「朝まで生テレビ」を斜め視聴して、内容以前に抱いた感想

 昨日というか、今朝の「朝まで生テレビ」を見た。ただちゃんと見てた訳じゃなく、別の作業をしながらの「ながら見」だったのだが、頭に入って来るのは櫻井よしこさんの言葉ばかりだった事に気付く。単に当方の持論と近いからという訳では無く、すっと耳に入って来る口調、声質、いわば他人に意見を聴かせるムードを持っている人だと思った。保守のサイドは、こういう人を大切にしないといけないと思う。まず聴いてもらえないと、そして聴き手の心に響かないと、正論も生きる余地が無いからだ。

 今回は出てなかったけど、「朝生」の常連の左サイドでこの技量を持っているのは、東大教授の姜尚中氏であろう。今回は両者に共通点を感じたので、その辺をちょっと掘り下げて考えてみたいと思う。言うまでも無い事だけど、両者の著書も何冊か読んだ上での意見だよ。

 落ちついた抑制した口調、じっくり聴かせるムードある声質など、内容こそ両極ではあるが両者に共通点は多い。ただ「ええ声やなあ」で思考停止せずに論理的に言っている事を一つ一つ頭の中で構築して考えてみると、櫻井さんと姜氏のどちらに説得力を感じるかは自明である。姜氏の側が空理空論の積み重ねで具体例が全く無いのをとみに感じる。「ええ事言ってる、でもそれに至るビジョンや、その後の展望は?」という疑問に全く実現可能な、合理的な回答が無い事に気づくだろう。当方がサヨクだった頃、深謀遠慮なく彼の言葉に「朝生」で聴き惚れた経験があるので、最近は自戒を込めて良く考える事にしている。

 国家論になった時など、どちらが日本の事を考えているのかに着目すれば割と分かり易い。櫻井さんは若い頃から海外で生活され、日本を外から見た上で感じた昨今の日本に対する危機感、そして何とかしなければという使命感が、紡ぎ出される言葉からひしひしと伝わって来る。姜氏の場合は、日本の最高学府の教授である前に、在日韓国人としての立場から発言している。日本に対しての国家観も、我々日本人とは違うだろう。その立場に準拠して発言するのは当然だし、またそれで良いと思うが、だからこそ日本人である当方は同意できない。日本の事を心底心配してくれるなら、日本に帰化して発言するのが自然だと思うんだけどね。中国人から帰化した石平氏の様に。石平氏天安門事件で祖国中国と決別すると決断して、日本に帰化するまでに18年の歳月を要している。その葛藤と深層は如何ばかりであったのかは想像するしかないが、最終的に日本人になる事を選んで、以後は自分の国の事として日本を語ってくれている。当方はその立場からの発言に重みを感じる。

 民族の誇りが大事で帰化出来ないというなら「あなたの考えてくれている日本に対する意識というものは、あなたの民族の誇りよりも低いレベルにあるんですね? 良く分かりました」とみなすしかない。意思を曲げてまで帰化してもらわなくて結構だしね。帰化しないのは当人の勝手であり、その選択は尊重する。ただその立場から発言しているのだとこちらが了解するのも勝手であろう。ちなみに姜氏は「独島(竹島)は我々韓国の領土」と韓国向けのマスコミに明言している人であるという事も付記しておく。

 姜氏の著書を読んで思ったのは、ひいき目に見てもパトリオティズムの解釈、いわば祖国愛の感覚が違う訳で、この場合は日本を大切に思う感覚が、日本人である当方と本質的に違うと言わざるを得ないのだ。極論すると、在日及び日本の周辺諸国との「友好」(当方的に見てそれは「従属」と言い換えたいのだが)を重視して、その為には日本の国益、国柄というものを捨て去るべきと考えるのが左翼。「国境なんて無いと想像しよう。僕たち地球人になって、大きな宇宙の小さな星で、誰とでも仲良くしよう」と眠たい世迷言を言って国益をしゃぶられ尽くす事に血道を挙げるのが左翼だという事(周辺国がそうなっていない段階で、どうして日本が先駆けないといけないのか。まず周辺国を説得して来なさい)。それを確信犯的にやっている周辺国のスパイ連中も性質が悪いが、ムードに騙され無自覚にそれをやっている連中はもう最悪。大抵お人よしの、疑う事を知らない善良でイノセントな日本人だから、諌めるこちらが悪党サイドに見えてくるもんね。自覚が無い分、説得しようが論駁しようが効果は薄い。ちょっと考える癖を付ければ、騙されなくなるというのにねぇ。遠くない昔には、あっちサイドだった当方が言うのも何なのだが……。

 翻って急進的な排他的右翼思想も問題ないとは言わないが、現状を鑑みるに、今の日本はちょっと左傾化し過ぎの感があるので、ある程度の抗議活動は仕方ないと思える。現政権が既に、日本がかつて経験した事の無いレベルの左翼政権だしね。以前のエントリーでも書いたけど、金儲けのためなら国家は二の次という経済界と、日本の国柄を喪失させる事に血道を挙げる左翼勢力が凶悪なタッグで結託して、また何か怪しい事をやっているようだし……。こういった行為こそ、一部で過激なナショナリズムを助長してしまっている事に気付くべきなんだけどね。

 暴力や差別助長は厳に慎むべきだけど、左翼勢力の公権力をも利用した活動を見ると、限定的な反論もなかなか難しい気もする。だからこそ、櫻井さんの様な、現状を理路整然に、かつ傾聴させ得る言葉能力を持ち、かつ毅然と意見できる保守の立場の人が必要なのだと思う。この人を大事にしないといけない。




 ニコニコ動画から「野茂英雄櫻井よしこ女史には…」。櫻井さんが普段は勇ましいのはよく知られた事だと思うので、メチャクチャ可愛らしくチャーミングな一面もあるところを紹介。下の動画の理知的な櫻井さんと見比べると、より楽しめます。音が小さいので、これを見た後に他の動画再生をする場合はご注意(右下メガホンアイコンでボリューム調整出来ます。また、書き込みが邪魔と感じたら、右下端の吹き出しアイコンをクリック)。これだと、野茂じゃなくってもメロメロになるはずとか、後ろの女性アナウンサー受け過ぎとか、何度見ても爆笑してしまう、腹筋が鍛えられる動画。YOUTUBEでは削除されてしまっていたので、保存推奨。

 櫻井さんの主義主張が嫌いな人も、これだけは見てみて欲しいなぁ。政治色抜きで面白いから。



 比較対象。靖国参拝問題に関して、整然と「中国人や韓国人の認識=アジア全体の認識では無い事」を喝破する櫻井女史のカッコ良い図。こちらは、見たくない向きの方は見なくても良いです。


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