『スーパーマリオコレクション』 25年分の怨念をぶつけたい。

甘茶
あのころのおもいで『スーパーマリオ』へん（書き下ろし）
　実は当方は『スーパーマリオ』をこれまでまともにプレイした事がない。この場合の「まともに」は、まさにそのまま読んで字の如く、文字通り読み取って頂きたい。発売直後は特に理由も無く購入しなかったのだが、『スーパーマリオ』がすでに下火になりつつあった頃にようやく飽きた友人から安く入手した。しかしその頃ウチのファミコンは壊れていて、コントローラーのAボタンが利かず、しかも十字レバーがずっと右に入りっぱなしという壮絶な状態で、あらゆるゲームをするのが絶望的であった。
　故障した原因は大事に使って来たという自負から俄かには思いつかないのであるが、敢えて原因を挙げるとすれば、おそらく『ベースボール』で魔球を投げる為に金具でファミコンのデリケートゾーンを弄り回したせいだと思う。画面がブラックアウトするほどに完全に壊れていればむしろ諦めも付いたのであるが、スイッチを入れた段階でのぱっと見は全く正常なのだ。テレビゲームに触れて以来、三度の飯よりゲーム好きの覚えたての猿状態だった当方は、愛機が上記の状態であることは百も承知で『スーパーマリオ』のカセットを差し込み、スイッチを入れ、ゲームスタート。最初に出てくるクリボーに突進して死んでいくマリオを見ては激しく落ち込み、世と横井軍平を激しく恨む毎日だった。毎日繰り返すところがどうにも猿だが。……ただ、宮本茂は恨まなかった（『プロジェクトX』風に）。
　ジャンプと方向転換が出来ない状態なんだから当たり前の話で、とにかくどうしようもないのだ。当方は自嘲気味に「ウチのファミコンだったら、あの16連打の高橋名人でも面クリはおろか、あのクリボーで死ぬね、うん、絶対！」とクラスメイト達に嘯（うそぶ）いたものだ（当たり前なんだけど）。その後当方のファミコンは修理される事無く引っ越していく隣の家の子にソフトごと押しつけて（あの子もクリボー越え出来ずに血の涙を流しただろうか？）、以後『スーパーマリオ』関連のゲームをプレイする事は無かった。そんな折、つーかつい昨今、25周年記念とやらで、Wiiで『スーパーマリオコレクション』が発売されるという。何と言うか、あの時のリベンジを果たしたいと思うのだ。当方にとっては【25周年記念】というより【25執念祈念】といった心境なのである。子どもの頃の感覚を呼び戻してプレイするのも楽しそう（思い出は怨念で塗り固められているが）。
　まぁ正直言うと、ゲームがしたいという以上に付録の『スーパーマリオヒストリー　ブックレット』と『サウンドトラックCD集』が欲しいんだけどね。購入したら、ここでまた感想を書きたいと思う。他にもいろいろ積みゲーだらけで気は急くが、あまり期待せずお待ちの程を。

　これは今日書き下ろしたものなんだけど、こんなもんがゲームの感想文とは流石に誰からも認めてもらえなさそうな気もする……。

[追記]

10月21日発売との事で既に発売されている模様。現在は品薄らしいので、ぼったくり業者が横行しているとの事。10月25日現在、まともでない店舗、個人からの購入は控えるのが吉。当方も買えなくて悲しい。
金具でファミコンのデリケートゾーンを弄り回した＝電気的な誤作動を誘発する技。これをしたファミコンは高確率で故障する。真似してはいけない。言うまでも無いと思ったけど、一応。

　憎きクリボーの動画。あまりに悲しいオチだが、当方の夢はまさにこんな感じ。クリボーに対する殺意で一杯の当方。

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