気、すごいであろう?」


 ララヤは自慢げにその国民たちの歓声を剣城に示す。それには剣城も認めざるを得ない。ララヤがふと見つめる先に、一人ぼっちで泣いている小さな子供の姿が映る。ララヤは側近のミネル・エイバ(CV:佐藤健輔)に即座に命令を降す。


ララヤ「ミネル、あの子の涙を止めよ!」


 おおよそ専門外の役割を命じられ、ミネルは動揺する。だが剣城を誘拐させようとした時も見せたワガママさでその弁解を認めず、再度命令を降すララヤにミネルは逆らえない。その強面(こわもて)の風貌を台無しにしつつ、必死で子供をあやそうと務める。



 だがそんな強面の男に頭を撫でられて泣き止むはずもなく。一向に泣き止まない子供を見てララヤの怒りの矛先はミネルに向かう。

 そこにはぐれていたのであろう、その子供の母親らしき女性が駆けつける。抱き合って再会を喜ぶ母子を前に、ミネルはようやくこの分不相応(ぶんふそうおう)な役割から逃れられると安堵の息をつく。

 母親はララヤに謝罪の言葉を述べるのだが、その際ララヤの後見人のような存在の老婆が前に出て来てララヤの手を煩(わずら)わせた母親の思慮の足りなさを非難する。



 母親は膝まづいて謝罪するが、老婆は非難をやめない。だがその老婆の態度を一喝してみせたのはララヤだった。ララヤは何も迷惑とは思っていないと述べ、老婆の非難に正当性が無いことを示す。



ララヤ「妾はお前たちみんなが好きじゃ。好きな者たちにはいつも笑っていて欲しいのじゃ!」


 そう語って母子の無事の再会を祝福するララヤの姿。それは為政者としてなぜ彼女がこれほどまで国民に慕(した)われているのかの何よりの実証であった。そしてその姿を見る剣城にも意識の変化を与えていた。理不尽に剣城を誘拐したララヤのやり方はともかく、今この場で見られるララヤの優しさは本物であると剣城は見抜いていた。

 民たちもこのララヤの差配を見て満足し、より一層の忠義を持ってこの女王を支えていこうと決意するのであった。周囲を埋め尽くすララヤへの歓声はいつまでも鳴り止まなかった。



 視察を終え王城に戻る道中、ララヤはファラム・オービアス星の素晴らしさを剣城に説くが、剣城はそれに生返事で返す。怒り出すララヤに対し、剣城はファラム・オービアスが地球よりも文明的にも科学的にもずっと進んだ星であることを認めはした。

 そしてララヤに仕えるという命令にも服することに同意する。それを聞いて大喜びなララヤは一国の為政者というより、恋人の関心を惹くことが出来たことを喜ぶひとりの少女の表情に近かった。

 そして彼女は強引に誘拐してまで伝えたかったその願いを剣城に告げるのであった。



ララヤ「妾の夫になるのじゃ!!」
剣城「何っ!?」


 想像もしていなかった求婚の願いを受け、剣城は激しく動揺する。まぁそりゃそうだよね。剣城はいかに大人びていようとまだ13歳の年齢だし。色恋沙汰なんかもここまで一回も無かっただろうし。



 心底困ったという剣城の表情を見つめながら、ララヤはその顔を誰かの姿に重ねる。それは剣城にも、ララヤにも似た風貌の男性であった。頭に被る王冠から、それは先代国王の姿であろう。つまりララヤの父の姿であると推察される。その両者の風貌をダブらせながら、ララヤは心から幸せそうな顔つきで剣城が自らの伴侶(はんりょ)となることを夢想するのだった。ララヤちゃんファザコン説。



 一方、剣城がそんな事態に陥っていることなど知りもしないアースイレブンの面々は、ワープを終えて次の星域に到着していた。

 次の惑星に思いを馳せる信助だったが、そこはサンドリアスと同様に地球人を敵とみなす人々で溢れているはずである。歓迎はされないであろう。

 天馬は負ければ故郷を失うが、勝ったとしてもその星の人々を不幸にするだけだという現実に戦いの意義を見失いつつあった。その思いを汲んだ神童拓人(CV:斎賀みつき)は、自分たちに今できることはサッカーをするだけだと告げ、一戦一戦を戦いながら答えを見つけるのだと天馬の迷いを断ち切ろうと試みる。天馬も尊敬する先輩のその言葉が一面の真理であることを理解する。



 到着した惑星の名は【惑星サザナーラ】。星の周囲に一重の輪を持った青く美しい星であった。



 サザナーラステーション。青い星に違(たが)わず、水の中に駅がある。つまり今度の惑星は水の星であるということ。クジラに似た大型哺乳類が遊泳しているところを見ても、地球に似た環境にあるようだ。水の中に街があるという性質上、人の居住に合致した陸地はほとんど無いという感じなのだろうと推察されるが。


 水族館の中からのような景色に、駅に降り立った一同もしばしその目を奪われる。漁師だった鉄角はこの星の魚の姿を見て地球ではアイナメに当たると説明口調。魚とボクシングに関しては彼は誰よりも詳しい専門家だ(それ以外は脳筋だが)


 そこに、またも彼らに先立って迎える役を演じるコーディネーターのイシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)がやって来る。彼女はコーディネーターという表の役以外に、ファラム・オービアスの意向を受けるオズロックの部下という一面も持っている。剣城を誘拐した実行犯は彼女ということを忘れてはいけないだろう(天馬たちはまだそのことに気づいていないのだけど)。


 イシガシはもっと良い展望の場所があると一同に告げ、彼らの関心をその場に惹きつけ、案内することを言い出す。何となくイシガシの思い通りに動かされている気がするのだが……。

 天馬もそれに付き従いながら、カトラが言っていた「希望のカケラ」がこの星にも存在するのだろうかと考えていた。ポトムリからは否定されたものの、カトラの語っていた宇宙を救う話に賭けようとする天馬の気持ちは揺るいではいないようだ。



 動く歩道に乗って移動するアースイレブンのメンバーは、自分たちをジッと見つめながらも静寂すぎるサザナーラ人たちの様子を不審に思っていた。宇宙人である分、事情通のみのりはサザナーラ人が厄介な特徴の持ち主であることを知っていた。

 その特徴が何なのかを聞かないまま、皆帆は宇宙ではそれぞれの特性を持った人たちが息づいているという事実そのものを面白いものだと感じて笑い出す。知的好奇心が旺盛な彼はそういう事象が大いに関心事なのだろう。

 皆帆よりはみのりの語る言葉に危機意識を持った天馬は、何かあればすぐにギャラクシーノーツ号に戻れるよう、メンバーの意識を集中させる。


 同行するピクシーは窓外に広がる海の生物、特にクラゲに興味を示す。ピクシーを呼ぼうと天馬が声をかけるが、その瞬間、彼の名を呼ぶ声が聞こえてくる。

 見るとそこにはカトラが立っていた。



 天馬はそちらに駆け寄るが、いくら走ってもカトラの元にはたどり着けない。何だかブラックルームでの特訓を思い出す。

 天馬はカトラには聞きたいことがたくさんある。たどり着けないままに、彼はその疑問をカトラにぶつける。ポトムリに聞いた「惑星キエルがブラックホールに飲み込まれた」ことが事実なのかを問う。そしてカトラが今どこに存在するのかも。みんなを救う方法とは何なのか。

 カトラは悲しげな表情を浮かべて天馬の疑問には答えを与えようとはしない。ただ、天馬が自身の元を訪れることが出来た時、その暁(あかつき)にはすべてを話すとだけ告げる。

 その言葉は天馬に新たな疑問を生じさせる。どこに行けばカトラに会うことが出来るのかという質問には、グランドセレスタ・ギャラクシーで天馬たちが勝ち進むしかないとカトラは答える。相変わらずゼロ回答に等しい曖昧模糊(あいまいもこ)な言い分だったが、それを成し遂げれば宇宙のすべての人々を救うことが出来ると強くうなづいたカトラの真っ直ぐな視線を受け、天馬は必ず勝ち続けてカトラのいる場所に行くと請け合う。


カトラ「あなたは私の言葉が信じられるのですか?」


 カトラは自分で言っておきながらも曖昧な言い方であることも自覚していたのであろう。疑うことなく真っ直ぐな視線を返してくる少年を、いささか驚いたという口調でそう問い返す。

 天馬はカトラがデタラメを言っているとは思えないという自身の直感に素直に寄り添うことを告げ、カトラを喜ばせる。

 カトラは天馬たちを導くことにした理由を語り始める。サンドリアス戦で勝利したあと、サンドリアス人たちが嘆いている姿を見て悩んでいた天馬の姿を見て、カトラは天馬なら銀河を救うという強大な力を正しく使ってくれると確信したのであった。


 カトラはにっこりと笑いかけ、その表情のまま遠ざかって行く。また別れの時を迎えたと感じた天馬はまだ話し足りないことがあるとばかりに呼び止めようとするが、カトラはそのまま姿を消してしまう。



 ……
 天馬がカトラとの邂逅(かいこう)から現実に戻って来るのは、またもピクシーの鳴き声を聞いてであった。天馬は心配そうに自分を見つめるピクシーを安心させるようにその頭を撫でる。

 天馬がピクシーを呼びに行ったまま、帰ってくるのを待っていた他のメンバーは、今またカトラに出会ったという天馬の言葉を驚きをもって迎える。


みのり「そんなはずは無い」


 頑なにその言葉を否定するのはみのりであった。天馬は二度までも会ったカトラの生存を信じるのだが、みのりも自身の目で惑星キエルが滅ぶ瞬間を見た立場として天馬の言い分を否定する。

 天馬はみのりの意見を受けても、実体験したカトラとの出会いを信じると言ってお互いの意見は平行線だった。みのりはどうしてこうまで頑なにカトラの生存を否定するのだろうか? もしかして、ブラックホールはみのり(ポトムリ)に関係ある現象だったのかもしれない。ポトムリがカトラを滅ぼすために暗躍した可能性も……?



 そんな白昼夢的ハプニングがあったものの、一同はなおも先に進む。しかしその行く手を阻む者が現れた。通路状の橋の両側を挟み撃ちにして立ちはだかるサザナーラ人たち。

 歓迎せざる客であることを自覚していた鉄角は、ここでひと悶着あることを覚悟する。戦いを避けようにも挟み撃ちにあっている現状ではそれは不可能だ。




 この野試合のメンツもサンドリアスのときと同様、正式なチームの一員じゃなくゲームで出て来るスカウト連中なんだろうな。上段中央の猫みたいな容貌のサザナーラ人はたぶん魚好き。他の面々はイケメン揃いでサザナーラ人が美貌集団であることを予感させる。


 地球人のサッカーを見せて欲しいと語るサザナーラ人たちは、その言葉とは逆に挑発的な態度で迫ってくる。戦いが不可避であろうと、試合の前に自分たちの手の内を見せる必要はない。神童からそうアドバイスされ、天馬も同意する。


 前回と違ってこの場にはイシガシがいるのだが、そのイシガシも戦わないと帰してもらえそうにないと悲観的憶測を述べる。頼りにならないコーディネーターだ。



 やむを得ず試合に臨むアースイレブン。敵の数からして5対5のサドンデスルールの戦いだろう。13人でボコるという卑怯な真似はしないだろう。敵地だし。

 近くに存在するグラウンドに移動する。神童は天馬にこの戦いにあたっての作戦があるのかと問う。天馬はスピードのある瞬木隼人(CV:石川界人)との連携で一気に試合を終わらせる心づもりであることを明かす。その作戦を振られた瞬木も笑顔で応じる。

 キーパーには井吹宗正(CV:鈴木達央)が名乗りを上げ、DFには皆帆が立候補。彼はこの機会にサザナーラ人たちの特性を分析するつもりでいたのだ。

 皆帆がアースイレブン一のデータ班などとさくらや鉄角に持ち上げられていることに激しく嫉妬した真名部もDFとして出場することを宣言する。恩着せがましく手伝ってやると言われ、皆帆はありがた迷惑な表情を浮かべる。



「別に一人で十分なのに……」


 まぁそんなわけで出場する5名が決定した。天馬はこの試合よりも大事な本戦のため、無茶はするなと釘を刺す。もちろんメンバーたちに異存は無い。





 試合開始直前のフォーメーション。アースイレブンは天馬の作戦通り、ワントップに瞬木を置いて短期決戦に臨む形だ。一方のサザナーラ人たちはよく分からないけど、やはり一番ゴツイ赤毛の男がキーパーを務める。女の子は右サイドの黒髪と後方の猫っぽい子の2名。FWも女の子ぽいけど彼は♂。


 ベンチ前では選ばれなかったアースイレブンの仲間たちが応援する。剣城のニセモノである剣偽が選出されなかったのは単なる偶然か。

 「さっさと終わらせろ!」という鉄角の言葉にいささかカチンと来たであろうサザナーラ人たち。そうはさせないという気概を込めて不敵に笑う。


 アースイレブンボールで試合開始。天馬からパスされた瞬木だったが、それを読んでいたかのような黒髪にカットされてしまう。こんな時もあると瞬木に慰められ、気を取り直す天馬だったが、その後も偶然とは思えない頻度(ひんど)で仲間のパスが奪われてしまう様を目にする。



 何度も奪われてしまう状況は皆帆の目から見ても異常だった。だがその理由がチーム一の分析力の皆帆の眼力をもってしても分からない。


 天馬は敵のお株を奪うようなパスカットで逆襲に転じる。そして両翼の真名部と皆帆に指示を出しつつ、前方の瞬木にパスを送る。今度こそ通ると思われたそのパスだったが、猫娘にあっさりとカットされてしまう!



 その度重なるパス失敗には、さすがの瞬木もたまらず苦言が飛び出す。そして猫娘を追いながら瞬木は心の中で天馬に毒づく。その姿を見ていた敵のFW選手は、瞬木の姿に何かを見て取る。

 相変わらずパスが自分に通らない状況にフラストレーションを募らせる瞬木。FWの選手は黒髪と示し合わせたかのように面白いものを見る目で瞬木を見ていた。金髪の男も笑いをこらえながら瞬木を見る。彼らには一体何が見えているというのだろう?

 その不自然な態度に瞬木が気づく。天馬には瞬木が何か変わったところは見受けられない。これはサザナーラ人だけが見ることが出来る「何か」なのだろうか? そういえば先ほどみのりがサザナーラ人には厄介な特徴があると言っていたが……。


 自分たちを馬鹿にする連中にはプレーで見返すという井吹は、その正論をプレーで実証する。FWのシュートを横っ飛びに受け止めてみせる。

 井吹は受け止めたそのシュートを鼻で笑うことで自分たちを馬鹿にして失笑するサザナーラ人たちを見返す。そして真名部にボールを送るのだが、なぜかそのフィードも読まれてしまう。真名部からボールをカットした金髪は一気にシュートに持ち込む。その軸足の動きを完璧に見切った井吹は自信満々に右に体重を傾ける。だが……!!



 放たれたシュートは左サイドを襲う!! 軸足の動きを決めてからシュートコースを変えることなど普通は不可能だ。井吹の心を読めない限りは……。その事態には驚かされるのだけど、実はもっと驚くべきことがある。このシーンは金髪が放ったハズのシュートなのだがいつの間にかFWの青髪が放ったことになっていることだ!! これもサザナーラ人の能力ということなのか!? ……素直に作画スタッフが間違ったという説に1票。


 シュートはゴールネットを揺さぶる。誰もが信じられない光景だった。サドンデスルールによりこの試合はアースイレブンサイドの敗北に終わる。井吹は裏をかかれたことを悔しがる。

 敗北した彼らに、勝者であるサザナーラ人たちから容赦ない侮蔑の言葉が投げかけられる。負けた立場では何を言われても言い返せない。

 瞬木は憤懣(ふんまん)やるかたない様子だった。そこに最初に瞬木の姿に何かを見たFWの選手が歩み寄り、語りかける。



「お前、孤独なやつだな?」


 初対面の、しかも異星人に自分の素性をズバリと言い当てられ、瞬木は激しく動揺する。サザナーラ人は嘲(あざけ)るように瞬木のことを考えてくれる奴などいないと言い放ち、笑って立ち去っていく。可愛い顔して性格は悪いのがサザナーラ人の特徴のようだ。

 瞬木は自分の心を見透かされたこと、そしてそれを馬鹿にされたことに激しい怒りを募らせるのだった。
 


瞬木「何なんだあいつら……俺の何を分かるって言うんだ?」



 前哨戦(ぜんしょうせん)で完敗したアースイレブン。その眼前には暗雲が漂う。そして瞬木の心の闇を暴いたサザナーラ人のその能力とは、一体!?



 次回に続く。



  エンディング



 さて新しい戦場である惑星サザナーラに到着したアースイレブン。その前にみのりがポトムリと同一人物だったという説も事実として明かされた。正確にはみのりとピエロ人形にポトムリというキエル人の魂が憑依しているというのが正しい表現かな?

 みのりがどうやって黒岩の信任を得て協力者になったのかなどは描かれていなかったが今後説明があるのかもしれない。黒岩にはソウルを見抜く能力があるし、みのりの中のポトムリの精神体も見えるのかもしれないとかいろいろ想像している。


 また今回、ララヤから剣城に対してまさかのプロポーズがあったのが衝撃的。超次元サッカーアニメとしては男女のロマンスってあまり描かれて来なかったしねぇ。朴念仁(ぼくねんじん)な剣城にも春が来るのだろうか? ララヤはワガママだけど可愛くて、悪人だとは思えない気がする。まぁその割には剣城を誘拐させたりと手段を選ばないのだが。

 また彼女が国民から慕われる王の姿を見せていたのも良かった。乳母っぽい老婆がイジワルな分、彼女の優しさが引き立つのだけどな。ただ国民の笑顔を望むために側近のミネルを大いに困らせ、部下の笑顔を犠牲にしているという気持ちは捨てがたい。



 サザナーラ人たちは基本的に美貌揃いで前回のサンドリアスとはいろんな意味で対照的だった。砂の惑星から水の惑星だしね。彼らの特徴ある髪型は可愛い。猫耳ぽくて。彼らの特性はおそらく想像通りなのだと思うけど、それってサッカーではかなりのアドバンテージになりそうな能力だ。果たして天馬たちに勝機はあるのか。そして瞬木の心の闇はどうなるのか?




 今回はDF部門の投票。ゴールキーパーの時と違って3人までが選出されるから競争率は少しだけ低そう。とはいえ菜花黄名子(CV:悠木碧)を始めキラ星のような優秀な選手たちが揃っている。やはり現役の強みか、まなみなと好葉、鉄角の4人が強そうだけど狩屋マサキ(CV:泰勇気)や霧野蘭丸(CV:小林ゆう)など腐女子ウケするキャラも多い。なお、この投票ももう受付が終わっているので掛けても無駄です。



  次回「瞬木隼人の闇!」に続く。



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『イナズマイレブンGOギャラクシー』第23話「獣(ソウル)出現!」の感想 【みのりのカミングアウトがすべてを吹き飛ばす】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第23話「獣(ソウル)出現!」を観ての感想を書く。戦いを通じ、ついに秘められた能力がその姿を現す。彼らのその能力とはどういうものなのか? そして星の運命を賭けた戦いの結末は? 詳細は以下本文にて。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第22話「激突!宇宙サッカー!!」の感想 【ピクシーの可愛さとバルガのゴリラさと】
 をご覧ください。

  • それ以外の感想は、

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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦1回戦において惑星サンドリアス代表【チームサンドリアス】と激突する。

 チームサンドリアスを率いるキャプテン、カゼルマ・ウォーグ(CV:河西健吾)は自らの惑星の運命を賭けた戦いに正々堂々とアースイレブンと渡り合う。だがファラム・オービアスからアースイレブンを倒すために送り込まれた刺客、紫天王のバルガ・ザックス(CV:岩崎了)の意見がチーム内で力を持ち、カゼルマはそのリーダーシップを奪い取られてしまう。

 バルガの思い通りにラフプレーでアースイレブンを圧倒するチームサンドリアス。先制のゴールを奪われ、肉体的にも満身創痍(まんしんそうい)のアースイレブンに果たして勝機は見いだせるのだろうか?



 フィジカルの強さではこの場にいる地球人最強であろう九坂隆二(CV:岡林史泰)もバルガのゴリラタックルを受け砂の地面に撃ち付けられてしまう。



 地球人の脆弱(ぜいじゃく)さに勝ち誇ったように笑うバルガを、九坂は久しぶりにキレた【怒髪天モード】の視線で睨みつける。

 確かに怒髪天モードを発動させた九坂ならゴリラ相手の殴り合いでも良い勝負が出来そうだが、それを止めるのは天馬だった。地球の代表チームとして正々堂々と戦おうと九坂の怒りを諌(いさ)める。


九坂「……ウッス!」


 九坂は元の温厚な表情に戻り、天馬の差し伸べる手を掴む。地球の代表として暴力に暴力で報いるようなことはすべきではないという思いは、元番長でケンカ上等の九坂の心にも浸透しているのだ。

 バルガはそんな彼らの姿に、綺麗事(きれいごと)に終始する地球人の精神面における弱点をも見たかのように邪悪な笑みを浮かべる。



   オープニング



 徹底的にクリーンに正々堂々と渡り合うアースイレブン。だが戦いはシビアだ。卑怯な手段で攻めてくるサンドリアスの攻勢になおも苦戦が続く。野咲さくら(CV:遠藤綾)が3番の選手の砂嵐に吹き飛ばされてボールを奪われる。

 それをスライディングで奪還するのは鉄角真(CV:泰勇気)だった。危機を脱した鉄角は前回と同じ手段でしてやられたさくらに対して苦言を呈する。さくらもその言い方がキツ過ぎるとむくれ、息を合わせなければならないアースイレブンのチームワークは険悪な雰囲気に包まれる。本来、お互いの怒りは相手チームに向けなければならないものなのに……。


 その後も砂地のフィールドを味方につけるサンドリアスのチート(ズル)なプレーはアースイレブンを苦しめ続ける。チームの実権を掌握したバルガは子分たちのその卑怯なプレーに満足げだ。


 真名部陣一郎(CV:野島裕史)と皆帆和人(CV:代永翼)のDFを難なく突き破った8番がシュートチャンス。キーパー井吹宗正(CV:鈴木達央)に向かってまたも砂を蹴りつけるという卑劣な目つぶしで視界を奪い、ヘディングシュートを放つ。井吹は苦しみつつも前回同様、そのシュートを類稀(たぐいまれ)なる身体能力でキャッチする。

 だが井吹の怒りの矛先(ほこさき)は8番の敵選手に向けられず、あっさりと抜かれてしまった真名部と皆帆に向かう。井吹に怒鳴られた真名部は自分の瑕疵(かし)は棚に上げ、皆帆のプレーを批判し始める。その態度には(ピンチは)自分だけのせいではないと、皆帆も当然のように反発する。


真名部「勝たなければ地球はおしまいなんですよ!?」
皆帆「言われなくたって分かってるよ!!」


 あらゆる方面で沸き起こる仲間同士の罵(ののし)り合いに森村好葉(CV:悠木碧)は不安感を覚える。それは彼女が経験したある悲しい出来事を喚起させる、デジャビュのような役割を果たしてしまった。



 好葉を人間不信にさせた理由、それはイジメであった。ささくれ立つ仲間たちの怒りに満ちた表情は、いじめられていた昔の記憶を想起させてしまう。フラッシュバックのようなその光景は好葉を怯(おび)えさせる!


好葉「みんながウチの嫌いな顔してる……」


 そんな不信感がチームに満ちる中、井吹は九坂にボールをフィードする。それを阻止するのは9番のザバ・ハーラー(CV:田尻浩章)。またも地面に頭から特攻して砂煙と衝撃で九坂を吹き飛ばすことだけが目的のサッカーのプレーとは言えないラフプレーを受け、九坂の怒髪天がまたも表出してしまう。


九坂「本物の頭突き、見せてやろうかぁ〜ッ!!」


 必殺技の「キョウボウパチキ」……もとい「キョウボウヘッド」を持つ九坂は目には目を、頭突きには頭突きをのつもりで食ってかかる。だが好葉がそれを押しとどめる。



好葉「ケンカはダメ〜っ!!」


 好葉はアースイレブンの仲間たちを大好きな仲間たちと形容し、本来は優しい穏やかな性格のはずなのに地球の運命を抱えているという不安感からイライラを抑えきれない今の状態を嘆(なげ)く。

 好葉の言葉は言葉足らずなものだったが、それだけに心の底からの思いの発露であることが九坂にも一瞬で理解された。その理解は一度はフラレたものの好葉を今でも好きな九坂だからこそ、なのかもしれない。彼は怒りに満ちた表情をまた穏やかなものに戻し、好葉に詫びるべく歩み寄る。


 その姿をじっと見ていたベンチの市川座名九郎(CV:小西克幸)は、確信したかのようにこうつぶやく。



「私たちは勝ちますよ」


 試合展開は圧倒的に苦戦の模様、しかも仲間のチームワークは最悪な状況だ。それなのに座名九郎は自信満々にアースイレブンの勝利を断言した。隣で聞いていた西園信助(CV:戸松遥)と空野葵(CV:北原沙弥香)が意外そうな表情を浮かべ、その真意を尋ねる。

 座名九郎はピンチの状況がこの場面には必要なのだと謎めいた返答をする。チームは追い込まれているが、追い込んでいるのは敵ではなく、監督である黒岩流星(CV:佐々木誠二)なのだと座名九郎は現状の説明をする。

 黒岩がチームをわざと窮地(きゅうち)に追い込み、このチームの「覚醒」を待っているのだと座名九郎は告げる。彼には黒岩の考えていることが分かるらしい。そして黒岩が何を待っているのかも……。


 座名九郎はここで黒岩に試合に出すことを直訴する。黒岩はサングラスに隠された目で座名九郎の視線を見つめ返し、一言、許可を与える。


黒岩「いいだろう。流れを変えて来い」
座名九郎「フッ、そう言うと思いましたよ」


 この決めゼリフが言いたかったんじゃないかと思えるぐらいエエ顔をして、座名九郎はピッチに向かう。余談だがイナギャラで選手交代のシーンが見られるのは23話目の今回にして初めて。



 交代選手に指名されたのは11番、瞬木隼人(CV:石川界人)だった。瞬木は活躍の機会の無いままベンチに下げられることに大いに不満顔だった。チームでは剣城京介(CV:大原崇)に続いて点を取る能力に優れている瞬木だけにその気持ちもよく分かる。その気持ちを慰めるように神童拓人(CV:斎賀みつき)は未知数の座名九郎を起用するということで流れを変えるつもりなのだろうと告げる。これは黒岩が画策する作戦をそのまま言い当てていてさすがは神童と言いたくなる場面。拗(す)ねる瞬木の態度もどこか可愛い。


 瞬木はその作戦に納得したかのように頭を掻き、ピッチインして来る座名九郎とハイタッチする。背番号18番、座名九郎の実戦でのデビュー戦だ。

 座名九郎はこのフィールドの特性を教えようとする天馬を制して、少し時間が欲しいと告げる。そして先ほどじっと見つめていた好葉のもとに歩み寄り、ひとつの質問をする。


座名九郎「サンドリアスの選手の中で誰が一番怖いですか?」


好葉『お前じゃ!』


 九坂に続けて会話したことないデカイ男に近寄られ、やや怯えた様子だった好葉。「サンドリアスの選手」という縛りがなかったらこう答えていたかもしれない。


 好葉は質問の意図に気を取られ、真剣にその質問に答えようとする。好葉が見つめるサンドリアスの選手たちにあって最も存在感のあるゴリラ、バルガがまずその対象となる。そして卑怯なプレーはしないものの実力者であるカゼルマもその対象だ。

 座名九郎はそれを聞いて納得し、好葉に向けてみんなを守る方法を教えると驚きのアドバイスを提示する。



座名九郎「彼らを鬼ごっこの鬼と思ってください」


 彼らに捕まらないようにボールを使った鬼ごっこをすると思って欲しいと言われ、好葉は毒気を抜かれたような表情になる。言っている言葉の意味が脳に染み透(とお)るまでしばらく時間がかかりそうなアドバイスなのは確かだった。

 好葉がうまく逃げれば鬼たちは仲間を追わずに好葉のみを追ってくるのだと座名九郎は続ける。なぜそうなるのかは告げないままではあるが、大好きな仲間を守りたいという気持ちは誰よりも純粋な観点で持ち合わせる好葉はその役割を受け入れる。

 座名九郎はそこで、これまでの柔らかい語り口をやや強めて「やるからには本気で」対処するよう釘を刺す。好葉はもはや座名九郎のアドバイス通りに動くことこそが自らの使命だと思うようになっていた。決然と駆け出した彼女は天馬に向けて語りかける。


好葉「ウチ、みんなを守りたい!!」


 これまでに見られなかった好葉の前向きな気持ちに接し、天馬はかつて好葉が出した獣状のオーラを思い出す。もしかしたら好葉はあの秘められた能力を覚醒させようとしているのかもしれない……!!



 選手交代の長いインターバルを経て試合が再開される。天馬はキャプテンとして仲間たちの秘められし能力を引き出す触媒(しょくばい)の役割を果たそうと心得る。

 ドリブルで駆け上がった天馬は好葉にパスを出す。好葉はDFというポジションにあるまじきオーバーラップで敵陣に入り込む。好葉にとっての「鬼ごっこの鬼」カゼルマが勢い込んで向かって来るが、好葉は横パスで逃れる。

 ただそのボールを押さえたのは、もうひとりの鬼、バルガだった。バルガは邪悪な笑みを浮かべ、身の程知らずな地球人を制裁しようと好葉に向けてドリブルで向かって来る!

 チーム1小柄な好葉がゴリラに轢(ひ)かれたら冗談抜きで大惨事だが、好葉は仲間を守るという使命に恐怖を忘れ、立ち向かっていく。これはかつて子猫を救うためにトラックに向けて駆け出した好葉の情動を思い出させる。好葉の潜在能力の発露への乗り越えるべき障壁であった(そこには子猫が仲間に、トラックがバルガにという違いがあるのみ)。


好葉「ウチがみんなを守る!!」



 そう叫ぶ好葉をオーラが包み込みこむ。バルガに向かっていくのはあたかも一匹の獣【ソウル】であった! キツネの姿をしたそのソウルがバルガを捉え、ついにその巨体を吹き飛ばしてボールを奪取する。


カゼルマ「奴らがソウルを!?」
バルガ「馬鹿な!?」


 好葉の発動させたソウル、それはフォックスのソウルと実況のダクスガン・バービュー(CV:勝杏里)が解説する。敵が動揺し、仲間たちが唖然とする中(発動した本人の好葉ですら)、この瞬間を待っていた黒岩だけはサングラスを光らせて笑う。彼が見込んだケモノの力の保持者がそのベールを脱いだ瞬間であった。



 ただその喜びの表情は贔屓目(ひいきめ)に見ても悪役丸出しの表情だったが……。



 その能力が【ソウル】という名であることを天馬は初めて知る。座名九郎はすでに知っていたらしく、一つ満足げにうなづくのみだった。

 そして好葉、自身の中に眠る特別な能力を体現し、未だ信じられないといった表情で胸を押さえる。まるでそこにソウルが詰まっているとでも言わんばかりに。


 実はバルガを粉砕しボールを奪った場面はチャンスである。試合がまだ続行中であることを、好葉は九坂からのパスの要請で思い出す。

 天馬に促(うなが)され、好葉は九坂に向けて大きくボールをフィードさせる。九坂はそこでバンダナを脱ぎ捨て、理性に制御された中での狂気、怒髪天モードを発動させる。

 それは彼の必殺シュート「キョウボウパチキ」……もとい「キョウボウヘッド」への布石だった。ソウルの力、さらには怒髪天モードという相次ぐ特性に目を奪われていたのか、キーパーのバダイ・ジャラン(CV:泰勇気)は必殺技を出す間もなくゴールを割ってしまう!



 なにげに九坂も得点数が多いよね。もしかしたら瞬木より多いかも。


 豪快なシュートがゴールを奪い、これで試合展開は1−1の五分になる。これが地球人が宇宙で獲得した記念すべき第1ゴールでもある。剣城でもなく瞬木でもなく、天馬でもなく神童でもなく九坂だったというのは意外な気がするが。


 九坂は想い人である好葉に向けてガッツポーズ。好葉も自身のプレーからの得点に笑顔を浮かべて九坂のゴールを祝福する。

 そしてここで前半戦が終了する。前半終了時間間際に同点に追いつくというアースイレブンにとって良い形で試合は後半戦に持ち越される。




 ハーフタイム、ベンチに戻ってきた好葉を葵が称える。好葉は褒められることが恥ずかしいながらも嬉しそうだ。彼女自身もこんな大きな能力が秘められているとは思ってもみなかったのだろう。「ウチもびっくりした」という言葉に嘘は無い。


 天馬や信助もこの展開に大いに喜び、後半戦で逆転できると意気込む。交代され信助の隣でそれを聞く瞬木は面白くなさそうだったが。


 一方、さらに面白くないのがバルガであった。サンドリアスベンチで荒れるバルガは、ドスを利かせた声で仲間たちに後半戦は自分の指示に服従することを命じる。そう、これはもはや命令であった。

 まだバルガに魂までは売っていないFWコンビが異議を唱えようとするが、バルガは仮にこの試合に勝利したとしてもサンドリアスに次は無いという表現で脅迫する。これはバルガの一存でサンドリアスの運命などいくらでも変えることができるという、真の意味での脅迫だ。

 FWの2人以外にも睨みを利かせ、バルガは奮然と仲間の輪を出て行く。残されたサンドリアス人たちには、あのカゼルマですらバルガには逆らえないという思いだけが残される。



 そして不穏な空気をはらみつつ、後半戦が開始される。チームサンドリアスのキックオフ。カゼルマからパスを受けた 10番のFWシャル・キーヤー(CV:不明)はバルガの恫喝(どうかつ)を背に受け、前半にはやらなかった非情のプレーを天馬に仕掛ける。

 砂を蹴りつけ、天馬の視界を奪うというバルガの子分たちしかやらなかった卑怯なプレーを敢(あ)えてした中立派のシャルをカゼルマは非難するが、シャルは悔しさを隠し切れないまま、(試合に)負けたくないと訴える。カゼルマもそう言われては返す言葉がない。


 中立派の4人がバルガに完全屈服し、後半戦はカゼルマとバダイを除いた全選手が容赦のないラフプレーでアースイレブンに襲いかかる。プライドも誇りも捨てて、ただ生き延びるためだけの戦い方にカゼルマはそれが正しいことなのかと激しく悩み苦しむ。


 そうしている間にもバルガは神童にゴリラアタックを敢行する。



 そして立ち上がろうとする神童に奪ったボールを蹴りつける。これはラフプレーを越えた許されざるプレーだった。心配して駆け寄った天馬にも強烈なシュートをお見舞いするバルガ。



 なりふり構わずサッカーではなくサッカーを利用した格闘技を駆使してアースイレブンを痛めつけるバルガ。ゴリラ度で勝る彼のフィジカルには座名九郎ですら敵わない。剣城は今回かなりの空気なんだけど、たまに出てきたと思ったらこんな目に。


 バルガの傍若無人(ぼうじゃくぶじん)なプレーには、先にバルガに魂を売った8番の選手ですらやり過ぎを感じて引いてしまう。


 さくらは敵の砂嵐に苦しめられながらも、天馬に向けてパスを送る。それに対応するのはサンドリアスのキャプテン、カゼルマだった。



カゼルマ「君はこんな試合が嫌にならないのか!?」


 バルガの卑怯な方針に従わないものの、それを止めることも出来ないカゼルマは自己嫌悪を隠すようにそう問いかける。それに対する天馬の返答が振るっていた。


天馬「正々堂々と戦うだけだ! 後悔したくないから!!」


 その言葉はカゼルマの胸を強く打つ。カゼルマが本来したかった「正々堂々たる戦い」を、この劣勢時においても一時も忘れずにやり切ろうとする天馬の姿はカゼルマにどのような思いを持って受け止められたのだろう?


 ボールを奪い合っての両者の力は拮抗(きっこう)していた。両者が倒れこみ、三度目のキャプテン対決は引き分けに終わる。ルーズしたボールが転がっていく先、それはこの戦いが歪められる元凶を作り出したバルガの元だった。

 バルガはカゼルマとの力比べで倒れた天馬に向けてそのボールを蹴りつける。ゴリラ並みのパワーで蹴られたボールが天馬を襲う。後ろから蹴られた分、天馬はそれにまだ気づいていない。心構えが無いままその強烈なシュートを受ければ大怪我を喫してもおかしくはない!



 その危機を救ったのは、敵であるはずのカゼルマであった。誇り高きサンドリアス人としての矜持(きょうじ)がバルガの卑劣な行為を許せなかったのだろう。やはりカゼルマはナイスガイだった。


 ボールはカゼルマに反射してサイドラインを割る。バルガは自分の方針に従わないばかりか公然と逆らったカゼルマを怒鳴りつける。だがカゼルマには故郷の惑星の運命を天秤にかけてさえ譲れないものがあった。



カゼルマ「誇りを守れない者は誰も守れはしないんだ!!」


 カゼルマは天馬たち地球人が正々堂々と戦う姿を見て、自分たちがそれに応えないことは許されないということを先ほどの天馬との会話で肝に銘じたのだろう。そしてバルガとカゼルマのやり取りを見ている他のサンドリアス人たちの心境は?


 本来の誇り高きサンドリアス人の気持ちを奮い立たせるべく、カゼルマの側近であり同調者であるキーパー、バダイが仲間たちに語りかける。「このままで良いのか!?」という彼の問いかけは、彼らにサンドリアス人としての誇りを取り戻すに十分な思いが込められていた。



 アースイレブンボールのスローインで試合再開。ボールを持って上がる神童に向け、ラフプレーで潰すよう命令するバルガ。だがそれに従う選手はいなかった。中立派はもとより、9番のザバをはじめバルガの言いなりだった選手たちですらバルガの命令に従わない方針を明らかにする。



ザバ「断る!」
バルガ「なに!?」
8番「サンドリアスの誇りは守る!」


 バルガの子分だった頃は悪党ヅラしていた彼らもサンドリアス人としての矜持を取り戻した。仲間たちの心変わりに、カゼルマは誇りとともに仲間たちの信頼すら取り戻した気持ちになったであろう。


 おそらくこの機会を逃せばチームサンドリアスは一層強く立ちはだかることになる。機を見るに敏の神童は意思統一なった敵がその行動まで統一されるよりも前に事を成さねばならないことを体験的に理解していた。すかさず剣城にパスを送り、「神のタクトFI(ファイアイリュージョン)」を駆使する。



 神童は炎の軌跡で天馬を、そして座名九郎を導く。



 仲間のサボタージュを受け自分で行くしかなくなったバルガが迫る中、座名九郎は得意の歌舞伎の見栄のポーズで見事にその突進をかわす。バランス感覚に優れた座名九郎の面目躍如(めんもくやくじょ)だろう。


 ピッチに立って以来の言動で試合の流れを完全に変えてみせた座名九郎のプレーに満足するように、黒岩は笑う。そう、この次に何が起こるのかも黒岩にはお見通しだった。


 座名九郎の身体がオーラに包まれる。そこを疾駆(しっく)するのは金色(こんじき)に輝くライオンの姿……これは好葉のときと同じ、ソウルの力!!

 飛び上がった獅子は咆吼(ほうこう)をもってシュートに変える!! その偉容(いよう)に畏(おそ)れつつもバダイはサンドリアス人の気概にかけてそのシュートを阻止しようと必殺技「サンドノック」で迎え撃つ。




 だが座名九郎のシュートはバダイの「サンドノック」を撃ち破ってゴールネットを揺さぶる。2人目の能力発動者の逆転のシュートが決まり、これでついにアースイレブンが2−1とリードを奪った!!



 瞬木、信助、葵が呆然と見つめる中、水川みのり(CV:高垣彩陽)だけは黒岩の真意に気づいていた。黒岩は座名九郎が歌舞伎で「獅子王」という役を演じ切るために、ソウルの力をすでに会得していることを知っていたのだった。そう聞けば、座名九郎がなぜこの試合に勝てると言ったのか、好葉にあのようなアドバイスをしたのかという理由が一気に氷解する。


 ケモノの力を覚醒させるには、トリガー(引き金)となる存在が必要であり、座名九郎をアースイレブンにスカウトしたのはそれが理由であるということだ。



 一方、逆転されたバルガは収まらない。命令を無視したサンドリアスの選手たちを見回すが、ゴリラ並みの知能でも彼らの敵意にあふれた視線を見れば味方は一人もいないことぐらいは気がつく。バルガは自ら選手交代を告げ、奮然(ふんぜん)とフィールドから出て行く。

 純正のチームサンドリアスの姿を取り戻し、カゼルマはこれからが本当の地球代表とサンドリアス代表の戦いであると宣言する。天馬はもちろんその宣言を歓迎する。



 試合再開。




 ここでこの時点での両チームの布陣が紹介される。フォーメーションは両チームともに変化なし。メンバーチェンジは各々(おのおの)一人ずつ。アースイレブンは瞬木→座名九郎に。チームサンドリアスはバルガ→12番の選手に。もはやバルガの子分では無くなったはずなのに、8番は相変わらず悪い顔やで。


 リードされているサンドリアスが攻める。ザバの突進を阻止しようと神童が立ちはだかるが、ザバはどうしようも出来ない系必殺技「ディグスルー」で神童を抜き去る。キョロキョロして翻弄(ほんろう)される神童くん可愛い。



 まんまと神童を抜いたザバはチームの支柱のカゼルマにパス。それに対応するのは皆帆だった。カゼルマはソウルが地球人特有のものではないと言うと、その身をオーラで包み込む。まさか、ソウルは他の星の人間にも使える能力なのか!?


 ソウルパワーによってカゼルマは大きなトカゲの姿になる。その姿で砂地を大海原のように泳ぎ、皆帆の頭上を飛び越えて突破する。



 皆帆を抜き去ったカゼルマはアースイレブンゴールに迫る! そこで彼は必殺シュート「ダストジャベリン」を撃つ。井吹は必殺キーパー技「ワイルドダンク」でゴールを阻止しようと身構える。



 直訳すれば「砂塵(さじん)の槍」といった感じであろうか?


 さすがは初披露の必殺シュート、やや時代遅れの感がある「ワイルドダンク」では止められず、同点のゴールが突き刺さる! これで試合は2−2と、またも試合は五分の展開に。


 カゼルマは珍しくガッツポーズでこの得点を誇示する。もしかしてチームサンドリアス、正々堂々としたプレーをした方が強いんじゃないか!?



 今度はアースイレブンが攻める番だ。さくらがドリブルで敵陣を攻め上がる。それまで砂嵐で視界を奪うという卑怯なやり方でさくらを苦しめて来た3番は今度こそ正々堂々と必殺技で対抗する。



 地中に潜り、下から突き上げるようにボールを奪い取る必殺技「ディグアップ」。……ごめん、やっぱり必殺技使っても卑怯だわ。さくらちゃんはサンドリアス人が嫌いになりそうな受難が続く。


 3番はやはり奪ったボールをカゼルマに回す。司令塔にして決定力を持った彼はやはりこのチームの支柱だ。このままカゼルマの前進を許せば先ほどの失点の二の舞だ。天馬が猛然とカゼルマに挑みかかる。

 だがカゼルマにはソウルの力という一日の長(いちじつのちょう)がある。惜しみなくその能力を駆使して天馬を抜き去ってしまう。


 ソウルにはソウルと、アースイレブンでソウルの使い手である好葉がカゼルマに向かう。そしてバルガの時のようにカゼルマからボールを奪い返してしまう。


 まさに両者の死力を尽くした一進一退の攻防が続く。好葉はアースイレブンの支柱、天馬にボールを託す。天馬はこのフィールドでは重力的にパスが遠くまで届くことを見越し、最前線の剣城に一気にボールを送ることが可能だと判断し実行する。

 そしてその賭けは成功する。大きなパスに駆け込んだ剣城はその勢いのまま必殺シュート「バイシクルソード」に持ち込む。迎え撃つバダイも、一度そのシュートを止めている必殺キーパー技「サンドノック」を発動させて絶対阻止の構えだ。


 だが今度は剣城のシュートが勝利を収める!! バダイの一度目の阻止もギリギリの勝負だったのかもしれないが、今度は剣城が力で押し勝ったという印象を受ける。これで得点は3−2と、またもアースイレブンが突き放す。



 その頃、この試合を観ていた銀河連邦評議会の構成員、ビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)のもとにファラム・オービアスの紫天王のミネル・エイバ(CV:佐藤健輔)より連絡が入っていた。

 ミネルはファラム・オービアス女王のララヤ・オビエス(CV:高垣彩陽)からの命(めい)であることを告げながら、アースイレブンの剣城をファラム・オービアスに連行するように伝える。



 ミネルがオズロックに命令するというこの構図は結構意味深なものを思わせる。さておきオズロックは女王からのその指示の真意を見通せないまま、命令を実行することを誓う。



 その間にスターシップスタジアムでは試合終了のホイッスルが鳴り響いていた。試合はそのまま3−2で地球代表アースイレブンの勝利に終わったのだ!!


 天馬は勝利を受け拳を突き上げて喜びを爆発させる。他の選手たちもまずはハードルを一つ越えられたことに安堵の表情を浮かべる。今後の戦いに思いを馳せれば、楽観してはいられないことは確かだ。



 そしてさらに辛い現実として、今この場で天馬たちは敗者の心境を目の当たりにすることとなるのである!



 スタジアムを埋め尽くす観客たちから絶望を思わせる声が響き渡る。それはサンドリアス人たちがおのれの運命を嘆き、滅亡の憂き目にあったことを怨嗟(えんさ)する声であった。


 天馬はその声を聞き、この勝利が決して喜ばしいことだけではないということを悟る。そこに声をかけてくるのは、この熱戦を戦い抜いたチームサンドリアスの将、カゼルマだった。

 カゼルマは思ったよりもずっとサバサバした表情で、初戦を勝ち抜いた天馬たちアースイレブンの勝利を祝福する。だがその態度は彼らを滅亡の憂き目に追いやった天馬をより辛く苦しい立場に追い込む。いっそ呪いの言葉を投げかけられた方が気が休まったであろう。こんなに良い奴らを滅びの運命に追いやってしまうなんて……。



 その罪悪感を口にする天馬に対し、カゼルマは笑顔でサンドリアス人としての誇りを守った自分たちに満足し、その運命を受け入れると従容(しょうよう)とした態度で答える。誇り高きサンドリアス人の気概を思い出させてくれたアースイレブンに感謝しつつ……。


 敗者の美学を感じさせるカゼルマの崇高で立派な態度だった。その誇り高き態度が、天馬をよりやり切れない思いにしてしまうのではあるが……。



 試合を終え、次の対戦相手の星に向かうためにステーションに向かうアースイレブンの一行。だがその道すがら、サンドリアス人たちの姿を見ずに移動できるものでは無い。

 打ちひしがれ、未来に絶望したサンドリアス人たちの姿を見て、天馬たちはやり切れない感慨に浸(ひた)る。


井吹「……勝ったのに後味悪いぜ」


 彼らが勝つということは、一方で相手の星を滅ぼしてしまうということ……。天馬はこの重すぎる事実を受け、自分たちの戦いに疑問を抱く。地球だけが助かろうというのは、自己保身的なエゴイズムなのであろうか……?


ピクシー「ピク〜ッ!!」


 その思いに呼応するかのように、ピクシー(CV:北原沙弥香)が一声鳴き声を上げて脇道にそれ、どこかへと飛び去っていく。天馬はそれを見て、追わずにはいられない衝動に駆られる。それはいつか夢で見た少女の導きを連想させるものであったからだ。

 持っていた荷物を葵に託し、天馬はピクシーの後を追う。砂漠を進んだ先の岩場の上で、ピクシーは天馬の到着を待っていた。

 さらに進んだ先で、ピクシーはある一点を指し示す。その地表から光が湧き上がり、少女の姿が出現する。それはやはりあの夢で見た少女の姿であった。

 少女は宙に浮かび、天馬のもとにやって来る。また夢を見ていると思った天馬に、少女は初めて言葉をかける。


少女「あなたは優しいのですね」


 少女は自身の声が届く数少ない人と天馬を評する。天馬は少女の素性を尋ねる。少女は惑星キエルのカトラと名乗る。



 カトラ・ペイジ(CV:上田麗奈)。彼女は自身の言葉を伝えられる存在として天馬を見いだし、彼に伝えたいことがある旨を告げる。


 カトラは天馬に銀河を救う方法を教えたいと語る。その壮大な話をいきなり告げられ、天馬は理解することが出来ない。だがカトラの言葉はなぜか信用に足るものに思われた。

 何より辛い戦いを強いられる天馬にとって、銀河を、そしてみんなを救う方法があると聞いて耳を貸さないはずはない。カトラは着いて来て欲しいと述べ、飛び立つ。天馬はあわててそのあとを追う。


 砂が流れる岩場をぬって飛ぶカトラを天馬は追いかける。彼女に着いて行けば銀河を救う力が得られるという話を信じて。


 やがて天馬は洞窟の中に導かれる。それはカトラの姿をした光の玉に導かれたときと同じ場所のようだった。前回はここでピクシーと出会ったのだが……


天馬「やっぱり夢で見たのと同じだ!」


 カトラは台座に置かれた輝く石を示し、これが銀河に散らばった希望の欠片(かけら)の一つであると語る。その数は全部で4つ。そしてそれを集めてカトラの元へと持ってくることが出来れば何かが起こるらしい。だがその具体的な説明をする前に、カトラは何かに怯えて姿を消してしまう。カトラの姿は映像で、どこか別の空間からビジョンを送っていたのかもしれない。そして彼女の存在する空間で何か彼女が恐れるものの接近を察知して消えてしまった……のであろうか?


 消えてしまったカトラを呆然と見送る天馬を現実に引き戻したのは彼を心配するピクシーの鳴き声だった。不安そうに天馬を見つめるピクシーを安心させるようにうなづいた天馬は、輝く石を見ながらこの荒唐無稽(こうとうむけい)な話に賭けてみることを決意する。

 カトラの言うことが本当である保証は何も無い。しかしそれでもサンドリアス人たちの落胆を見て、もうこれ以上誰も悲しませたくないと思う天馬にとってその選択は至極当然なことであった。



 一方、先にステーションに到着し【ギャラクシーノーツ】号に乗り込んでいた剣城は、何者かの訪問を受ける。ドアを開けた彼の前には、自身にそっくりな外貌の人物が立っていた!



 これはいわゆる「ドッペルゲンガー」現象というやつであろうか!? ドッペルゲンガーを見た者は数日以内に逃れられぬ死が訪れるというのだが……。


 「何だ、鏡か」というボケをすることもなく素直に驚く剣城に対しそっくりさんはその手を指し伸ばす。すると本物の剣城は意識を失い、その場に崩れ落ちる。さらにそのニセモノの横から現れたのは、コーディネーターとしてアースイレブンに同行するイシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)であった。オズロックの部下であるイシガシがその密命を受け、剣城誘拐に加担したのであろうことは明らかだった。


イシガシ「上手くやれ」


 ニセモノの剣城は無言でその指示に従う旨を表現する。剣城を誘拐して以後はこのニセモノがなりすますというわけであろうか。イシガシの「上手くやれ」というのは上手く地球人たちを騙し続けろという意味なのだろう。



 そんなことが船内で行われていることも知らずに、葵は天馬の帰りを心配していた。プラットホームで待つ彼女の前に天馬が何かを持って帰って来た。天馬がピクシーだけでなく輝く石をジャージに乗せて持ち帰って来たことを訝(いぶか)る葵。天馬は葵の質問に答えず、メンバーを招集するよう依頼する。

 この石に何か大きな秘密があることを天馬の様子から察した葵はそれ以上聞くことなく、天馬の指示に従う。そしてその一部始終の様子を、ニセ剣城がじっと見つめていた。



 オズロックの在する宇宙ステーションにイシガシからの報告が入る。連行された剣城は意識を失ったままカプセル状の装置に入れられていた。オズロックはララヤ女王からの命令を速やかに果たし、今回の行動を自身にとっても好都合だったと語る。ララヤの欲するもの=剣城の誘拐がオズロックにとっても都合が良いというのはどういう意味なのだろうか?


 もうひとつの報告事としてイシガシは天馬が光る石を入手したことを告げる。オズロックはそれに関心を示す。イシガシはその事実から天馬がカトラ(プリンセス・カトラ)と接触していると推察する。

 オズロックはそれを受け、この大会を開催した意義が深まると満足そうに笑う。オズロックはニセの剣城を監視役にしたまま、アースイレブンを泳がせるよう命じる。




 乗組員から本物の剣城を失ったことを知らぬまま、ギャラクシーノーツ号は惑星サンドリアスを発(た)つ。飛び去っていくギャラクシーノーツ号をカゼルマが静かに見送っていた。その後ろ姿からは滅び行く種族の悲哀と、好敵手だった地球人を応援する彼の気概が透けて見える。



 船内では皆を招集した天馬が輝く石とそれにまつわるカトラの話を説明していた。惑星キエル、そしてカトラという名を聞いたとき、なぜかみのりが目を見開いて強く反応をしたのが印象的。

 惑星キエルから何らかの通信手段で自分に連絡してきたのではないかと天馬は想像するが、そのあまりにも荒唐無稽な話に、皆帆はまた夢を見たのではないかと懐疑的だ。

 天馬はカトラの声と姿は夢ではなかったと強調するが、メンバーたちの反応は鈍(にぶ)い。天馬は彼女が銀河に棲むすべての人類を助けてくれようとしているのだと主張し、輝く石に何かそのヒントがあると見当をつける。


みのり「それは無いわね」


 意外な方面から反論を受け、天馬は動揺する。みのりは確信に満ちた口調で天馬の発言を否定してみせたのだ。その理由として、惑星キエルがすでにブラックホールに飲まれて滅んでしまった星であることをみのりは語る。

 そこからの交信はあり得ないというのがみのりの論拠だが、ではなぜみのりは惑星キエルが滅んだということを知っているのか?

 一介の女子中学生のみのりがそのようなことを知っている理由は? 天馬にそう尋ねられ、みのりはこれまで秘めていた秘密を明かすタイミングが訪れたことを感じていた。


みのり「それは……私がその星の人間だからよ」


 にわかにはその言葉の意味が分からない天馬たち。せっかく勿体つけて明かした告白を質問で返すボケつぶしのような相手を前に、みのりは物分りが悪い連中に苛立(いらだ)ちながらダメを押す。



みのり「私は宇宙人よ」
一同「ええ〜っ!?」

 鉄角が一番驚いとるな。



 驚愕の事実を突きつけられ、アースイレブンメンバーに動揺が走る。果たしてみのりは本当に宇宙人なのだろうか? そして惑星キエルは本当に滅んでしまったのだろうか? だとすると、カトラのその素性は? その生死は?



 謎が謎を呼ぶ展開。次回に続く。



  エンディング




 さて、サンドリアス編が終了したのだけど、それを吹き飛ばす衝撃のカミングアウトがあってすっかり霞(かす)んでしまったカゼルマたち。バルガも任務失敗したからには紫天王を更迭(こうてつ)されちゃうんだろうな。

 話がそれた。みのりが謎めいた存在であることは物語当初から何度も描写されていたし、彼女が存在する間はポトムリ(CV:三木眞一郎)が出て来ないということから、怪しい印象が拭(ぬぐ)えなかったわけだけど、やはり彼女は宇宙人だった模様。ポトムリと同一人物かどうかということも含めて次回でその秘密が語られるのだと思われる。

 まぁ黒岩に対してあれだけ尊大な態度を取れる女子中学生なんているはずがないしな〜。みのりちゃんに関してはもっとすごい秘密が隠されていたとしても驚かないよ、たぶん。



 他に気になったことを書こう。オズロックがファラム・オービアスの影響下にあるという描写が今回初めて描かれていた。ミネルに対して恭(うやうや)しく敬語でもって答え、さらにミネルからの指示に従う態度を見るにつけ、オズロックは銀河連邦評議会に籍を置きながらもファラム・オービアスの命令に従う存在という立場のようだ。つまり銀河連邦評議会そのものがファラム・オービアスの傘下にあるという可能性か、もしくはオズロックがファラム・オービアスのスパイでありつつ銀河連邦評議会に所属しているかどちらか。

 どちらであってもグランドセレスタ・ギャラクシーは彼の思惑に沿って動いているかのような描写もあったし、黒幕はオズロック(とイシガシ)という可能性もありそう。ブラックホールを利用しているのも彼なのではないかと推測しておく。


 あとニセ剣城。世間では「剣偽」という上手い表現で名付けられていたけど、視聴者にはすぐにニセモノと分かるデザインなのが泣かせる。天馬たちもすぐに気づけよ。目の周りが紫で明らかに怪しいじゃん。剣城が他のキャラ並みにお喋りだったら突然無口になった様子からすぐバレると思うんだけど、彼は普段からよく空気キャラになってしまうからなぁ……。誘拐されたくなかったら日頃からよく喋っておけということなのだろうか。




 で、話変わってイナズマイレブンが5周年を迎えたことでベストイレブン国民投票が行われている。今回はキーパー部門の投票(なお投票は10月24日締切なので今掛けても繋がらない。注意)。みんなは誰に入れた? 永遠の主人公の円堂か、今リアルタイムで登場している信助、井吹が三強かなと思うんだけど。ちなみに私はフケ顔キーパーの兵頭がいなかったので投票するキャラがいなかったよ(ウソ)。



 次の対戦相手が水の惑星ということがタイトルから示唆されている。地球もある意味水の惑星だから、サンドリアスよりは地球人と近しいタイプの敵になるのかもしれない。まぁそんなことより興味の中心は今のところ、みのりのカミングアウトだけどな。



  次回「水の星の戦士たち!」に続く。



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『イナズマイレブンGOギャラクシー』第22話「激突!宇宙サッカー!!」の感想 【ピクシーの可愛さとバルガのゴリラさと】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第22話「激突!宇宙サッカー!!」を観ての感想を書く。星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦がついに開始される。そして松風天馬(CV:寺崎裕香)たちの前に奇妙な妖精が出現する。この妖精は物語においてどのような役割を演じることになるのだろうか? Check it out(要チェック)!!



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第21話「暴走!ブラックルーム!!」の感想 【なお暴走させた犯人は鉄角】
 をご覧ください。

  • それ以外の感想は、

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 天馬率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦1回戦を戦うため、敵地【惑星サンドリアス】に到着する。

 新規加入した西園信助(CV:戸松遥)はそれまでアースイレブンのゴールを守ってきた先達(せんだつ)のゴールキーパー、井吹宗正(CV:鈴木達央)に激しくライバル意識を燃やすが、暴走した特訓場【ブラックルーム】での経験が頑なだった信助の意識を変える。井吹とのダブルキーパー体制を心で受け入れ、共に強くなっていけば良いと達観した信助はこれで真の意味でアースイレブンの一員となった。



 信助を加え、戦力強化および意識改革なったアースイレブンはグラウンドで練習を開始する。グラウンドを照らす夕陽は赤色惑星のサンドリアスの地をより一層、赤く引き立てる。

 神童拓人(CV:斎賀みつき)の放ったシュートをガッチリと胸で受け止め、順調な仕上がりを見せる井吹に対し、神童も満足気な笑顔で見つめる。


 その2人以外のメンバーは反対のゴール前に集結し、試合形式の練習だ。砂地に足を取られるのか、オフェンスチームの野咲さくら(CV:遠藤綾)が砂の地面を踏みしめつつやりにくさを口に出す。

 そんなさくらを励まして、天馬はドリブルで攻撃を開始する。そしてさくらにパスを送るが、さくらは事前の不安が的中したのか慣れない砂地にトラップをミスし、転んでしまう。

 さくらのトラップミスしたボールはふわりと宙を舞う。地球と違う環境はグラウンドの土質だけでなく、重力という面にも表出する。同じ力で蹴ったボールも地球よりは遠くに飛んでしまうのだ。それを追おうとした九坂隆二(CV:岡林史泰)は砂地の不安定さに派手にすっ転んでしまう。



 ディフェンスに駆けつけた鉄角真(CV:泰勇気)が下敷きになったのでダメージは低そうだが。偶然とはいえさくらを救った鉄角くん。鉄さくフラグがナチュラルに発生か? このシーンではお互い悪態をつくのだけど、それもまた恋人フラグだったりするし。


 信助と同様に新規加入の市川座名九郎(CV:小西克幸)が皆帆和人(CV:代永翼)をかわして攻め上がり、シュートを放つ。迎え撃つ真名部陣一郎(CV:野島裕史)はシュートコースを読み切り、見事にボレーする。



 だがやはり地球とは勝手が違う重力のせいだろう、真名部の足を弾いたボールは真上に上がり、駆け込んだ瞬木隼人(CV:石川界人)に絶好のシュートチャンスを与えてしまう。

 瞬木のヘディングシュートがゴールを襲う。それを横っ飛びで押さえ、ゴールを阻止したのは前回では良いところが無かった信助だった。



 信助にシュートを阻止され瞬木は悔しそうに舌打ちするが、シュートに至るまでの反応を同じストライカーである剣城京介(CV:大原崇)に褒められ、笑顔で頭を掻く。

 一方のディフェンスサイドは危うい場面を作られてしまったことについての反省タイムだ。皆帆は座名九郎のシュートを的確にクリア出来なかった真名部のプレーを責める。真名部は環境の違いからの読みのズレだと釈明するが、皆帆はこれが実戦だったら決定的なピンチを招いたと怒りが収まらない。真名部も売り言葉に買い言葉で座名九郎に簡単に抜かれた皆帆のプレーがそもそも問題ありだとやり返す。

 この星に来てからのフラストレーションが噴出したかのような2人の口論を見て、平和主義の森村好葉(CV:悠木碧)が不安そうな表情になる。


好葉「ウチ……嫌。みんな怖い顔してる……」


 見るとさっきのプレーで失敗したさくらと鉄角、九坂といった選手たちも厳しい表情を浮かべ、自らの、そしてチームのプレーに納得がいかないという怒りを表出させていた。

 天馬はこの状態が望ましくはないという実感では好葉に同意するが、この戦いが地球の運命を賭けた戦いであることを強調し、そのプレッシャーによってメンバーがピリピリしているのだと現状に理解を示す。

 好葉も自身も感じていたプレッシャーであったのだろう、その言葉に小さくうなづく。

 そこに先ほどのプレーでもプレッシャーなどは微塵(みじん)も感じさせなかった座名九郎が声をかけてくる。いよいよ明日という言葉を受け、天馬は沈みゆく夕陽を見つめて力強く応じる。



 アースイレブンが使用していたグラウンド全景。左側の下から三本目の支柱が折れて短くなっている。野試合を挑まれたとき、サンドリアス人が折った支柱だ。こういうところの描写は細かい。ブラックルームがありながら最終調整で現地のグラウンドを使用した理由は、土質や重力などはその場で体験しなければ分からないからだろう。アウェイチームは自分たちの星とは全然異なった環境でのサッカーにまずは慣れなければならない。そう考えると1次予選を地球で戦っていた敵チームはハンデを背負っていたと言えるだろう。今はアースイレブンがそのハンデを背負う立場だ。


 ただチームプレーもイマイチ上手くいっていない現状で明日の試合は大丈夫なのだろうか? 座名九郎は自信満々そうだけど。



   オープニング



 その夜、広大な砂漠をひとり歩を進める天馬の姿があった。その眼前に突如光の玉が複数現れる。それは集まって人の形を模す。


天馬「キミは……?」

 心なしか悲しげな憂(うれ)いに満ちた瞳を持った少女の姿。オープニングで天馬と手をつないでドラマを感じさせたあの少女だろう。尖った耳は地球人のものではない。彼女は天馬に何かを訴えたいように見える。


 少女は再び光の玉状に戻って天馬の周囲を一周し、飛び立ち始める。それは『私に着いて来てほしい』と訴えかけているようだった。

 後を追う天馬を導くように光の玉は飛び続ける。やがて光玉は天馬を暗い洞窟に導いた。洞窟の中央には光り輝く石が鎮座されていた。天馬はその美しさに思わず目を奪われてしまう。

 そしてその石を手に取ろうとした瞬間、石は弾けるようにその姿を変え、小さな人型の小動物の姿になる。



???「ピク〜ッ!!」


 その小動物はいきなり天馬に懐(なつ)き、天馬の肩に飛び乗ってその頬を舐める。その愛らしさとくすぐったさに笑ってしまう天馬。小動物は愛らしい表情のまま、天馬に向かって来る。



 ………

 目を開いた天馬、そこは【ギャラクシーノーツ】号内の自室ベッドだった。これまで見て来たことは夢だったのだろうか? その夢があまりに生々しく、何やら示唆性(しさせい)に富んだ内容だったことに天馬は困惑する。


 だがその夢の何割かは、実は本当に起こったことなのかもしれない……そう思わせる生物が室内には存在した!


???「ピク!」

 鳴き声(?)と共に天馬のお腹に乗ってきた小動物、それは夢で出会ったあの可愛らしい小動物そのものであった。たじろぐ天馬の気持ちをよそに、人懐っこいその小動物は天馬に飛びついてくる。可愛いやんね〜。


 天馬はあわてて寝床を飛び出して逃げるが、人懐っこい「ソイツ」は無邪気にその後を追ってくる。飛びつかれて倒れた天馬の頬を夢で見たとの同じようにペロペロと舐める小動物を見て、天馬は困惑顔のままだった。


天馬「何なんだ!?」



 数刻後の食堂車、その愛玩動物(あいがんどうぶつ)はアースイレブンのメンバーたちの関心の的(まと)となっていた。可愛いもの好きそうなさくらが手を差し伸べるが、小動物はブラックなさくらの本性が読めるのか、逃げ出してしまう。

 そこに遅れて朝食を取りに来たマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)と水川みのり(CV:高垣彩陽)。小動物は葵の手の中に飛び込んでくる。


葵「何この子!? 可愛い!!」

葵「犬? それとも猫かな?」
みのり「どっちも違うと思うけど……(呆)」


 そうしている間にも小動物は動くのを止めない。葵の手から飛び出して、室内を縦横無尽に駆け回る。そして最後にはやはり天馬の座するテーブルに落ち着くのだった。



 この闖入者(ちんにゅうしゃ)にメンバー一同も関心しきりだ。皆帆が特に関心深そうにうっとりと眺めているのが印象的。余談だが、ここではジャージ組とネマキ組に分かれている。自主練をやっていたと思われるジャージ組に対し、天馬、鉄角、井吹、九坂、皆帆、瞬木の6人はお寝坊さん組と言えるかもしれない。


 この闖入者がどこからやって来たのかを葵は問うが、天馬にもそれはよく分からない。目が覚めたら部屋に居たわけで……。いずれにせよ、元からギャラクシーノーツ号に搭乗していた生物であるはずがない。どこから入ってきたのかを井吹が問う。天馬は夢で見た少女の姿を思い出し、その少女に導かれた末にこの小動物に出会ったことを素直に告げる。


剣城「それじゃ、夢から出て来たって言うのか?」



 自分の話をされていることを知ってか知らずか、その間も面白い遊び場所を見つけたとばかりに好葉のボンバーヘッドに飛び込んでかくれんぼする小動物。動物好きの好葉の性格が分かるのだろうか? ただ好葉は心底迷惑そうな表情でそのイタズラを止めようとするのだが。


 夢から出てくるなど非現実な話をあり得ないと一蹴するのは真名部だった。だが葵は何が起こってもおかしくはないと自信満々に言い切る。


葵「だってここは宇宙だもん!!」


 大宇宙パウアの前には地球仕込みの論理など簡単に破綻するししても良い。これが葵ちゃんのスタンス。実はレベルファイブのスタンスでもある。

 真名部よりは現実をあるがままに受け入れる性質の皆帆は例によって興味深いものを見る時の彼のクセ、耳をピクピクと動かしながら小動物を見やる。さくらも夢から出てきた生き物という、まさに「夢のような」話に笑顔を見せる。

 妖精のようだと言う好葉の感想を受け、この生き物に名前を付けようと話が運ぶ。


信助「【サンドリアスドリームビースト】とか……」


 長いし可愛くないという理由(さくら談)でコンマ1秒で却下される信助の案。さくらちゃん容赦ないが確かにこの可愛い生き物に「ビースト=野獣」は無いよな。恐竜好きの信助らしいネーミングだけど。


皆帆「じゃあ妖精という意味の【ピクシー】はどうかな?」


 その意見は仲間から好意的に受け止められる。小動物自身も「ピク!」って鳴き声だし、意識してんじゃないのと言いたくなるが。私だったらサッカーに引っ掛けてストイコビッチと名付けたいけど、さくらちゃんに却下されるだろうな。




 【参考資料】サッカー界の妖精、「ピクシー」ドラガン・ストイコビッチさん。



 言いだしっぺの権限か、ネーミングライツをその一手に仕切るさくらも賛同し、その名、ピクシーが彼(彼女)の正式名となる。ピクシー(CV:北原沙弥香)もその名を気に入ったらしく、天馬の頭に乗っかって降りようとしない。

 やはり最初に出会った仲であり、しかも夢の中で意味ありげな立場だった少女と関連性がありそうな存在だけに、ピクシーは天馬に最も懐いていた。ピクシーの世話を任され、天馬は未だ困惑顔だ。ただその愛くるしい存在はチームのマスコット的存在として今後のアースイレブンを明るくするのではないだろうか?



 一方、アースイレブンと対決する存在のこの星、サンドリアス代表のキャプテン、カゼルマ・ウォーグ(CV:河西健吾)は側近のキーパー、バダイ・ジャラン(CV:泰勇気)と共に、試合会場であるスターシップスタジアムの前に先乗りし、感慨に耽(ふけ)っていた。

 この試合で自分たちの星の運命が決まる。負けるわけにはいかないと意気込むのは地球人もサンドリアス人も変わりない。

 そこにコーディネーターのイシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)引率のもと、天馬率いるアースイレブンが到着する。カゼルマは誇り高きサンドリアス人を代表してこの試合を正々堂々としたものとすることを誓う。



 それを嘲笑する野太い男の声が響く。見ると近くの岩場の上から仁王立ちで語りかけてくる男の姿があった。それはファラム・オービアスから地球代表を倒すために送り込まれた刺客ゴリラ、紫天王のバルガ・ザックス(CV:岩崎了)だった。



 バルガはチーム・サンドリアスの4人を部下に従え、リーダー気取りでカゼルマの態度を甘いと批判する。「戦いは殺るか殺られるか」という感覚を是(ぜ)とするバルガにとっては正々堂々という態度はそれだけですでに唾棄(だき)すべき甘い思考としか思えないのだろう。


 そのカゼルマをキャプテンとも思わない態度は天馬たち地球人に不信の念を抱かせる。そしてカゼルマ側近のバダイもバルガの態度は自分たちの流儀とは相容(あいい)れないとカゼルマに耳打ちする。

 カゼルマもバルガの態度には思うところがあるのだろう。しかしバルガの実力が本物であることもカゼルマは見越していた。星の運命を思う仲間たちの思いに、カゼルマも自身の誇りを最優先させることがためらわれるのであろう。


 バルガの姿がこの星の人間とはまったく違うということに剣城が気づく。それを受け神童はバルガがこの星の住人ではないことを見抜く。その辺の整合性を問われたイシガシは「他の星の選手をチームに入れてはならないというルールは無い」ということを明言する。つまりこれはアースイレブンにもいずれ他の星の選手が加入するという布石なのだろうか? ゲームだとこの試合の後にカゼルマなどサンドリアス人をスカウトしてチームを組むことが出来るんだろうね、きっと。

 とはいえ現状ではこのルールの隙間を付いたやり方はアースイレブンに一方的に不利だ。地球人には今のところ協力してくれそうな異星人なんていないわけだしね……。


 バルガは岩場から飛び降りてきてアースイレブンを挑発する。地球を銀河系の辺境の惑星だと面罵(めんば)され案の定、挑発に乗りやすい瞬間湯沸かし器の鉄角が怒り出す。

 元ボクサーの鉄角は殴りかかろうとするが、それを天馬が制する。バルガの言動は明らかに挑発であり、軽率な行為はまさにその挑発に乗ってしまうこととなる。カゼルマも同時にバルガの余計な挑発をやめさせようとする。

 だが鉄角と違い、バルガはカゼルマをチームのリーダーとは見ていなかった。彼はファラム・オービアスの女王の命令でこの地に赴任(ふにん)したことをここで明らかにする。彼が忠誠を誓うのはファラム・オービアスからの指示のみであるというのであろう。カゼルマに対しても傲岸不遜(ごうがんふそん)に「お前たちを勝たせてやる!」と上から目線で言ってのけ、背を向けて立ち去る。

 カゼルマは踏みにじられたプライドを噛み締め、悔しそうにその後ろ姿を見つめるのだった。



 そしていよいよ運命の試合が始まろうとしていた。グランドセレスタ・ギャラクシー本戦1回戦、スターシップスタジアムは超満員の観客の歓声が渦巻いていた。観客はほぼ10割がサンドリアス人であり、イコールそれはアースイレブンを敵視する観客であるのと同義だ。



 そんな中、地球人っぽい観客がいると思ったらクイズの答えのじーさんだった。もちろんアースイレブンを応援するんだろうな? その前のふなっしーみたいな連中もサンドリアス人では無さそうだ。



 実況役はDJっぽい宇宙人、ダクスガン・バービュー(CV:勝杏里)が担当する。このタコっぽい姿……まさに50年前ぐらいにイメージされた火星人のような出で立ち。こんな宇宙人やっぱりいたんだ(笑)。


 ダクスガンの軽快な口調で両チームイレブンが紹介される。サンドリアスベンチではバルガが子分たちに、この試合で活躍すればファラム・オービアス女王の側近に取り立ててやるとニンジンをぶら下げる。それに乗り気になる子分たち。

 これを見ると彼らはこの星を守るということよりも、自分たちさえ安泰であれば良いという発想でバルガの子分に成り果てたという印象を受ける。この場で地球代表を打倒したとしても、いつかはグランドセレスタ・ギャラクシーでバルガの母星であるファラム・オービアスと直接対決することとなるわけだから、どちらにせよサンドリアスの運命は見捨てているのかもしれない。だがそれは同時に本来は仲間であるはずのカゼルマたちに対する背信(はいしん)であろう。



 バダイはバルガに媚(こ)びへつらうチームメイトに対して不快感を隠さない。カゼルマ派に属するのはカゼルマとバダイの2名だけ。バルガ派は5名、後の4人は態度を決めかねて洞が峠を決め込んでいた。そのどっちつかずの4人の心をカゼルマが握れば、6対5でこのチームの主導権を握ることも可能なのだが……。



 そして今度はアースイレブンが紹介される。完全アウェイの天馬たちにとって観客から野次や罵声が上がらない点は救いであろうか。サンドリアス人は見た目よりも紳士的な態度を取る存在なようだ。カゼルマを見ていると彼らの民度が高いと思えるもんね。

 天馬はゆっくりと仲間たちの顔を見渡し、大舞台に臨むべく号令をかける。その天馬の意気を応援するようにピクシーが天馬の肩に飛び乗り、微笑ましい勇気を与える。


 可愛くも頼もしい後詰めを得て、天馬たちは戦場へと駆け出す!!






 いよいよ本戦。恒例の両チームの布陣を見ておこう。アースイレブンは攻撃的な4-3-3。宇宙編になりようやくフォーメーションが増えたという印象だ。いつもは司令塔の天馬が今回はFWとなり攻撃人員を増やしている。代わりの司令塔には「神のタクトFI」を持つ神童が詰める。総じてバランスが取れている感じ。新顔の信助と座名九郎の両名はベンチスタートだ。


 一方のチームサンドリアス。こちらは5-1-4というかなり極端なフォーメーション。司令塔が中央の7番カゼルマなのは良いとして、FW4人は超攻撃的だ。攻めっ気が強そうなバルガは意外にも後列に存在している。ちなみに背番号3、5、8、及び9番のザバ・ハーラー(CV:田尻浩章)がバルガ派に属する(言われてみれば悪い顔してる)。その5人とカゼルマ、1番キーパーのバダイを除いた4名が中立派。



 ピッチに立ちながら、天馬は試合前に監督である黒岩流星(CV:佐々木誠二)から受けた指示を思い返していた。天馬をFWに上げ3トップにしたのは実はこの時の黒岩の指示であった。中盤が手薄になるという神童の懸念に黒岩は例によって答えず、そのままメンバーを送り出した。


 そんな天馬をじっと睨みつけるのは、カゼルマだった。その鋭い視線に気づいた天馬は、ナイスガイであるカゼルマですらこの試合にかける気持ちを闘争心であらわにする姿を見て、この試合が本当に負けられないものであることを改めて自覚する。



 前作のイナクロの時と違ってまったく特徴のない審判がホイッスルを鳴らせて試合が開始される。アースイレブンボールのキックオフ。剣城からパスを受けた瞬木は神童に大きくバックパス。神童はそこで今回はFWである天馬にロングパスを送る。

 だが神童にしてこのミスなのだろうか、この星の重力を計算に入れていないパスは天馬の頭上を大きく越えていってしまう。追いすがる天馬は幸いボールに追いつくことが出来たが、その際ボールの転がりが少ないことにも神童は気づく。地球との環境の違いの大きさを改めて知り、神童は気を引き締める。


 ドリブルで進む天馬に対するのは何とカゼルマ。早くも両チームのキャプテン同士の激突だ! 天馬はそこで必殺ドリブル技「Zスラッシュ」を駆使してカゼルマを抜き去る。キャプテン対決の第1ラウンドは天馬に軍配(ぐんばい)が上がる。



 その天馬の前に続いて現れたのは、紫天王のバルガだった。どっから出したんだと小一時間問い詰めたくなるようなどデカい岩のハンマーを地面に叩きつけてボールを奪取する必殺技「ロックハンマー」が天馬を吹き飛ばす。


 豪快なバルガらしい必殺技で攻守ところを替える。バルガは地球代表とはこんなものかと笑いながら突進し、子分の一人、ザバにパスを送る。地球人をバカにされた心境のさくらが怒りの形相で詰め寄るが、ザバは簡単にその横をすり抜けて前進する。その動きは砂の上でのものとは思えない挙動であった。この星に適応したサンドリアス人にとってかなり有利な地勢であることは疑いない。

 ザバは8番の選手にパスを送る。そのボールの軌道を見た皆帆はそれがパスミスになると見当を付け、好葉に対応を依頼する。だが8番はそれをあざ笑うかのように飛び上がり、空中でそのパスを受ける。地球人にとってはパスミスであってもサンドリアス人にとってはミスではないということだった。


好葉「そんな……!?」


 好葉を残して前進する8番に、してやられた借りを返す思いの皆帆が立ちはだかる。だが8番はバルガの命令を受け、その足でボールではなく地面の砂を蹴りつける。

 飛びかう砂に視野を奪われた皆帆はその後の8番のプレーに対応することが出来ない。これはあからさまに卑怯なプレーであった。味方ながらカゼルマはその卑劣なプレーに怒る。

 8番はそのままゴール前に走り込む。そして邪悪な笑みを浮かべ、キーパーの井吹に向けてまたも砂を蹴りつけてその視野を奪う。その状態でヘディングシュートを撃たれた井吹だったが、さすがの反射神経でそのシュートを横っ飛びで止める。



 ベンチでは葵と信助が失点の危機を防いだ井吹のプレーに安堵のため息をつく。信助は砂嵐の中でもちゃんと目を開けて選手の動きやボールが見えているサンドリアスの選手たちの能力に驚く。これも砂漠に適応したサンドリアス人の強みであろう。

 卑怯なプレーに憤(いきどお)る葵を尻目に、座名九郎はじっと監督の横顔を見つめる。それは何を意図するものなのであろうか? 砂対策に黒岩のそのサングラスを貸せと言いたいのであろうか?




 FWシャル・キーヤー(CV:不明)の突進を待ち受ける鉄角。軽快なステップからボクシングのファイティングポーズを取った鉄角は必殺技「フットワークドロウ」でボールを奪取する。


 今度はアースイレブンが攻勢に出る番だ。鉄角から天馬にパスが送られる。バルガは子分の3番と5番に命じて反則まがいの体当たりで天馬を攻撃させる!



 そのプレーはカゼルマがこのチームを総(す)べていた頃には絶対に許さなかったプレーであろう。天馬の保持していたボールはサイドラインを転がり出て、試合は一旦中断する。


 そのタイミングを使い、カゼルマはバルガに対して(仲間に)卑怯なプレーをさせるなと猛然と抗議する。しかしバルガは勝つために手段を選ばないと耳を貸さない。カゼルマはそんな卑怯な行為をしなくとも自分たちは勝てると再度詰め寄る。

 カゼルマの真剣な表情、そして地球人の力を見くびっている思いも手伝ってかバルガは一時的に自分の流儀を収めてカゼルマのやり方で戦うことを認める。


 強烈なラフプレーを受け、頭を振って起き上がる天馬のもとに歩み寄って謝罪するのは、カゼルマだった。そしてもうさっきのようなプレーはさせないと決然と告げる彼に、天馬も笑顔で応じる。

 笑顔を見せられたカゼルマは、一瞬天馬を見たあと、視線を逸らして立ち去る。天馬の人の良さを目の当たりにして、これ以上馴れ合うと敵として打倒することが難しくなると判断したのだろう。カゼルマ、やっぱりナイスガイだ。



 そんなそれぞれの星の運命を背負って敵対する両者の戦いをモニター越しに見つめるのは、銀河連邦評議会のビットウェイ・オズロック(CV:津田健次郎)だった。心底楽しそうにこの死闘を見つめる彼の本意は一体どういうものなのであろうか?



オズロック「ふっ、面白くなってきた……」



 試合再開。神童のドリブルを奪い取るのはカゼルマだった。瞬木のスピードを上回るようにボールを奪うサンドリアスの選手。ものすごいジャンプ力であざ笑うかのように九坂の頭上を飛び越えていくサンドリアスの選手。試合前に警戒していた通り、すべてのプレーで地球人を大きく上回る身体能力の差を見せ付けられる。

 さらにこの苦戦は天馬を前列に上げたことで手薄になっている中盤を突かれているという点に神童は思いが至る。その間に真名部、皆帆を抜き去った選手からのシュートを井吹が何とかキャッチする。

 皆帆がいみじくも言ったように、彼らは砂地での戦い方を熟知している。さらに真名部が喝破するようにアースイレブンはこの星の重力にも慣れていない。チームサンドリアスがバルガ式ラフプレーに訴えなくともアースイレブンは苦戦の連続だった。


 井吹から神童にボールが送られるが、やはり重力を読み切れておらず、ボールは頭上を越えてしまう。九坂がカバーリングするが、11番の選手にすかさずマークされてしまう。

 神童はさくらに軽く蹴ってパスするよう九坂に指示を出す。九坂はさくらの守備位置である逆サイド遠くまで蹴るのに「軽く」で良いのかと疑問に思うが、神童の指示に従ってセーブしたパスを送る。

 そのパスは狙い通りさくらの元へ届く。重力の特性をそこから学んださくらはこれも加減して天馬にパスを出す。受けた天馬は左右を見渡し、左を駆け上がる剣城がノーマークであることを確認してそちらにボールを送る。

 瞬木がそれを不満げに見つめる中、剣城は必殺シュート「バイシクルソード」を撃つ。バダイはキーパー技「サンドノック」で迎撃する。




 この対決はバダイの「サンドノック」が勝利を収める。剣城の「バイシクルソード」はこれで不敗伝説が崩れ、初めてゴールが阻止されたこととなる。さすがに宇宙一を決める大会の本戦だ。

 パンチ技らしく弾かれたボールは高々と宙を舞う。そこに飛びついたのはカゼルマだった。踵(かかと)でボールを射落としたカゼルマは一気にアースイレブン陣内を駆け抜け、左右に分かれたFWにパスを出す。シャルと11番のFWコンビは抜群に息のあったパスワークでアースイレブン防御網をズタズタに切り裂きゴールに迫る。

 真名部はここが踏ん張りどきだと思ったのだろう、必殺ブロック技「ディフェンス方程式」でシャルからボールを奪い取る。



 しかし真名部がクリアしたと思われたボールは空中でカットされ、サンドリアスの攻勢は止まらない! 11番のオーバーヘッドキックを何とかパンチングで逃れた井吹のファインプレーで、失点することは避けられた。

 天馬はそのプレーに神童とうなづきあって喜ぶが、ふと見るとカゼルマがこちらを睨みつけていた。そしてしばらくはカゼルマの流儀に従うと宣言していたバルガの態度にも変化が見られ始めた。



 ボールを保持する神童は守勢一方の現状を変えようと画策するが、前線の仲間には敵選手がマンツーマンでマークに付いている。「神のタクト」を駆使することも出来ずに躊躇する神童に襲いかかったのはカゼルマだった。



 さっきもカゼルマにやられた神童が2度までも……。テクニシャンの神童が2回続けて同じ選手にボールを奪われるのは非常に珍しい。今回は考え事をしていたというのもあるけど。



 その攻勢を止めようと必殺技「このはロール」を出す好葉だったが、何と必殺技も無しで打ち破られてしまう! 新たな必殺技か、それとも秘められた能力を使わないと無理なのか!?


 フォローのために戻って来た天馬がボールをサイドに押し出し、何とかピンチを凌(しの)いだ。天馬は自分が先んじて実践した通り、お互いがカバーし合うことで敵の攻勢に対抗するよう指示を出す。それを受け、強くうなづくアースイレブン。


天馬「仲間を信じて行こう!!」

 この「仲間同士の信頼感」がアースイレブンがチームサンドリアスに優(まさ)っている点であろう。カゼルマとバルガの仲間割れに近い状況のチームサンドリアスはこの点では地球人に遅れを取っている。ただアースイレブンにも不安材料はある。それはここに顔の無い瞬木の気持ちだ。



 圧倒的にサンドリアスへの応援が続く中、ボールはまたもサンドリアスが奪う。カゼルマが持って上がってくるのを、天馬は必殺技「ワンダートラップ」で迎え撃つ。2度目のキャプテン対決も天馬の勝利だ!(2回とも必殺技ってズルいけどな)

 そんな状態を黙って見ていられなくなったのは、バルガであった。地球人をことごとく見くびる彼は未だに無得点のまま試合が推移していることが許せない。カゼルマとの約束はここで終わりと一方的に決めつけ、轟然(ごうぜん)と天馬に挑みかかる。



 土煙が上がるほどの猛烈なチャージで天馬を空中に跳ね上げ、バルガはボールを奪い取る。そして子分たちを前線に向かわせ、なりふり構わぬ手段で攻めさせる。最初から砂嵐を起こさせる目的で地面に特攻しディフェンス陣の視界を奪い、ゴール前に攻め込む子分たち。

 ザバの動きは真名部の読み筋だったが、地面に潜り込んでマークを外すという「どうしようもない系」の必殺技「ディグスルー」で真名部を翻弄(ほんろう)してしまう。



 ザバは今地中にいます。本当にどうしようもない。そのどうしようもなさは「マボロシショット」並み。このまま自陣から相手ゴール前まで潜られたら最強の技じゃね? さすがに息が続かないとかの理由でゲームでもそこまでは出来ないんだろうけど。


 地中からいきなり現れるというゴール前での「ディグスルー」はキーパーである井吹の警戒ですら裏をかく。対応することが出来なかった井吹はついに敵のシュートに屈し、先制ゴールを許してしまう!



 ついに均衡が破られた!! この大事な試合で先制ゴールを奪ったのはチームサンドリアスだった。悔しそうに地面を叩く井吹だったが、これはどうしようもない。ベンチでは葵と信助が嘆く中、アースイレブンの秘密兵器的に存在する座名九郎がじっと戦況を見守っていた。



 試合再開。再びアースイレブンのキックオフでスタートされる。瞬木からさくらにパスが渡るが、ここからはまたもバルガの子分たちのなりふり構わないダーティープレーが襲い来る。

 3番が身体を回転させて砂を巻き上げ、さくらを攻撃する。悲鳴を上げて吹き飛ばされたさくらを鉄角が叱咤する。


鉄角「何やってるんだ!?」
さくら「砂で見えないの! 仕方ないでしょ!!」


 その後もこの「砂で視界を奪う」という卑怯なプレーはラフプレーを交えつつ繰り返される。地球人的にはこれは本当につらい。やっぱり黒岩のグラサンを……。



 何とか攻めにつなげようとする天馬のドリブルも、バルガのゴリラ丸出しのタックルで阻まれる。無個性審判、これは反則取れよ……。


バルガ「散りゆく花びらのようにもろい奴らだ!!」


 痛めつけられ、地面に打ち付けられた天馬が睨みつける中、バルガは勝ち誇ったように笑う。ゴリラ丸出しのくせに相変わらず物事を花に例えるバルガがキモイ。


 こんな地球人に生き残る資格は無いと嘲笑するバルガを叱りつけるのはカゼルマだった。しかしバルガはこの試合に負けたら何十億ものサンドリアス人と共にこの星が滅亡するのだと言い返す。その言葉は何よりもこの星を守りたいカゼルマに反論の余地を与えない。卑怯な手段を憂える立場と、この星の運命を遮二無二(しゃにむに)守る立場……。カゼルマはその価値観の優劣に悩み苦しむ。


 部外者のくせに、さらに言えば星の奪い合いという無理筋な戦いを押し付ける元となったファラム・オービアス人のバルガにその責任論を問われ、カゼルマは怒りに拳を震わせる。

 だがチームメンバーの表情は、明らかにバルガの意見に賛同しているようだった。屈辱に震えながら、カゼルマはバルガの意見を看過するよりほか無かった。



 チームサンドリアスの卑劣な戦法により、アースイレブンサイドは満身創痍(まんしんそうい)の状態だった。しかもサンドリアス側の良心と言えるカゼルマもバルガの意見に口を出すことが出来なくなった(事実上のリーダー交代だろう)。

 会場は敵地で砂地や重力に悩まされ続け、観客もほぼ全員が敵だ。四面楚歌(しめんそか)の情勢の中、果たしてアースイレブンに反転攻勢のチャンスは訪れるのであろうか?




 次回に続く。



  エンディング



 いよいよサンドリアスとの試合が始まった。想像通りバルガが滅多矢鱈(めったやたら)に強いのだけど、カゼルマと意見が合わないという点だけは付け入る隙と言えなくもない。花が大好きというゴリラらしからぬ点は弱点にならんかなぁ?


 そして気になるのが冒頭の天馬の夢に現れた少女、そしてその光が導いた先に存在した妖精ピクシー。この辺は物語にどう絡んでくるのか気になるよね。ピクシーは可愛いので存在自体が嬉しい。個人的にスタッフに是非ともお願いしたいのだけど、黒岩監督に懐くピクシーの姿をぜひ。

 歴史に残る面白さになると思われるんだけど、どうでしょう?



 次回は天馬たちアースイレブンに秘められし能力、ケモノの力が芽生えるという展開になりそう。この能力があってこそ宇宙の強豪と渡り合えるというものだから、きっと凄まじいものになるのだろう。もはや宇宙編だし、地球でのルールを守る必要ないんなら化身とかミキシマックスとか使ってやれば良いと思うんだけどね。ダメなの?



  次回「獣(ソウル)出現!」に続く。



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『イナズマイレブンGOギャラクシー』第21話「暴走!ブラックルーム!!」の感想 【なお暴走させた犯人は鉄角】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第21話「暴走!ブラックルーム!!」を観ての感想を書く。新加入したことで既存のメンバー以上に頑張らなければならない西園信助(CV:戸松遥)が精神的に成長する回。特訓に付き合ってくれた兄貴分が稀(まれ)に見る脳筋で信助くんが苦労するのだけど、そのせいで大事なことに気づくことが出来たので結果オーライ。



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第20話「砂の星にやってきた!!」の感想 【新キャラ続々、謎の美少女登場】
 をご覧ください。

  • それ以外の感想は、

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 松風天馬(CV:寺崎裕香)率いる【アースイレブン】は星間サッカー大会【グランドセレスタ・ギャラクシー】の本戦1回戦を戦うため、ワープによって【惑星サンドリアス】に到着する。地球人の代表として、互いの惑星の運命を賭けてサンドリアス代表チームとサッカーで対決することとなるのだ。


 だがその地で天馬たちは早速「敵地」の洗礼を受ける。街を散策していたところ、地球人を敵視するサンドリアス人たちの挑発を受け、サッカーバトルをすることになってしまう。大事な試合前に私闘を受けるという行為は望ましいものではなかったが、後には引けなかった。


 だがサンドリアス人たちは勝負は二の次で天馬たちを物理的に潰すことを目的にしていた。反則まがいのラフプレーで天馬たちを痛めつけ、ついにはストライカーの瞬木隼人(CV:石川界人)を攻撃しようとする。

 その危機を救ったのは、意外にも彼らと同じサンドリアス人だった。その男はサンドリアスイレブンのキャプテン、カゼルマ・ウォーグ(CV:河西健吾)と名乗る。カゼルマは同胞の非礼を詫び、試合でまた会おうと言い残して去っていく。



 カゼルマと入れ替わりにその場にやって来たのは、散策中にはぐれた神童拓人(CV:斎賀みつき)たちその他のメンバーだった。心強い仲間たちとの再会に笑顔がこぼれる天馬とマネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)の2人だったが、神童たちの姿を見てその笑顔がやや引きつる。



 神童たちは何やら不気味なお土産(みやげ)を持参していた。天馬たちが手荒い歓迎を受けていた間もお買い物を楽しんでいたというのだろうか? だとしたらひどい。真名部陣一郎(CV:野島裕史)は綿菓子っぽいものを、皆帆和人(CV:代永翼)は前回の屋台でサンドリアス料理に病みつきになったのか、前回以上にグロテスクなゲテモノ料理を持っている。あの唐変木(とうへんぼく)でこういうイベントを楽しめない性格の剣城京介(CV:大原崇)ですらなんか可愛らしいストラップを持ってご満悦。で、市川座名九郎(CV:小西克幸)は何をドヤ顔で持ってるんだ? 魔女っ娘のステッキ?


 ようやくの合流を喜ぶお気楽連中だが、変なお面を見せびらかす井吹宗正(CV:鈴木達央)やゲテモノを天馬たちの分だと言って笑って差し出す皆帆からは正直言って悪意しか感じられない。野咲さくら(CV:遠藤綾)から宝塚歌劇団の出来損ないのような被(かぶ)り物をお土産に示された葵も困惑して苦笑する。



 とはいえこんなお気楽さが今のアースイレブンの良いところなのかも知れない。仲間たちの一風変わった気配りに触れ、天馬はさっきまでの苦労も忘れて笑い出す。



   オープニング



 天馬は街でサンドリアス人に絡まれ、サッカーバトルに至った経緯を仲間たちに説明する。



 それを聞きつつ綿菓子をパクついた真名部に悲劇が! 何と爆発四散してしまう。わたパチの強烈なやつだったのだろうか? 異星の食べ物はやっぱり怖い。結果的に天馬は食べなくて正解だった。


 信助はサンドリアス人たちの度を越したラフプレーにまだ怒りが収まらない。彼らの徹底した暴力プレーはサッカーではないという信助の怒りはもっともだ。

 神童はこの度の戦いがそれぞれの属する星の命運を賭けて戦われるという意義を再度語り、地球人がこの地で歓迎されていない理由を納得する。納得するが、それでも割り切れない思いを同時に吐露(とろ)する。

 井吹は敵のキャプテン、カゼルマが正々堂々と勝負することを語っていた点に言及する。そして仮に卑怯なプレーに出たとしても、自分が敵のシュートを全部止めてみせると意気込む。信助というライバルが存在するのに自分がレギュラーポジションであることに疑いを持たないところはさすが井吹だ。


 信助はそれを聞き、アースイレブンの正ゴールキーパーが自分ではなく井吹であることを改めて思い知る。雷門では先輩の三国太一(CV:佐藤健輔)から次代の正GKを受け継いだ彼だが、ここでは補欠の存在であることを思い出す。このシリーズに入って化身やミキシマックスを使えないのがつらい。

 しかし信助もイナズマジャパン(現アースイレブン)のレギュラーを目標に毎日特訓を積み重ねてきていたのだ。自分もきっとレギュラーを取ると固く結んだ拳に決意を込める。


信助「任せて天馬! ゴールは僕が絶対守るから!」


 信助のその言葉を聞いて、今度は井吹が思索に耽(ふけ)る。ゴールを守るという宣言はイコール先発でゴールキーパーを務めるという意味であり、それは現行のレギュラーGKである自身への宣戦布告と同義だ。井吹は間接的に自分からゴールキーパーの座を奪う宣言をした信助を見やり、仲間とは思えないほど冷酷な笑みを浮かべる。



『奪えるものなら奪ってみろ!!』


 仲間内でもポジション争いという避けられない抗争が起こる。だがそれはお互い負けられないと切磋琢磨(せっさたくま)するものであり、チーム力向上になるという点に於いてはプラスでもある。もしかしたら信助の同道を認めた監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)はこの点も考慮に入れていたかもしれない。



 一方、カゼルマは自チームが練習場としているグラウンドで恐るべきシーンを目撃する。激しいプレーの結果なのか、グラウンドの地面が深く穿(うが)たれ、ゴールに向けて大きく亀裂が走っていた。それほどまでに激しいプレーをする人物にカゼルマは心当たりがなかった。


 宿舎に向かったカゼルマは沈鬱(ちんうつ)な表情で落ち込む仲間たちの姿を見る。そしてカゼルマを待っていたかのように語りかけてくる、見知らぬ男の存在……。

 その男が【ファラム・オービアス】からの助っ人であることを仲間たちから聞かされる。なぜかその男の子分に成り果てたかのような一部メンバーはその男を「強い」と評する。それを聞き、カゼルマはグラウンドに起きていた異変がこの男の仕業であることを瞬時に理解する。



 男はそこでカゼルマに自己紹介する。ファラム・オービアスよりの助っ人でありアースイレブンへの刺客(しかく)でもある紫天王、バルガ・ザックス(CV:岩崎了)。見た目通りのごっつい豪快な性格だが、花を愛するという乙女チックな一面も。


 バルガはアースイレブンを粉砕してみせると呵呵大笑(かかたいしょう)する。仲間たちの態度がバルガに媚(こ)びへつらう者と、意気消沈する者との2タイプに分かれていることをカゼルマは見抜く。バルガのものすごいプレーを見せつけられ、舎弟(しゃてい)に成り下がってしまった者が数名、そうならなかった者たちもファラム・オービアスの威光を背にするバルガの威圧に逆らえない空気がチーム内に醸成(じょうせい)されてしまっていた。


カゼルマ「申し出はありがたいが、お断りする」
バルガ「何、断るだと!?」


 カゼルマはこの戦いが自分たちサンドリアス人の戦いであることを告げ、部外者であるバルガの言い分を決然と退(しりぞ)ける。

 バルガの舎弟に成り下がった選手はそれに異議を唱えるが、カゼルマは聞き入れずに練習を開始するよう命じる。もちろんその構想にバルガは含まれない。

 だがバルガに付き従う選手たちはカゼルマの命令をキッパリと拒絶する。彼らはバルガの力に心酔し、カゼルマよりも彼の方にあるべきリーダー像を見出していた。今の彼らには誇りよりも自分たちの棲むこの星を守ることが何よりも大事なことなのだ。

 仲間の離反を受け、カゼルマは苦渋(くじゅう)の決断を迫られる。誇り高きカゼルマにとってバルガの力を借りることは屈辱以外の何ものでもない。だがこの星を守りたいという仲間の意見も無碍(むげ)には出来ない……。



 場面はアースイレブンサイドに戻る。【ギャラクシーノーツ号】内部に誘(いざな)われた信助は、初めて訪れるブラックルームに興味津々の様子だ。ゴールもボールもない空間でどうやって特訓をするのかという疑問はすぐに解消された。真名部のプログラミングが完了し、周囲の風景がサッカーグラウンドに一変したからだ。



 コンピュータによるホログラムであることを説明する天馬。信助同様、ブラックルーム初体験の座名九郎さんが驚き顔でキョロキョロしてて笑える。


 単なるホログラムではなく、脳の神経パルスへの刺激によって触れるものが本物のように感じられると聞いて信助は芝生に触れ、初体験のブラックルームを満喫する。


座名九郎「歌舞伎でいう舞台転換ですか〜」


 それは違うと思う。


 信助はゴールポストに触れ、まるで本当にそこにゴールがあるような感覚に歓声を上げる。これがホログラムであることが不思議で仕方がない様子だ。この辺の信助の様子はブラックルーム初体験時の真名部を見ているようで懐かしい。

 ここなら誰にも邪魔されずに練習が出来るという治外法権(ちがいほうけん)性を葵が語る。なるほど、確かに敵地への遠征が続くこの宇宙編ではブラックルームの存在は欠かせない。この部屋が本当の意味を持つのはアウェイでの戦いが続く宇宙編ならではであろう。


 舞台(座名九郎談)は整った。天馬は2チームに分かれて実戦形式の練習の開始を宣言する。力強く応える信助だったが、それを黙って見ていられないのは正ゴールキーパーの井吹だ。キーパーのポジションを譲るよう要請され、信助は悲しげな表情でそれに従う。


 天馬、剣城、瞬木、座名九郎、さくら、九坂隆二(CV:岡林史泰)といった攻撃的な選手によるオフェンスチームと、キーパー井吹を最後尾に、神童、森村好葉(CV:悠木碧)、真名部、皆帆、鉄角真(CV:泰勇気)というディフェンスチームに分かれる。信助はマネージャーの葵と並んでベンチで見学の立場だ。活躍の場を井吹に奪われ寂しそうな信助……信助はDFも出来るんだからそっちで使ってあげてよ。



 オフェンスチームのキックオフで練習開始。瞬木がドリブルで上がっていく。受けて立つのは鉄角だ。だが瞬木はその抜群のスピードからの切り返しで鉄角をかわす。



 瞬木のそのスピードに信助は驚く。葵は瞬木が陸上部出身の元スプリンターでチーム一の走力であることを告げる。

 鉄角を抜いた瞬木の突進に立ちはだかるのは皆帆だった。人間洞察に優れた彼は瞬木の動きを読み、スライディングでボールを奪い取る。



 皆帆が警視総監賞を受けるほどの名刑事の一人息子であることを葵は信助に告げる。人を洞察する推理力に優れているという皆帆の特徴を信助は知る。

 皆帆はさくらの突進をかわし、鉄角にパスを送る。そこには九坂が向かって来る。それをフットワークでかわす鉄角の特性をボクシング経験者特有の小回りと俊敏な動作にあることを信助は葵から教わる。

 同時にマークに入った九坂が元不良のリーダーで、怒ると手がつけられなくなる凶暴な存在であることを葵は告げる。これって九坂のフォローになってないと思うんだけど、チーム内で九坂に逆らうなという信助への親心だったのかもしれない。

 九坂は体勢を崩されながらも鉄角からボールを奪い返すという並々ならぬ身体能力を見せ、信助を驚嘆させる。


 次の解説は真名部だ。一見これまでのプレーに全然関わらず飄々(ひょうひょう)としているように見えるが、チーム一の状況判断力の持ち主であることを信助は教わる。

 そして次は信助と同じぐらいの背格好の小柄な少女、好葉。オドオドして内気な少女に見えるが、いざという時は誰もが驚く反射神経を潜在している。



 そして座名九郎である。歌舞伎の見得(みえ)を切るポーズでボールを奪う彼のことは葵もまだすべてを知る状況では無いと思うんだけど、歌舞伎役者でバランス感覚に優れていることを入団時のプレーですでに観察していた。



 まなみなを翻弄(ほんろう)するさくら。新体操の選手で身体の柔らかさやキレはチーム随一。当初見られた性格の悪さも最近は鳴りを潜めたらしいし、あとケチをつけるとしたらお土産のセンスを何とかするぐらいだろうか。


 信助は彼らがイナズマジャパンとして活躍していた頃、知識として彼らのプロフィールを独学で学んだことがある。だがそれを実際に目の当たりにして、その知識だけでは得られない、いわゆる「アースイレブンの本気」を今その目で見ているのだ。

 こうして考えると外から仲間の本気のプレーを見るのは今の信助には必要なことだったのかもしれない。サッカーの未経験者ばかりだったこのチームが信じられないほどに進化していることを、常に一番近い位置からずっと見て来た葵ですら驚きを隠しきれないほどなのだから!



 そして最後に信助のライバルとなる、キーパーの井吹。バスケ時代から他の追随を許さない運動神経をそのままキーパーとして活かす。天馬のシュートを阻止して神童に褒められる井吹。この神童からキーパーとしての極意を認められ、今では不動の守護神としてアースイレブンの最後尾に君臨する。自意識過剰なところが治りきっていない面は彼の弱点だろうか。あとお土産のセンスな。


 バッチリ活躍して差をつけたという思いなのだろう、井吹はベンチの信助を見やって不敵に笑う。その挑発は普段は温厚な信助をムキにさせる。だがこのライバル心を向上心に繋げることが出来れば、きっと信助にもプラスとなるはずだ。



 しかしその意気込みは惨憺(さんたん)たる有様だった。井吹に替わってキーパーのポジションについた信助は剣城の強烈なシュートにきりきり舞い、あっさりとゴールを許してしまう。剣城も容赦ないな……。


 シュートを止められず何本もゴールを割ってしまう信助。ポストに激突して倒れた信助を気遣う天馬に信助は笑って大丈夫と返すが、その惨めな姿をベンチの井吹が嘲笑(ちょうしょう)する。


井吹「その程度か。雷門のキーパーも大したこと無いな!」


 立ち去る井吹の後ろ姿を悔しそうに睨みつける信助。その信助の姿を黒岩とマネージャーの水川みのり(CV:高垣彩陽)が見ていた。

 良いところ無く醜態を晒(さら)す信助の姿を、みのりはこれも黒岩の想定内のことなのかと鼻で笑う。信助だけでなく信助を採用した黒岩までもを侮辱する無礼なその態度に、黒岩は何も返答しない。



 練習が終わり、信助は割り当てられた部屋のベッドに疲れた身体を横たえる。浮かない表情なのも無理はない。アースイレブンのオフェンス陣のシュートをまったく止めることが出来なかったからだ。井吹との差を詰めようと意気込んでいたのに、逆にその差を拡げられてしまったという悔いが残るのだろう。

 信助は黒岩のお情け(今のところそう見える)でアースイレブンへの入団を許可された折、このチーム特有の「ケモノの力」という話を天馬から聞かされていた。それを持たない自分には、このチームで戦うことが不可能なのではないかと弱気かつ自虐的(じぎゃくてき)になる。

 だが自分をこのチームに入れてくれるよう必死になって黒岩に直訴(じきそ)してくれた親友の声が胸によぎる。そう、天馬の友情に応えるためにもここで腐ってはいけないのだ。そして信助は行き詰まった時に特訓でそれを打ち破るという気持ち、雷門魂の持ち主でもある。

 信助は特訓で強くなると決意し、部屋を飛び出す。向かう先は言わずもがなのブラックルームだ。


 勇んでブラックルームに到着したものの、信助は備えられたコンソールパネルを前に困惑する。今日初めてここで特訓した信助には操作法など分かるはずがないのだ。

 そこに救世主的に現れたのは、鉄角だった。信助の態度からここで特訓するつもりだということを理解した鉄角は、信助が加入した時からの兄貴肌を見せる。


鉄角「よぉし分かった! だったら俺も付き合うぜ!!」


 一緒に特訓して井吹を見返してやろうと笑う鉄角の友情に、信助は心から感謝する。鉄角も井吹のイジワルなところを見ていたんだろうな〜。



 ただそんな良いシーンを台無しにするのが鉄角の記憶力の無さだった。信助よりは経験者の鉄角だが、しょせんは筋肉づくりの脳みそだ。ブラックルームのコンソールパネルの操作は至難を極めた。指一本でたどたどしく操作する鉄角。これにはさっきの感動を返してくれと信助も呆(あき)れ顔。頼れるアニキ感も台無し。


 なんとか作動することに成功した鉄角だったが、無茶苦茶なキータッチのせいだろうか、場面が一定せずにホログラムが乱れまくる。ようやく一定したのは、例の鉄骨が落下してくるビル群だった。ふと上を見上げた2人は、天空から大量の鉄骨が落ちてくるのを見て悲鳴を上げる!



 この鉄骨の量……レベルが幾つに設定されてしまったのだろう? 100か? 避けるとかいう次元じゃなく、両者はただ逃げるのみ。


 逃げ終えたところで場面が変わる。そこは一面の雪山だった。しかも2人はすでに大きな雪玉に乗っかっている場面でスタートされる! 何が起こっているかも分からないまま、2人は転がり始める雪玉の上でただ翻弄される。



 雪玉の上でジタバタする鉄角と信助。この場面、両者がほとんど同じ身長になっているのが笑える。


 転がっていく先には大きな氷山が! 為すすべ無くぶつかって空中に飛ばされる2人に、またも場面転換(座名九郎談)が襲い来る。今度はジャングルの断崖絶壁だ! 飛ばされたままの両者はそのまま崖下に落下していく。

 もうダメだと思われたその時、ジタバタ振っていた手足が断崖の植物のツルに引っかかって何とか地表への激突は避けられた。

 だがホッとしたのも束の間、ツルが音を立てて切れてしまい、2人はまたも落下する。開いていた穴に落ち込み、そのまま角度を変えて別の場所に排出される。今度はどこへ?


 落ちた先は洞窟だった。そこは経験者の鉄角も知らない初めて見るホログラムだった。故障した可能性があると感じた信助は早くここから出ようと提案するが、鉄角はハードコースの設定では1時間経たないと外には出られないとつらいことを言う。ていうか鉄角、あれだけ無茶苦茶なプログラミングしたくせにハードコースにすることだけは成功してたのかよ。

 とにかくあわてても無駄だと達観する鉄角は1時間を寝て過ごすことに決めたらしい。洞窟の岩を背もたれにくつろぎ始める。一刻も早く特訓したかった信助はため息をつくが、どうしようもない。



 その頃、信助の部屋を訪ねた天馬は返事が無いことに不信感を抱く。信助を探す天馬は談話室(?)の剣城やミーティングルームの葵に尋ねるが、いずれも知らないとつれない返事。



 天馬は信助にサッカー雑誌の差し入れをしようとしたらしい。よりによって桃色極道(ももいろごくどう)、ぼくらのピンクヤクザの染岡さんが表紙というすごい雑誌だ。「サッカー少年」……信助ならずとも私も読みたい。


 そこで天馬は信助がブラックルームで自主的に特訓しているのではないかと思いが至る。駆けつけたブラックルーム入口ドアの使用灯が点灯していることを確認し、信助が頑張っていることを確信した天馬は嬉しくなる。

 一緒に特訓しようと思った天馬は入室しようとするが、コンソールが赤く明滅しアラート音が鳴り、ドアが開かない。



 報告を受けた蒲田静音(CV:くじら)がブラックルームのシステムを操作する。単なるおばちゃんだと思われていた蒲田さんだが、実はバーチャルリアリティ分野の科学者で黒岩に請(こ)われて「アースイレブンサポートプロジェクト」に参加したことを打ち明ける。単なる賄(まかな)いのおばちゃんだと思っていたけど、彼女はコンピューターおばちゃんだったらしい。






 そしていたずらっぽくウィンクして、ブラックルームのプログラマーも自分であったという驚愕の事実を告げる。蒲田さん、チームの寮母さんにしてバーチャルリアリティ部門の権威ある科学者にして桃鉄の車掌……もとい宇宙船ギャラクシーノーツ号の車掌というすごい人だった。どうでもいいがこのカット、どの層に対してのサービスカットなんだろう?


 そのブラックルームを開発した本人ですら、ロックされている現状はどうしようもないらしい。黒岩は中に誰がいるのかを問う。今この場にいない者が中にいると見て間違いなかろう。神童は鉄角と信助が中にいると返答する。それを聞いたみのりが、なぜか興味深そうに顔をほころばせる。



 そんな外部の状況を知らないまま、信助と鉄角はハードコースの解除の時間を待っていた。だがとっくに1時間が経過したはずなのに、未だ彼らは閉じ込められていた。


鉄角「やっぱ俺、壊したかな……」


 ややバツが悪そうにそう語る鉄角に、信助は驚きを隠せない。だが鉄角はその後は悪びれずに、漁師だった頃、海で遭難した経験を語りつつ救援が来るのを待とうと余裕の表情を見せる。誰のせいでこうなっているんだと信助は苛立(いらだ)つが、そこで洞窟に異変が起こる。地面から何かが噴出し始めたのだ。

 地中から現れたのは、5体の埴輪(はにわ)であった。しかもなぜだか埴輪たちは見覚えのあるサッカーユニフォームを着用していた!



 驚く2人を尻目に、地面にはラインが引かれ、両サイドにはサッカーゴールが現れる。そして埴輪の1体がサッカーボールを泥から取り出してきた。これは、サッカーバトルの布石!



 その異変は外部モニタからも確認できた。蒲田はサッカーバトルに勝つことが出来ればこのロック状態が解除されるかもしれないと語る。

 ただ、ブラックルームには現在鉄角と信助の2人しか存在しない。それで5対5の対決をするのは不可能である。何とかならないかと天馬は要請するが、外部からでは蒲田にもどうしようもない。



真名部「アバターを使ったらどうでしょう?」
さくら「アバター?」


 そこでアバターという代替案を出したのは真名部だった。ブラックルームのシステムには彼らアースイレブンのデータもインプットされている。真名部はそのデータを5人まで呼び出すことが出来るという。そのデータこそがアバターであり、擬似的にそのプログラムでチームを編成することが可能であるというのだ。

 ひょっとするとこのデータを残していたのは真名部のファインプレーだったかもしれない。開発者の蒲田ですら思いもつかなかった発想だからである。蒲田は納得してアバターを起動する。



 ブラックルーム内部では、2対5の戦いを強制されそうな展開に困惑していた鉄角だったが、その前に天啓のように4人の仲間が出現した! 剣城、好葉、皆帆、井吹の4名である。

 鉄角は彼らがアバターであることをすぐに見抜く。何にせよこれで人数面での心配は無くなった。意気込む鉄角だったが、何とアバターの面々はそれぞれの守備位置に勝手に着いてしまう。井吹のアバターは当然のようにキーパーポジションだ。鉄角は気まずい思いで信助を見る。


鉄角「井吹! 信助と交代だ!!」


 繰り返しそう叫ぶと、ようやくアバターの井吹はその場を信助に譲る。鉄角は改めて信助にゴールを頼むと告げる。信助は鉄角の思いに応えるためにも気合いを込める。




 試合開始直前の両チームの布陣。埴輪軍団の方は無個性で見るまでもないのだけど、一応。雷門ユニフォームに身を包んでおり、もしかしたらその実力も雷門イレブンレベルなのかもしれない。キーパーは三国さんレベルかな? だとしたら楽勝なのだが。


 一方、アースイレブンの側。DFが多い状況なので皆帆がFWの位置につく。ストライカーというか、シュート技を持っているのは剣城だからシュートも彼専門になりそうだ。この段階で「ぶっ飛びジャンプ」を持ってるなら信助もゴールを決める可能性あるけど。


 雷門埴輪軍団のキックオフで試合開始。ドリブルを剣城と皆帆(のアバター)が止めにかかるが、何と埴輪は両者を吹き飛ばしてしまう。



 こんな顔してメチャ強いという。その理由はエンディングで明かされる。


 そのまま強烈なシュートを撃つ埴輪。信助は気合いを込めるが、シュートを止めることが出来ない!! あっという間にゴールを奪われてしまう。

 いつものサッカーバトルなら失点した時点で終了のサドンデスだが、今回はそのルールでは無いらしい。ただ洞窟の壁面に大きな亀裂が走り、このまま失点し続けるとどうにも良くないことが起こりそうな予感がしてならない。



 好葉ちゃんアバターも蹴散らされてしまう。このシーンの好葉アバターの叫び声はなぜかとても可愛いので、緊迫したシーンだけど不謹慎にも何度でも聞いてしまった。


 この勢いでまたもゴールを決められてしまう! ゴールを決められる度に洞窟の壁面への亀裂が増える。もしかして崩落してしまえば……プログラム内での出来事とはいえ、脳への連動がある分、鉄角と信助へのダメージがどうなってしまうのか分からない。


 次々とゴールを決められ、倒れ込んだ信助は自信を失いそうになる。だがその気持ちを奮い立たせたのは、昼間の特訓の時に自分を嘲笑した井吹の言葉であった。信助は負けられない思いを胸に立ち上がる。その視線の先には、アバターではあるが実物と寸分差の無い井吹の姿があった。


 奮起する信助だったが、その瞬間洞窟の壁面が剥離(はくり)して落ちてくる。鉄角は信助を気遣いつつ、これ以上の失点を防いでくれるよう頼む。しかし信助は自分のプレーが鉄角の命をも左右するという局面に、いつもの彼の悪い面が出てしまう。


信助「井吹と……替わる」


 自分の力では敵のシュートを阻止することが出来ないと悲しそうに言う信助を前にして、鉄角も説得の言葉を失ってしまう。



 そして信助はベンチに下がり、井吹のアバターがキーパーの位置に着く。信助は目に涙を浮かべて自分の実力不足を悔やむ。鉄角は信助を見つめるが、その暇さえ与えないとばかりに埴輪たちは嵩(かさ)にかかって攻めてくる。

 そして驚くべきことに、井吹アバターですらそのシュートは止められなかった!! 頼みの綱の井吹ですら吹き飛ばされ、これで現状では埴輪のシュートを阻止する手段が無いということになる。



 ぶちのめされる井吹。これを見て「ざまぁ」と信助の溜飲が下がってたりしたら笑えるんだけど、そんなことを言っている暇はなさそう。このまま崩落が続けば、鉄角と信助の命も危ういのだ。


 信助は自身の力不足のせいでシュートが止められないと思っていたが、交代した井吹でもその状況は変わらない。信助は井吹のプレーを見つめているうちに、あることに気づく。


信助「動きが小さくなってる!!」


 それはかつて雷門のゴールを任されるにあたってのきっかけとなったシーンと同じだということを信助は思い出す。その時、信助の思い切りを欠いたプレーを叱咤(しった)したのは尊敬する先輩、三国だった。

 それを思い出した信助は、敵の圧力の前にジリジリと後退する井吹に向けて下がるなとベンチから井吹に指示を出す。


信助「前へ出て思いっきりジャンプだ!!」


 その指示を受けた井吹は一つうなづき、その指示通りに前に向けて飛び出す。そしてその積極的なプレーはこれまで止められなかった埴輪のシュートを初めて止めることに成功する!

 阻止すること、それ自体が勝利の条件だったらしく、埴輪たちはその姿を滅していく。埴輪の消滅を受け、勝利を確信した信助は鉄角のもとに駆け寄る。鉄角はこの勝利は最後に適切なアドバイスをした信助のおかげだと感謝の言葉を贈る。


 信助はチームメイトなのに井吹に勝つということしか考えていなかった自身の狭量(きょうりょう)な思考を恥じる。最後に井吹にアドバイスしたその気持ちは、チーム内の敵ではなく仲間であることを第一義に考えての発想だった。

キーパーがせっかく2人いるのだから2人で一緒に強くなれば良いと吹っ切れた表情で語る信助を見て、鉄角も笑みを浮かべる。信助はポジション争いの敵としてではなく、ライバルとして井吹の存在を受け止めるという決心をしたのだ。いつか追いつくという思いを吐露する信助を、鉄角は心から応援する気になる。



 2人が振り向いた井吹のアバターは、その役目を終えて姿を消す。そしてロックされていた空間も元の宇宙船内の一室の様相を取り戻す。同時に入口のドアが開き、心配した表情の天馬たちが駆け込んでくる。

 無事だった2人を確認して葵は胸をなで下ろす。井吹はこの騒動をいい迷惑だと憎まれ口を叩くが、信助はさっきの思いのままに素直に謝罪する。



 敵愾心(てきがいしん)をあらわにしていた信助が素直に謝り、にっこりと笑いかけてきたことに井吹は毒気を抜かれたような表情になる。この2人の関係も改善の兆(きざ)しが見られるようだ。




 ブラックルームの暴走も一件落着。そして翌日、コーディネーターのイシガシ・ゴーラム(CV:遠藤綾)の案内のもと、試合が行われるスタジアムを視察するアースイレブンの一行。



 そこはただ砂漠が広がる何もない空間だった。


 スタジアムとは名ばかりの荒涼(こうりょう)たる光景にさくらや九坂は呆れるが、イシガシは澄ました顔で空を見上げる。


イシガシ「来ましたよ」


 すると空に突如巨大な宇宙船が姿を現す。宇宙船はその外装を稼働させ、その形を大きく変えていく。そして見えてくるのは、観客席を備えた立派なサッカー競技場そのものの姿であった。



 その地球人の叡智(えいち)を大きく超越したテクノロジーには一同、声もない。何もない砂漠に突如出現したスタジアム、それが宇宙を自在に遊泳するスターシップスタジアムである。イシガシは優越感を行間に漂わせながらそう説明する。つまりこれはイシガシの所属する銀河連邦評議会の科学力の結晶なのであろう。


天馬「あそこでやるのか……!!」

 天馬は驚きつつもこのようなすごいスタジアムでサッカーが出来るということに武者震いする。地球の運命がかかった試合であることは承知の上で、それでも彼は最高の舞台でサッカーをする喜びに打ち震えていたのだ。この表情からはその思いが表出している。


 お膳立ては整えられた。あとは両チームがここでまみえる瞬間を待つのみだ。



 次回に続く。



  エンディング



 前回で追いついた感想文のペースだったのに、また一週遅れになってしまいました。頑張ってまた追いつきたいですが、まとまった時間がもっと欲しいやんね(~_~;)




 今回出てきたやたら強い埴輪の正体は、コロコロコミックのコンテストで最優秀賞に輝いた読者投稿の作品だった。埴輪みたいなブラジル人という設定を取り入れ、やや浅黒い皮膚が特徴。ブラジル人か〜。いやはや強いわけだ(笑)。



 今回は基本的に信助の特訓回だったが、井吹とのライバル心やその後の和解シーンなど見どころは多かった。井吹本人は全然関係していないところで信助くんが改心したという感じだったけどな。


 敵チームにもファラム・オービアスの策略が及び、敵の側も一枚岩では行かないという状況が描かれていた。ごっつい紫天王のバルガはクセが強そうだけど、見た目だけなら紫天王最強に見えるよな。彼の加入が果たしてサンドリアスサイドにとって有利になるのかどうかはまだ分からない。


 サンドリアス人は相変わらず地球人との姿の違いが目立つが、ひょっとしたら彼らは地球人のように哺乳類が進化したわけでなく、爬虫類や両生類が地上の支配者となり、そのまま進化したのかもしれない。目の上の出っぱりは砂が目に入らないよう適応したものだと思われる。

 前回天馬たちに挑んできた連中は今回のイレブンに姿が見えなかったんだけど、あいつらはサンドリアスイレブンじゃなくて単なる街のゴロツキだったということ? それとも補欠メンバーなのかしらん?



 次回はいよいよサッカーの試合パート。この戦いでどちらかの星はその主権を失ってしまう。過酷極まりないルールなんだけど、天馬たちは負けるわけにはいかない。




 他にも次回は新オープニング開始以来ずっと注目されていた可愛い妖精キャラが物語に初登場する。サッカーアニメからどんどん離れていく印象だけど、これも大宇宙パワーということで納得するしかない。



  次回「激突!宇宙サッカー!!」に続く。



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