【訃報】 声優の青野武さん死去

 ツイッター上で悲しいニュースを知りました。『ちびまる子ちゃん』のさくら友蔵役や『ドラゴンボール』のピッコロ大魔王(神様)役を演じたことで知られる声優の青野武さんが4月9日午後4時38分、解離性胸部大動脈瘤術後多発性脳梗塞のため死去されました。75歳、2年近くの闘病生活の果てでした。


          

青野武さん死去 ちびまる子ちゃんのおじいちゃん役声優

 青野武さん(あおの・たけし=声優、俳優)が9日、多発性脳梗塞(こうそく)で死去、75歳。葬儀は15日午前11時から東京都府中市浅間町1の3の府中の森市民聖苑で。喪主は妻真砂子(まさこ)さん。

 ちびまる子ちゃん」のおじいちゃん役や「ドラゴンボールZ」の神様役などのアニメ作品や、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」(ビデオ版)のクリストファー・ロイドなど洋画の吹き替えを担当した。また、舞台俳優で、劇団芸協を主宰した。

http://www.asahi.com/showbiz/tv_radio/TKY201204100393.html

 このブログを始めて、何人もの声優さんの訃報に接してきましたが、またこの人にしか出来ないという個性的な声・演技力の持ち主の方が亡くなりました。2年前の6月に病魔に倒れられたことを知り、ご回復と復帰を願っていたのですが、その思いは叶いませんでした。大変残念な悲しいニュースでした。


 青野さんの作品はたくさん観て来ましたが、中でも思い入れが深かったのは、『天地無用!』で主人公の祖父と父の2役を演じておられたことでした。声質は同じでも語り口が全然違っていて、見事な演じ分けが出来ていて感心した記憶があります。また『ワンピース』の最強の剣士であるジュラキュール・ミホークは、今でも青野さんの声で変換して観てしまいます。

 名悪役の重厚な声でありながら、それでいてどこかユーモラスで憎めない声でもあるその声質は、一度聞くと忘れられないものがありました。『ドラゴンボール』のピッコロ大魔王という無慈悲で恐ろしい役を演じるかと思えば、『ちびまる子ちゃん』のさくら友蔵というコミカルな役を演じるという芸幅の広さは、芸達者が多い声優界でも出色でしょう。作品的に知名度が高いというのもありますが、その2つがそのまま青野さんの代表作として語られるのも分かる気がします。


 アニメのみならず、ゲーム、そして実写作品にも数多く出演されている青野さん。その代表作だけでも多数あり、人によって抱くその思い出は変わってしまうほどの方でした。実写ではNHK教育テレビで見かけた記憶があります(番組名は失念)。また私はプレイしていないのですが、ゲームオリジナルでは何と言っても『メタルギアソリッド』シリーズのロイ・キャンベルが有名のようです(ゲーム感想ブログなのにこれほどの大作の未プレイは残念)。


青野武さんが逝去されました。青野さんにはMGSシリーズのキャンベル役を始め、MGS3グラーニン等ほとんどのMGS作品に出演して頂きました。2年前に体調を崩されてから、スタッフ一同、青野さんの復帰を祈っておりましたが叶いませんでした。ご冥福をお祈り致します。ありがとうございました。
https://twitter.com/#!/Kojima_Hideo/status/189652296550977536


 ゲームデザイナーとして『メタルギアソリッド』シリーズの製作を手掛けた小島秀夫氏の、青野さん訃報に接してのツイート。小島氏は青野さん以外のキャンベルは考えられないとして、以後の作品にも出さないという方針の様です。製作者にそこまでその声を愛されたことは勲章として、声優冥利に尽きるのではないでしょうか?






 個人的に最も印象深いのはマイナーどころなのですが、CDドラマ『聖エルザクルセイダーズ 番外編 LZAデビュー!?』で主人公サイドの敵役の森崎教頭役です。悪役なのに憎めないという前記した青野さんの芸風のまんまのキャラクターで、私的にはこの作品のイメージがあまりに強く、これを視聴して以降、森崎教頭=青野さんというイメージで見てしまっていました。実際アドリブだらけの収録だったらしく、最も青野さんの色が出ているような気がします。1989年発売の古い作品ですが、入手する機会がありましたら一度試して欲しいです。原作小説もすごく面白いです。



 今回の青野さん、そして『ゲゲゲの鬼太郎』の目玉おやじでおなじみの田の中勇さんなど、長く声優業を務められ、さらに余人をもって代え難い存在の方が居なくなってしまうという喪失感はとても大きなものです。私の産まれる前から声優業をされている訳ですから、私にとってそれらの声は、存在するのが当たり前だった訳です。

 『メタルギアソリッド』シリーズでのロイ・キャンベルは永遠の人となってしまったようですが、『ワンピース』などまだ終了していない作品の場合、他の声優さんが代役を務めることとなります。偉大な先人の築いたキャラクターのイメージを自分の色に変えなければならないという大変な作業を望むと望まざるとにかかわらず強いられますが、新しい声優さんには頑張って欲しいと思います。

 それによって青野さんの築いた功績を忘れる訳ではありませんが、その遺志を継いで頑張る後進の人たちの活躍を祈ることが、同時に青野さんのご供養にも繋がると思います。並々ならぬその存在感でその道のりを困難にした青野さんに、心からご冥福をお祈りします。



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