フジテレビデモと反原発デモに関して思うこと

 昨日行われた反原発デモ、なんでも3万人とも6万人とも言われる人たちが集まったそうです。主催者がノーベル文学賞受賞者ということもあって、テレビや新聞でも大々的に報道されていました。しかし当方はその報道の在り方自体に大きな疑点があり、無批判には受け入れられない心境なのです。


 反原発デモ以外にも、日本国内で結構大規模なデモが行われていることを皆さんはご存知でしょうか? ほとんどその辺の情報が聴かれないのは何故なのでしょうか? 当方はその報道姿勢に恣意性が無いとは思えないのです。


 当方が今から言及するフジテレビや花王に対するデモの件は、テレビや新聞など、ほとんどの既存メディアが黙殺したので知らないままの方も少なからずいらっしゃるかも知れません。8000人以上とも言われる人たちが参加したという大規模なデモを、まるで緘口令でも敷かれたかのようにメディアが報道しない姿勢はおかしいのではないかと言わざるを得ません。



 このデモの発端は、拙ブログでも取り上げた、俳優の高岡蒼甫さんのtwitterでのつぶやきでした。


【参考記事】


 高岡さんの所属する芸能事務所による、高岡さん解雇にまで至った経緯を見て、言論の自由に対する侵害という観点から、当方も一連の流れを関心を持って見て来ました。最終的に高岡さんが矛を収める形で沈静化したらしいですけど、その発言に共感を覚える人たちが立ちあがり、韓流をゴリ押しする象徴のフジテレビ、さらにフジテレビのメインスポンサーである花王に対し、デモという形で抗議するという状況に至った訳です。


 8月21日にフジテレビに対して、最初の大規模なデモが行われました。拙ブログもその辺を後追いするつもりでいたのですが、ちょうどその頃に諸事情でネットに接続することが出来なくなり、リアルタイムでその件について言及する機会を逸してしまいました。これは今でも残念に思っています。


 幸いなことに、当方がよく見に行くブログの書き手の方で、実際に8月21日の最初のデモに参加された方がいらっしゃいます。同じはてなダイアリーで何度か拙ブログと類似のジャンルを取り上げておられることで個人的に注目しておりましたTM2501さんの記事が分かり易くまとめられていました。TM2501さんの記事は、不要に教条的でなく、肩の凝らない筆致でこの話題を描かれています。ぜひご一読頂きたいのでリンクさせて頂きました。実際に参加された方の強みで、画像も豊富で臨場感にあふれた内容となっていて、ややもすれば説教じみた論調になりがちなこの問題を、思想的左右の別なく理解する参考資料になり得ると思います。引用数が多く恐縮ですが、お読み頂くとデモの真相などが理解し易くなるでしょう。


【参考記事】

 正論を唱えるにせよ、空気を読まないといけないというのはこの問題に限らず様々な分野に当て嵌まる真理であり、ブログを書く者として、ずい分勉強になりました。あと、「Flash」の記事は観ました(笑)。多分あの人じゃないかと当たりは付けています。


 さておき、この件ではネット上で多数のブログが言及し、デモの実況動画の視聴者はものすごい数にのぼったと言います。またtwitterでのツイートも膨大な量に及んだようです。それなのに不思議なのは、テレビをはじめとする既存メディアがほとんどこの問題を取り上げないことです。特に今回など、フジテレビというテレビメディアがデモのやり玉に挙げられているというのに。当のフジテレビを含め、当日、及び翌日のメディアの報道ではデモの件は完全黙殺しました。

 知らなかったでは済まされませんし(フジテレビなんか、本社の周りをデモに取り囲まれとる訳ですし)、取材するのも難しくないはずです。100歩譲って当事者のフジテレビが報道するのが難しいなら、他局のテレビ局や新聞は何故触れようとしないのか? ここにこの問題の病理の一端が窺えそうな印象です。

 そこにはよく言われる、マスコミの横並び体質が現れています。フジテレビ抗議に加担すれば、同じく韓流と無縁ではない自分たちの責任も問われかねない。その系列の新聞も責任から無縁ではありません。朝日や毎日は「韓流熱風」ならぬ「韓流風」の片棒を以前から担いで来ました。フジの系列の産経新聞もグループ関連企業の利害が絡む韓流が、実は捏造だったということが広まることは望まない。そんな報道機関として、およそ真っ当と言えない大人の事情が働いて今回の黙殺に繋がったのでしょう。


 ですがネットの威力は彼らが思う以上に大きいものでした。ネット上の意見が彼らには余りに堪えたのでしょうか。既存メディアの幾つかは反撃に出ました。デモ直後に報道しなかった段階でジャーナリズムの放棄に等しいのですが、彼らなりに自己正当化の意味合いもあったのかも知れません。8月21日から11日も経ってから、デモを批判し出したのです。代表的な例を挙げましょう。カウンターというよりも、単なる揶揄、難癖の類いなのですが、本来フジサンケイグループとは縁もゆかりも無いはずの朝日新聞の記事から。


http://news.livedoor.com/article/detail/5829414/


 詳細はリンク先を参照して頂きたいのですが、要約すると朝日の記事は「何を言おうが韓流は流行っているものであって、抗議する方がおかしい。コントロールされているのはデモに参加する側」と決めつける内容になっています。デモ当日や翌日に報道せずに、11日も経過してこのような恣意的な記事を掲載する朝日新聞の見識を疑います。また自分の意思でデモに参加する人たちに対する侮蔑、冒涜に満ちた記事であると思います。

 日頃韓国マンセー、中国万歳、日本大嫌いの朝日新聞が今さら何をかいわんや、なのですが、新聞しか読まない層はやはりこの意見に同調するのでしょうねぇ。いつもは朝日の欺瞞性に噛みつく産経新聞も、今回は期待できそうに無いですしね。むしろフジテレビを擁護してくれて感謝してるぐらいでしょう。



 デモとはデモンストレーション、示威行動のことです。公の場で自らの意思や主張を、実際に行動を持って示すということで参加者にはそれなりの信念やエネルギーが無いと務まりません。フジ・花王デモには2チャンネルの大規模OFF板で呼びかけがあったそうですが、実際に集まった人たちは物理的にその場に行って参加する訳で、その思いはネット上に留まらないものがあります。

 左翼の反原発デモにその情念があるのなら、同様にフジテレビ・花王デモにも集まった人々の思いがあります。何故同列に報道しないのでしょうか? 結局報道側の都合次第で情報というものの扱われ方は変わるということを、今回の件はまざまざと示したのです。


 今、脱原発を訴えるのは簡単です。むしろ原発維持を提唱する方が勇気がいるでしょう。福島の現状を考えると、感情論から脱原発の主張に誰も反論できないからです。ただ昨日の反原発デモに集まった人たちは、日本中の原発の即時の停止を訴えているのですよね。じゃ、代替エネルギーはどうするのか考えているのでしょうか? そこに国益無視のイデオロギーの入り込んでいる余地は無いでしょうか。9条の会や週刊金曜日グリーンピースの意志は反映されてはいないのか? そういった吟味がなされ、果たして11日後の朝日新聞に記事として掲載されるでしょうか?

 両者のデモと関わりの深い2人、山本太郎さんと高岡さんはその発言でそれぞれ仕事を失ったという共通点があります。(一見は)似た立場の2人で興味深い記事など書けるのでは無いでしょうか。個人的に読んでみたいですね。どちらも朝日新聞の正義感からすれば、犠牲者でしょう? まぁ朝日の描き方は容易に想像がつきますけどね。



 デモ報道を比較して思うのは、ますますテレビや新聞は信用できないものになったということです。ウソを流すということ以外に、意図的に流さないということも平気でするのが既存メディアなのです。インターネットにもデマやガセ情報が氾濫しており、何でも信じるのは大変危険です。ですが、自分の頭で考え、取捨選択する自由があります。自分たちに都合の良い情報以外を遮断する既存メディアの手法はもはや曲がり角に来ていると思います。


 この件を取り上げるという18日放送の「たかじんのそこまで言って委員会」には期待したのですけど、失望しました。やはりテレビはテレビの論理で動くようです。あの番組ですらタブーを設けるとはね。

 私はもう、テレビはスポーツとアニメだけでいいです……。



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