海江田経済産業大臣の独善性に見る危うさ

 未曾有の事態に於いて、為政者の資質というものの真価を問われるのは当然であるし、またそうであるべきだと思う。こういう時に表出する姿こそ、その人物の真の姿だと思うのだ。


 海江田万里経済産業大臣が、東京消防庁ハイパーレスキュー隊幹部に対して「速やかにやらなければ処分する」との圧力的発言をしたという事が分かった。後に「消防の方が不快な思いをされたのなら、申し訳なく思う」と謝罪したそうだが、もはやこの人物の正体は明らかだ。


消防庁隊員に対し「速やかにやらなければ処分する」…海江田経産相の発言で都知事が首相に抗議


      
              それはひょっとしてギャグで言ってるのか!?



 東京消防庁に対して何の権限も持っていないはずの経済産業大臣にしてこのマジ基地発言だ。最初は本気で言っているとは正直思えなかったのだが、後に正式に謝罪したというから、ギャグではなく本気で言っていたのだろう。自意識の肥大も甚だしい。

 こんな人物の恫喝で東京消防庁ハイパーレスキュー隊が動いた訳ではない事を、私たちは理解しておかないといけない。彼らは日本の為、果ては世界の為に自らの身を放射能汚染という危険に晒して頑張ってくれたのだ。英雄的行動である。恫喝で動いたなどと思われては、英雄たちに失礼だ。


 むしろ海江田大臣の恫喝は全く逆で、隊員の士気を著しく低下させた。



産経新聞より引用

石原氏は記者団に「処分するという言葉が出て、隊員は皆、愕然(がくぜん)とした。(現場の)指揮官は、それが一番不本意だったと言っていた」と述べた。真相は不明だが、都関係者によると、「処分」と発言したのは海江田万里経済産業相だという。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110322/plc11032200430003-n1.htm

 またこの事について、管直人首相に抗議したのが、日頃強権的だと批判されている石原慎太郎東京都知事だという点も皮肉と言えば皮肉だ。東京消防庁の監督権限は東京都知事の管轄なのだから、自分の部下に不当な命令をされた石原知事が抗議するのは当然なのだけど、彼の言動を日頃強権的だと批判する人たちが、今回の事態をどう見ているのかは大いに興味がある。

 海江田大臣のような人物に権力を与えると、どういう事になるのか、その危険な一端が世間に知れた事は悪くなかったのかも知れない。隊員の方々の命を危険に晒し、東京都自慢の高性能放水車をオシャカにされた代償は、余りにも大きかったが。


 緊急性のある事態だったとはいえ、隊員の思いを聞く事もなく「速やかにやらなければ処分する」と言い放ったその発想が、どうしようもなく独裁者の資質十分だ。スターリン的、毛沢東的、ポルポト的発想だ。実は民主党内では、前回の都知事選の有力候補だった海江田氏。もしかしたら、今回の強権発動が、管轄違いでも何でもなく、正当に命令されていたかも知れない。まかり間違っていれば……。

 私は石原知事には批判的で、次期都知事には選ばれて欲しくないと思っているが、今回の問題に限り、彼が都知事であった事を良かったと思う。


 次回の選挙で有権者の正当な審判が行われると思うが、彼の選挙区のもう一方の有力者が、「たちあがれ日本」から政権党に寝返った与謝野馨氏であるというところが実に歯がゆい。



 気が乗らないけど、自民党みんなの党が有力候補を立ててくれる事を祈るしかない。それが無ければ、現代のキリスト、又吉イエスに投票するしかないかも知れない。ジョークと思ってくれないかも知れないのが心配だけど。


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