【八田與一氏を知る為に】 台湾のちょっと良い話 【親日国の台湾に旅行しましょう】

 5月8日、とある日本人の命日の日、台湾の馬英九総統が「私は反日ではなく友日派」と語ったそうだ。


中日新聞より引用

台湾に日本人技師の記念公園開園 ダム建設業績たたえる

2011年5月8日 18時28分


 【台南共同】台湾で日本統治時代の1930年、当時としてはアジア最大級の烏山頭ダムを建設するなどして、不毛の土地を台湾最大の米作地帯に変えた金沢市出身の日本人技師、八田與一氏(1886〜1942年)の業績をたたえる記念公園が8日、台湾南部・台南市官田区の同ダムのほとりに開園した。

 開園式典に出席した馬英九総統は「この公園が中華民国(台湾)と日本の新たな歴史の始まりとなることを望む。われわれは台湾に貢献した人に感謝すべきだ。そうすれば、両国の関係は絶え間なく前進すると信じる」とあいさつした。

 式典には日本から森喜朗元首相ら国会議員、中西吉明石川県副知事ら同県関係者に、八田氏の孫の修一氏ら遺族も合わせて計200人以上が参加。森元首相はあいさつで「八田氏の歴史が後世に残ることは、日本人として光栄だ」と語った。

 公園は約5ヘクタールの敷地に、ダム建設の際に八田氏らが住んでいた宿舎4棟を復元。復元に際しては、八田氏の遺族に当時の写真を提供してもらうなどした。石川県の北國新聞社などが呼び掛けて集めた戦前の家具も入れて、当時の雰囲気を再現した。総事業費は約1億2千万台湾元(約3億4千万円)。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2011050801000418.html


 自国を「台湾」では無く、「中華民国」と称する馬総統、及び台湾国民党が台湾国内における反日勢力である事は多くの事例が示す事実だ。

 第二次大戦で日本が敗れた後、中国では内戦が起こった。毛沢東率いる中国共産党と、蒋介石率いる国民党との内戦だ。この内戦は実際は日中戦争以前からあったのだが、満州事変以降、日本と戦うために一時的に手を組んでいた(第二次国共合作)。

 内戦に敗れた国民党は、小さな島、台湾に逃れた。内戦以前から台湾に住んでいた人々(本省人)に「犬(日本人)が去って豚(支那人)が来た」と言われた国民党軍(外省人)は本省人を徹底的に弾圧し、独裁体制を築いた。抗日が中国共産党の唯一の正統政府たる方便になっている様に、国民党にとっても抗日が一つのアイデンティティであった。

 国民党は党本部の前に「抗日英雄」という看板を掲げ、日帝の統治下で反乱を起こした台湾人たちを英雄として遇していた。その様な歴史背景を持っている国民党、及び香港生まれの外省人の馬総統が基本的に反日なのは必然だ。最近では尖閣諸島問題に於いて利害を強烈に対立させている姿勢からも、その辺は窺える。


櫻井よしこさんの『週刊ダイヤモンド』2008年3月8日号記事より引用

こうしたなか、2月26日の国民党系の新聞「聯合報」が、馬氏が日本統治時代の抗日志士の家族らと会い、彼らの支持を請うたと報道した。日本を敵として戦った人びととの連携、それを大きく伝え、馬氏を支持する国民党系のメディア。やはり馬氏は、基本的に反日なのかと思わざるをえない。


 この様な反日の馬総統をして、それでも「私は友日派」と言わしめた八田與一(与一)とはどんな人だったのか?

 八田は東京帝国大学土木科を卒業後、台湾総督府の技師として台湾に渡り、干ばつに苦しむ台湾の人たちの為に、灌漑事業を行った。彼の築いた烏山頭ダムは、完成から80年が経過した現在でも稼働している。ちなみに膨大な建設費用の半額は、日本の国費が充てられた。


 今回の記念公園開園以前からも、台湾人は八田に対する感謝の念を持ち続けていた。中日新聞は以前からこの件に関しては良い記事を書いている(基本、中日新聞は朝日と同じ様な左翼紙なのだが)。


中日新聞より引用

台湾に日本人技師記念館 戦前、水利事業に貢献

2009年4月18日

 台北=栗田秀之】日本統治時代の台湾で水利事業に貢献した金沢市出身の日本人技師、八田與一(よいち)氏の業績をたたえる記念館が、台南県官田村の廟(びょう)「官田慈聖宮」に完成した。村の人たちは今も八田氏を慕っており、記念館の設置は長年の悲願だった。5月8日、八田氏の命日に開幕式がある。

 八田氏は、台南県で1930年に完成した烏山頭ダムやかんがい用水路の建設を指揮した。 ダムは当時アジア最大といわれ、延べ1万6000キロに及ぶ用水路とともに、不毛の地だった嘉南平野を穀倉地帯に変えた。

 ダムのすぐ西にある官田村の稲作も以前は天候に左右され、水をめぐるもめ事も絶えなかったが、用水が引かれてからは生活が一変した。八田氏に対する感謝の念が一貫して引き継がれ、記念館設立の声が5、6年前から高まっていた。

 慈聖宮管理委員会の陳俊銘さん(40)や張晋魁さん(52)らは、農業の神様を祭る慈聖宮が記念館の場所にふさわしいとして、廟の2階に約100平方メートルのスペースを確保し、八田氏の生涯を写真パネルや年表、図などで網羅した。

 館のシンボルとして、台湾の著名な彫刻家に依頼した八田氏と外代樹(とよき)夫人の木彫りの像も安置した。

 陳さんは「生涯の黄金期を台湾にささげた八田さんの私心の無い、大きな愛に涙します」と話し、今後も廟の周辺約5000平方メートルを八田氏らにちなんだ文化地区として整備する構想を持っている。

 八田氏の長男、晃夫氏(故人)の綾子夫人(75)=愛知県春日井市=は「何十年も前の事を感謝してくださる台湾の人たちの気持ちは本当にありがたいです」と話している。

http://www.chunichi.co.jp/article/world/news/CK2009041802000249.html(現在はリンク切れ)


 実は当方は2000年に小林よしのりの「新ゴーマニズム宣言スペシャル・台湾論」を読むまで、八田與一の事は何一つ知らなかった。日本人として、八田を知らない事が恥ずかしかった事を覚えている。韓国と違い、現在の台湾人は教科書でその事をきちんと学んでいるので、八田だけでなく、日本や日本人そのものにも感謝してくれている。東日本大震災の折、台湾が世界で一番多額の義援金を贈ってくれた背景には、実はこんな美談が隠れている。


 八田自身は1942年5月8日、綿作のための灌漑調査のためフィリピンに向かう途中、乗っていた船が五島列島付近で米国潜水艦に撃沈され殉職した。そして外代樹夫人は終戦後の1945年9月1日、夫の後を追うように、夫が身命を賭けて築いた烏山頭ダムの取水口に投身自殺した。




 八田興一の生涯は、「パッテンライ!!」(「八田が来る!!」の台湾語読み)というタイトルのアニメ映画になっている。



 主題歌を歌うのは「もらい泣き 」で知られる一青窈(ひとと よう)。彼女は台湾人の父と日本人の母を持つ、台湾系日本人。この物語の歌を歌うに相応しく、またその歌声は素晴らしい(外代樹夫人の声を演じるのは、妹の一青妙)。製作は虫プロダクション北國新聞社。監督は「超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか」や「銀河英雄伝説」の石黒昇


 DVDのご購入、お問い合わせは北國新聞社のホームページで。北國新聞社は冒頭引用の記事にも出てくる。金沢出身の郷土の英雄、八田與一に対する尊敬の念があるのだろう。



 東日本大震災に於いて、日本人自身が殆ど知らない先人たちの恩に報いてくれた台湾に対し、私たち日本人は感謝の上、さらに何か恩返しを考えても良いのではないだろうか?

 「たかじんのそこまで言って委員会」で、台湾出身の金美齢さんが「(義援金に対して)台湾に感謝するのであれば、ぜひ台湾に旅行に行って下さい」と言っておられた。海外旅行する余裕のある日本人は台湾に行き、烏山頭ダム八田與一記念館を訪れてみてはどうだろうか? おそらくただ日本人と言うだけで、現地の人々に歓迎されると思う。他にも台湾の中華料理は世界で一番美味しいと評判だし、故宮博物院の展示品は一見の価値有りだ(蒋介石が敗走する際、大陸から分捕ってきた遺産だけど、大陸に残していたら文化大革命の嵐の中、現存していたかどうか分からなかったという意味で、価値がある)。

 もちろん親日の国と言えども、日本ほど治安のよい国は世界に無いのだから、犯罪などに巻き込まれないよう、海外という自覚を持って一定の警戒心を持たなければいけないだろう。だけどそれはどこの国であろうと同じだし、せっかくの海外旅行、日本にゆかりのある親日の国で過ごすのは、日本に好感を持たない国よりもずっと居心地良く楽しい旅程になるのもまた確実であろう。


 旅行する場合、国内なら東北、国外なら台湾を、ぜひ検討してみて欲しい。イケメンの独身男性なら、台湾で金さんに出会った場合、食事を奢ってくれると番組中で言っていたし(笑)。

 最高に楽しい親日の国、台湾をよく知る良い機会だと思う。そして、日本と台湾の過去と現在、未来の関係を知る機会にも。




 台湾で放映された八田の業績。こういう番組が放映されるぐらい、台湾は戦後も歴史が途切れなかった。だから今でも大多数の台湾人は親日なのだ。



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