セガサターン究極の続編『サクラ大戦2』の感想 (せがた動画もあるよ)

 今回は久々にゲームネタ。今回は以前挙げたセガサターンの最高傑作『サクラ大戦』の続編『サクラ大戦2』の感想文を紹介したい。【ゲームクエスト】に投稿した時も連続して投稿したものなので、続けて読むと味わい深い内容……と自分で言っておく。痛いネタの使い方が前回の『サクラ大戦』の感想とリンクしているので、出来れば合わせて読んで頂きたい(哀願調)。

甘茶さん の「サクラ大戦2 〜君、死にたもうことなかれ〜」 (セガサターン)
サクラの「正史」 ちゃんとフォローして
 甘茶さんは、人気ゲーム「サクラ大戦」の第二弾の長文感想です。アニメーションの豪華さ、戦闘の演出などファンの心をつかみ、続編のマンネリ打破に工夫をこらしているのが分かります。「1」と「2」の扱いの差は意外な気がしますね。

甘茶
サクラの「正史」 ちゃんとフォローして(2008.08.04)
 ゲーム界において、ヒット作が輩出されると続編が企画されるのは商売の道理からして極めて常道だ。二匹目のどじょうという訳では無いだろうが製作側は皮算用をはじくだろうし、ヒットしていればしている程、消費者側も大半は素直に続編を望むからだ。中には『デスクリムゾン2』のように、資本主義の原理原則に真っ向から挑戦しようとしているとしか思えない続編もあるが(これはこれで潔く、カルトファンに見事に応えたエコール真鍋社長のプロ根性を高く評価しているが)、基本的に続編モノというものは生産側、消費者側双方の安定性の元、予定調和的に成り立っている物であると思える。前作からのネームバリューがあって設定やシステムの流用も出来る、固定ファンも一定数見込めるなど、製作側からすれば良い事づくめに思える続編モノだが、安易に考えると消費者の反発を買う事になる。続編故の弊害もあるし(後述)、何せ前作を経験している層は、当然それで味わった以上の満足感を次回作に求める訳だから大変だ。ヒットしたゲームというのは大抵とても面白い(はったりとムービーの美麗さで売りまくっていた、つまんない某大作RPGもあるが)。そのヒット作を上回る出来のものを作らないと納得してくれない、同レベルの出来であったとしても劣化と見なされるとしたら……。そういった意味で、目の肥えたファンのいる作品の続編というのは実に茨の道なのかも知れない。今回取り上げる『サクラ大戦2 〜君、死にたもうことなかれ〜』に関しては、そういった感慨を抱いてしまうのだ。
 


 ※以下、弊害について記すが、断片的ながら『サクラ大戦』『サクラ大戦2』のネタバレを含んでいる。注意されたし。


 
 続編とは言わば前作がネタバレになっている訳で、世界観やゲーム性へのインパクトが著しく衰えてしまう。第一印象から続編だからこそのマイナス印象を持たれてしまう訳だが、より深刻なのはストーリーが進むにつれ、「あれ、これ、どっかで見たような気がする」とか「またこんな事しなきゃならないのか」など、プレイヤーに抱かれてしまう、マンネリ感という弊害だ。『サクラ2』では帝国華撃団花組に新キャラ2名を加え、攻略可能キャラを全部で8人にするなどしてマンネリ打破に工夫が見られる。ただキャラが増えた分シナリオも長くなって、プレイヤーによっては冗長に過ぎる印象を持った人もいると思われる(やりこみ派の当方としては全く苦にならなかった部分であるが)。マンネリ防止の為のキャラ増加が、プレイを長引かせる副作用を与えてしまったというのは皮肉だ。キャラ増加以外にも、アドベンチャーパート時の選択次第で主人公・大神一郎の性格が変化するという「硬派軟派メーター」や、戦闘時に自軍のモードを選ぶ事で戦いを有利にする「風林火山」作戦など、細かいシステム回りにもマンネリ防止の配慮が伺えるが、プレイヤーに大きな印象を与えるには至らなかったようだ。「風林火山」は使わなくても楽勝だし(使うとより簡単にはなるが)、「硬派軟派メーター」は次回作からは取り入れられなくなった。個人的に「硬派軟派メーター」の方は、エンディングに影響させるなど、使いようによっては面白いシステムになり得たと思うので残念な気がする。
 
 戦闘シミュレーションの側面も持つ当作品に欠かせないのが敵キャラの存在だが、前回に劣らず個性的な敵に溢れている。ただここでも敢えてマイナス面を挙げてみると、前作と比較して、敵がこじんまりとし過ぎているという印象なのだ。前作は徳川初期三代の時代に実在した僧天海や、ミニゲーム「こいこい」に引っ掛けた猪・鹿・蝶、果てはサタンにミカエルといった、すんごく弾けたキャラが登場した(ミカエルは味方だけど)。それに対して『サクラ2』での敵は黒鬼会の五行衆(五行思想の万物五元素、金・水・火・木・土を名前に付けた五人組)、誰もがすぐに気付く様に敢えて設定された「お約束の因縁」を持った鬼王、ラスボスの京極は邪心を持っているけど只の人間と、比較してみるとどうにも弾けていない、小粒の相手に思えてしまう。一作目で無茶し過ぎたのかも知れないが、戦闘モノというのは「敵キャラのインフレ」を起こすものであって、次回作でスケールダウンのイメージを抱かせるのは良くないと思える。こういった点も続編故の弊害といえるだろう。『サクラ大戦3』で舞台を帝都から巴里(パリ)に一新した理由として、マンネリ感の一掃と共に、帝都という限られたシチュエーションでの新たなタイプの敵キャラの要素が思い付かなかったからではないかと勝手に想像してしまう。
 
 敵キャラの話に付け足すが、戦闘パートが面倒になったのもマイナス点だ。前作の戦闘パートが余りにも簡単と評価されたので難易度を上げたつもりだと思うのだが、その辺は報われていない。下手をすると負けてしまう、といった難易度では無い。相変わらず苦戦する事は無いのだ。ただただボスが硬かったり、ボスの護衛機が邪魔だったり、ボスが分身して本体に攻撃が当たらなかったりと、スカッと勝てない煩わしさのみを感じてしまう出来なのだ。前作の評判を意識しての設定だとしたら、これもやはり弊害と言えるのではないだろうか。
 
 マイナス点を指摘し過ぎて、まるでアンチサクラ厨の様になってしまっているが、当方いち個人としては『サクラ2』は前作『サクラ大戦』と同様、高く評価している。もちろん続編だったからこその良い点もあった訳で、その辺も含めてここから論評してみようと思う。
 
 オープニングを始め、作品を彩るアニメーションは前作から格段の進歩を遂げている。映写機に靴の裏一足分の砂を振りかけた感じだったザラザラ感が、靴の裏片方分くらいに減じている(これでもかなり褒めている)。同じハードでこれだけ向上出来るのは製作側の技術の蓄積があったからこそであろう。オープニングアニメや主題歌は、インパクトでは前作にどうしても及ばないが、再び『サクラ』の世界に乗り込もうとするプレイヤーに郷愁混じりの前向きな感情を喚起する出来になっていて良い感じだ。
 
 恋愛対象となる帝国華撃団花組の隊員達のキャラクターの魅力が、そのまま『サクラ』シリーズを通しての作品の最大の魅力である事は間違いない。続編ともなると、キャラの魅力のより一層の掘り下げが求められるものだが、前作『サクラ大戦』で出会った隊員達と主人公・大神一郎との関係は、今回より深く描写され期待に応えている。メインヒロインのさくらを始め、各キャラの背景にいる人物(家族だったり後見人だったり)が登場するのだが、家族(後見人)を紹介するという事で、まるで大神に結婚を前提とした付き合いを迫るかのような展開にドキッとさせられる。これはプレイヤーの、前作からの情の蓄積がものを言っているに他ならない。今回初登場のレニ・ミルヒシュトラーセソレッタ・織姫の2人にはこの点がハンディキャップだが、その分当作品内で他キャラより濃密に人物設定を描く事によって、及ばずながらではあるが補われている。

 物語の最後に大神は巴里に派遣される事になり、今回精神的に結び付いた恋人の隊員とも別れる事になるのだが、その別れが前作のエンディングとは比較にならない程辛い雰囲気を与えるのも、情の蓄積が如何に大きくプレイヤーに影響を与えるかの証左だと思う。帝都の事など忘れたかの様に『サクラ大戦3』で巴里華撃団隊員たちに浮気しまくる事になるとは、この時点では全く想像もつかない程である。

 あと戦闘時のヌルさも相変わらずだが、協力攻撃といった新たな好感度との絡みもあって、いろいろエフェクトを見てやろうという気が起き、やる気は維持される。回数こそ減ったが、お馴染み「かばう」も健在なので、お気に入りの隊員に『少尉さん、サンキューでーす(ポッ♡)』とか『……隊長、ありがとう(ポッ♡)』(「ポッ♡」はプレイヤーの脳内擬音)とか言わせて、暗がりの部屋の中、口角を片方だけつり上げながらニヤリと笑い、満足感に浸るのもありだ。こういった楽しみ方も『サクラ』シリーズでは間違っていないと思うので……嫌だろうけど理解して貰いたい。
 
 ミニゲームも前作同様、遊び甲斐があった。今回も本編クリア後にミニゲームが好きなだけ遊べるのだが、トランプ「大富豪」はやはり有りものだけに、いつまでも飽きずに遊んでしまえる出来であった。今回の当方のお気に入りは織姫の音符合わせゲーム。単純作業がとにかく麻薬的にハマり、延々と遊び続けてしまった。高得点後の織姫のご褒美絵&ボイスに疲れも癒される。本編当初は隣にいるだけであんなに胃が痛くなるようなストレスキャラだったのにねぇ……。アイリスのお祭り見物ゲームは見た目だけで15分くらい笑えるオモシロ見た目なのだが、内容は意外と硬派で、ぶつかるとミスになる他の見物客がガルザカートの如く分裂弾、もとい分裂見物客をばらまき、可愛いSDアイリスに危害を加えようとしてくるのだ。画面一杯に広がる見物客の極悪ぶりに、ムズゲ−の代表格の『怒首領蜂・大往生』を連想してしまったのは当方だけであろうか(当り判定的に、あれほど高難度ではないと思われるが)。
 
 世間では『サクラ2』は前作『サクラ大戦』ほど評価は高くないようだ。前作と『サクラ大戦3』はプレステ2でリメイクされたが、『サクラ2』はドリームキャストに移植はされたがプレステ2版でのリリースはなされなかった点にも表れている。残念だな、と単純に思う。『サクラ大戦 〜熱き血潮に〜』の様な一部劣化リメイクでは困るが、単純移植すらなされないのは残念である。『サクラ2』で登場したレニと織姫が、プレステ2では「ほぼ無かったキャラ」にされているのも不憫でならない。『サクラ』の正史がプレステ2というプラットフォームで現在続いている以上、全てをフォローして貰いたいというのがいちファンのささやかな望みなのだが……如何がなものだろうか。


 前回以上にいろんなゲームに例える表現をして、収拾がつかなくなっている感想文だな。自分のブログだと、いろいろリンクが出来て便利だ。『FF8』はプレイしていないけど、周囲や世間一般の意見を鑑みて「つまらない大作」と認定した。『FF8』やエコール真鍋社長ファンの人には今回の感想、ごめんなさい。

 面白い作品だったので、是非プレステ2で出して欲しかったというのが感想文中にも書いたけど、偽らざる実感。プレステ2版こそリリースされなかったが、PSP版の『1』&『2』カップリング移植版が出た事は福音だった。『サクラ2』からのキャラ、レニと織姫も報われるというものだ。これで問題は、当方がPSPを持っていないという一事だけ。

 結構でかい問題じゃん。



[追悼]
 本作でヒロイン真宮寺さくらの父、真宮寺一馬と敵の副将、鬼王を演じられた野沢那智さんが今年10月30日に肺がんで亡くなられた。余人をもって代え難い声質の方だったので、誠に残念。本日付の毎日新聞の訃報欄にて、長年声優として、ラジオパーソナリティとして共演された白石冬美さんの追悼文を読んだ。悲しくて、思わず涙ぐんでしまった。慎んで、ご冥福をお祈りします。

 また、帝国華撃団・薔薇組所属の太田斧彦を演じられた郷里大輔さんも、今年1月に亡くなられている。本作ではオカマの三枚目という役どころの端役であったが、やはり余人を持って代え難い声質の方で(「ドラゴンボール」のミスター・サタンや、「魁!!男塾」の江田島平八なんか、この人の声以外にあり得ない)、本作のゴツいオカマキャラという難しい役どころも、この人にしか演じられないキャラであった。ご冥福をお祈りします。




 オープニング。曲のフルバージョンの長さに合わせて編集された力作動画。カッコ良い曲だよな〜。前作のオープニングの印象を上回って有り余る迫力。




 エンディングテーマ曲「夢の続き」は、前回同様『アイドルマスター』版で。キャラの動きと曲が親和して、もの凄く良く出来ている。歌い手が次々と後ろの舞台袖から出て来て合流して行く演出は、本当の舞台歌劇を見ている様で感動モノ。服の色はゲーム中の花組メンバーが着る戦闘服と同色にしている上に、ソロパートでは歌い手に合わせて顔がアップされるので、誰がどの役を演じているのか、前回の動画より分かり易い。
 桐島カンナ役のキャラがちゃんと鉢巻してるのが面白い。李紅蘭は相変わらず元キャラと100%一致の姿。歌劇団員では無いキャラながら、声担当の折笠愛が抜群に歌唱力があるが故にエンディングで歌っている藤枝かえで中尉役のキャラは、着ている服のパターンが少し違う(スカートまで軍服のモスグリーン。水着は何故か大神カラーの白。モスグリーンの水着は無かったのかな?)など、芸も細かい。

 終わり近くのサビの部分、一人ずつ挨拶するかのようにフェードイン・フェードアウトするシーンは鳥肌が立つほど感動した(5分56秒辺りから)。ラストまでの怒涛のなだれ込みに、当方、PCの前で一人スタンディングオベーション




 特別おまけ。せがた三四郎と、さくら役の声優横山智佐との、一度見てしまうと二度と記憶から消せない恐怖の本作CM。せがた三四郎とさくらは実は恋人同士だったという超絶設定。このインパクトは、全ての『サクラ大戦』のCMの中でも絶大。せがたはしゃぎ過ぎ。花びらかけ過ぎ。最後の「セガサターン!!」の一言も完全に浮かれていて、確実にセガサターン♡♡♡」と言ってしまっている。一方、横山智佐はコスプレを嫌がる声優さんが多い中、バッチリシッカリさくらのコスプレを決めていて好印象。『サクラ大戦』シリーズの声優さんは、みんなプロ意識が高かったよね。

 ちなみにBGMで流れているのは感想文中で触れた、織姫のミニゲーム中に流れる曲。歌っているのは勿論ソレッタ・織姫役の岡本麻弥。あのミニゲーム、ホントにハマりまくったなぁ。現行ハードでミニゲーム集とか出してくれたら、絶対買うけどなぁ。


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