セガの特許侵害訴訟にレベルファイブが反論 【レベルファイブは受けて立つようです】

 前日の

 の記事の続きです。


 株式会社セガが自社の技術特許である「タッチパネルの移動」などゲームの動作面に関する特許を侵害されたとして、人気ゲーム『イナズマイレブン』シリーズを頒布する株式会社レベルファイブを訴えた件。被告側に立たされたレベルファイブが正式に反論し、全面的に争うこととなりました。


 各種報道のとおり、2012年10月22日に株式会社セガ(以下「セガ」といいます)より特許権侵害に関する訴訟の提起を受けましたのでお知らせ致します。

 セガの主張は、当社『イナズマイレブン』シリーズの処理がセガ特許を侵害するというものですが、『イナズマイレブン』シリーズの処理は、セガの特許を侵害しておりません。

 セガ特許と同様の処理をするゲーム及び特許は、セガ特許の出願前から現在に至るまで複数存在している事を確認しております。その相違点を分析検討した結果、侵害に当たらないと判断致しました。
 この件につきましては、裁判を通じて明らかにして参ります。

 今回の訴訟対象である『イナズマイレブン』は、タッチペンを使用してキャラクターを操作しますが、これはタッチスクリーンが普及した昨今では、極めて基本的な操作です。イナズマイレブンの操作は、セガの特許を侵害しておりませんが、今回のセガの訴訟提起は、今後のゲーム制作の選択の幅を制限し、ひいてはゲーム産業の発展を阻害するものであると認識しております。

 セガの特許は当社が『イナズマイレブン』の第1弾を2008年8月22日に発売して以降、2009年2月20日及び2011年8月26日に成立しており、ゲーム発売後に成立した特許に関しての特許使用料の要求、及び、訴訟の提起を受けたことになります。法律的な正否とは別に、同業界の一端を担う者として、この状況での訴訟提起には違和感を覚えております。

 当社としましては、セガの請求は棄却されるべきであり、裁判を通じてその旨主張していく所存です。

http://www.level5.co.jp/news/20121212/popup.html

赤字青字は引用者)






 細部など詳しい面に関しては法廷戦術もあるでしょうから明らかに出来ない部分もあるのでしょうが、上記告知文からは随所に「この裁判、勝てる」という自信が透けて見えます。もちろんブラフ、ハッタリである可能性も否定しきれませんが、最近裁判ゲームである『レイトン教授VS逆転裁判』をリリースしただけのことはあるかなと(笑)。成歩堂龍一並みに逆転するのが得意な弁護士さん、レベルファイブについてやってよ。

 真面目な話、レベルファイブにも顧問弁護士ぐらいいるでしょうし、ある程度勝算があるという判断なのは確かだと思います。もちろんセガにも顧問弁護士はいるでしょうけど(しかも多数)。


 問題はどちらが有利な材料を持っているのかという点。特許を持っているのはセガであり、そこに争う余地はありません。レベルファイブが争点にしたいのはセガの言う特許が青字の「タッチスクリーンが普及した昨今では、極めて基本的な操作」に当たるという部分でしょう。

 極めて一般化された感のあるタッチパネルをペンでタッチ・ドラッグする操作法が特許の名のもとに以後のゲーム業界のすべての頒布物がその縛りを受けてしまうとしたら、今後のゲームの発展を阻害してしまいかねない要因となるのは間違いないでしょう。

 極端なことを言えば、以後このタイプのゲームが出るたびにセガが権利を主張してお金を得ることが可能となるわけです。サッカーゲームに限らず、ひとつのボールを取り合ってパスやドリブルをするバスケットボールなどのゲームでも同じような操作にならざるを得ないと考えるとこれは問題ありだと思えるのではないでしょうか? 「セガに特許料を取られるなら開発するのヤーメタ」となるゲーム会社も出てくるでしょう。それは新しいゲームを生み出すというゲーム業界全体をスポイルする状態になる可能性をも示唆するものです。


 さらに赤字部分セガ特許と同様の処理をするゲーム及び特許は、セガ特許の出願前から現在に至るまで複数存在している事を確認」を見てみると、すでにそういったタイプのゲームはイナズマイレブンシリーズ以外にも出ているということが述べられています。

 具体的にそれがどのゲームを指しているのかは分かりませんが(法廷で明らかになるかもしれませんが)、この指摘が客観的事実だとすると、それらゲームに対してケチをつけなかったセガがどうしてイナズマイレブンだけにはクレームを付けるのかという問題が出てきます。やっぱりイナズマイレブンが儲け出し、それが一段落するのを待っていたんじゃなかったのかと?



 いずれにせよレベルファイブセガの訴状に対して全面的に争う姿勢を見せ、一審で判決が出るまでは和解の可能性も薄れました。どういう結果が出るのかは気になりますが、今回のレベルファイブ側の言い分はなかなか筋が通っていると思います。今後ニンテンドー3DSでゲームを製作しようとするすべてのゲームメーカーもレベルファイブ寄りの意見でしょうし、同業他社を味方につける方針がレベルファイブが取る最善の策なのかもしれません。


 私は言うまでもなく、レベルファイブを応援しますけどね。




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