『イナズマイレブンGOギャラクシー』第11話「じぶん嫌い」の感想 【イジメはアカン!】

 恒例のアニメ感想文、今回は『イナズマイレブンGOギャラクシー』第11話「じぶん嫌い」を観ての感想を書く。イジメという卑劣な過去に悩む少女の心。自信を失ってしまった彼女の人間嫌いを克服する妙案はあるのだろうか?



 当ブログは、『イナズマイレブンGOギャラクシー』を視聴しての感想を、自分なりに面白いと思えるよう、コミカルにそしてシニカルに描く事をモットーにしています。その事に不快を感じる方はご覧にならないよう、お願いします。


  • 前回の感想は、

『イナズマイレブンGOギャラクシー』第10話「特訓!ブラックルーム!!」の感想 【「徹子の部屋」より恐ろしい「流星の部屋」】
 をご覧ください。

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 少年サッカー世界大会「フットボールフロンティアインターナショナル(通称FFIV2)」アジア予選を勝ち抜く【イナズマジャパン】は準決勝でタイ代表【マッハタイガー】との対戦が決まる。

 相手を得て気勢が上がるメンバーは監督の黒岩流星(CV:佐々木誠二)が用意した過酷なトレーニングにも積極的に臨み、その実力は上がっていく。


 中でもサウジアラビア代表との試合で開眼なった九坂隆二(CV:岡林史泰)は張り切りの度合いも高く、その日も早朝からひとり黙々と練習を重ね、マネージャーの空野葵(CV:北原沙弥香)から驚きと喜びをもって迎えられる。

 そこに同様にトレーニングウェアに身を包み、やって来るのは森村好葉(CV:悠木碧)だった。葵たちを見て明らかに動揺する好葉は、「散歩に行くの?」という葵の質問に言葉少なに肯定の意を示し、去って行ってしまう。



 悩みを押し隠したような表情でうつむく好葉。まるで人と接することを恐れているかのようだ。


 見送る葵と九坂は何か様子が変と感じ、互いに顔を見合わせる。九坂はボールを捌(さば)く足運びにまでその思いが表出したのか、好葉が登っていった階段の下段にサッカーボールをぶつけてしまう。



   オープニング



 レインボーブリッジを間近に臨むお台場の屋外サッカーグラウンドにてイナズマジャパンのメンバーは今日も汗を流す。まぁ良いんだけど、前回の話だとこれからの練習は黒岩の用意した【流星の部屋】ならぬ【ブラックルーム】を使うんじゃなかったっけ? 両立してるのかな?


 文化系出身でまだまだ基礎体力の付いていない真名部陣一郎(CV:野島裕史)と皆帆和人(CV:代永翼)が合同ランニングのペースについて行けず、顎を上げて青息吐息(あおいきといき)の状態だ。

 そんな2人を、前を走っていた鉄角真(CV:泰勇気)が叱咤激励(しったげきれい)する。選手のコンディションなど理屈を並べて抗議する真名部だが、もちろん取り合ってくれるはずもない。


皆帆「真名部くんの言ってることは正しいと思いますよ……この点だけはね(ケッ)」


 まだ前回の喧嘩を引きずっているのだろうか、皆帆のトゲのある言い回しに真名部はあからさまに不快感を見せる。先行した皆帆を意地になって抜かす真名部に、同じく意地になった皆帆が抜き返す。

 意地の張り合いで激しく競り合う両名はその勢いのままここまで後塵(こうじん)を排してきた状態から同僚たちを一気に抜き去ってしまう。



 同レベルのライバルというものほど自身の力を良い方向に引き出すものはない。この2人の場合、体力面のみならずオツムの出来も同レベルのようだけど(賢いけど決して聡(さと)いというわけではないという意味において)。


 そんなメンバーの様子を眺めつつ、キャプテンの松風天馬(CV:寺崎裕香)は満足げな表情を浮かべる。確実に仲間たちはやる気になって来ているのだ(真名部と皆帆は違うと思うが)。隣で見ている剣城京介(CV:大原崇)もその意見に同意する。

 だがその前向きなチームの状態が決して総意で成されているわけではないことを、神童拓人(CV:斎賀みつき)が指摘する。


神童「天馬、一人足りないぞ!」


 神童に促(うなが)されて、天馬はランニングするメンバーを確認する。走っているのは7名。それを見守る自分たちが3名。イレブンには確かに一人足りていない。


天馬「好葉がいない!」


 好葉が朝食の時から居なかったことを剣城が指摘する。それを聞き葵は早朝に散歩に出た好葉がそのまま戻って来なかったことに気付く。



 好葉の行方に心当たりがある皆帆と真名部。好葉が公園で野良猫と遊んでいるのを見かけたことがあると告げる。どうでもいいけどランニングが終わってへばるこの2人はなぜかエクストリーム土下座スタイル。


 だがいつもは真面目に練習に参加していた好葉が動物と遊ぶという理由で大事な練習をすっぽかすというのは解(げ)せない。瞬木隼人(CV:石川界人)がその件に関して違和感を唱える。

 観察力の優れる皆帆は好葉が思いつめていたように見えたことに言及する。「自分がこのチームに居て良いんだろうか?」という命題を前回の試合の途中まで思っていた九坂はやはりそんな好葉の気持ちが他人事とは思えない。


葵「わたし、探してくる!」


 心配になった葵は好葉のことは自分に任せて、天馬たちは準決勝に備えて練習するよう告げる。好葉のことを頼まれた葵は笑顔でそれを引き受ける。


神童「好葉にとってこのチームに留まることが良いことなのか……」


 新人に対しては厳しいことで鳴らす神童の審美眼では、好葉はどう映っているのだろう。井吹よりも辛口だったらひどいなぁ。



 皆帆と真名部が語っていた公園の一角、まさにそこに好葉は居た。朝食のパンを野良の子猫に与え、微笑む好葉。そこにもう2匹の子猫がやって来てご馳走の相伴(しょうばん)に預かる。猫たちが空腹を満たし喜ぶ姿を見て好葉もとても嬉しそうだ。

 そこに声を掛けるのは、彼女を探しにやって来た葵だった。みんな心配していたと優しい笑顔で語りかける葵だったが、なぜか好葉は怯(おび)えてしまう。そして好葉の心の怯えを察知したかのように子猫たちも警戒し、逃げ出してしまう。


好葉「……ごめんなさい」


 練習をサボってしまったことを咎(とが)められると思ったのだろうか、好葉は消え入りそうな声でそう謝罪する。彼女がもし逃げることを選べるなら子猫たちと一緒にその場を走り去っていたことだろう。葵は笑顔で怒ってはいないことを告げるが、好葉は悲しそうな表情で視線を落とす。



 葵と好葉は公園のベンチに腰掛ける。好葉はとても話しにくそうに指を交差させる。意を決して話そうとしても、葵と目が合うだけで彼女は顔を伏せ、話を切り出すことが出来ない。葵は一瞬悲しそうな顔になるが、好葉が話しやすそうな雰囲気を作ろうと笑顔で自ら切り出す。


葵「猫が好きなの?」


 うなづいた好葉に、葵はこれまでよりも強い調子で悩みがあるなら聞かせて欲しいと語りかける。頼れるマネージャーを演出したつもりの葵だったのだが、好葉の反応は予想外のものであった。


好葉「……聞いて、どうするんですか?」


 消え入りそうな声でやっとそう語った好葉の身体はブルブルと震えていた。さらに好葉は衝撃的なことを口走る。


「ウチのこと、笑いものにするつもりなんでしょ?」


 それは葵にとってはまったく想定外の言葉だった。驚く葵に、さすがに言い過ぎたと気付いた好葉はまたも申し訳なさそうに謝る。好葉の抱く悩みが想像を大きく超える、暗く深いものであることを認識した葵は絶句する。

 好葉は突如ベンチから立ち上がり、頭を下げて走り去る。葵はその小さく儚(はかな)げな後ろ姿に掛ける言葉を失ってしまう……。




 合宿所では、管理人の蒲田静音(CV:くじら)が選手たちの部屋を掃除して回っていた。そして彼女は好葉の部屋の机の上に置かれた手紙を見つける。それは好葉が宿舎を出るという置き手紙であった。



 その件は一大事として即座に天馬たちに伝えられる。蒲田から手紙を受け取った葵が読んだ文面……それは彼女がこのままイナズマジャパンでやって行く自信がないという、辛い内容であった。

 つまり宿舎を抜けた早朝にはすでに好葉はこの書き置きを残してチームを抜ける決心をしていたということになる。公園で話した時に連れてくれば良かったと葵は後悔する。葵のせいではないと瞬木と野咲さくら(CV:遠藤綾)がとりなす。


九坂「森村は悩んでるんだ……」


 会話に口を挟んだのは九坂だった。自分がチームのお荷物であると思い込む彼女の悩みは同じ心境に至った経験のある九坂だからこそ、なぞるように理解できた。



 このままでは好葉はチームを辞めてしまうことになってしまう。同じ釜の飯を食った仲間が悩みを抱いてチームを去ろうとしている……天馬や九坂を始め、誰もが沈鬱(ちんうつ)な表情を浮かべる中、ただひとり我関せずな態度を見せる神童。『空が青いなぁ』とか考えているのかもしれない。


 さくらは放っておいてあげた方が良いかもと持論を述べる。真名部も日本代表という座は好葉にとって重すぎるのではないかと語る。皆帆も「好葉には闘争心が感じられない」と、推理する時のクセなのだろうか、耳をピクピクと動かしながらそう語る。瞬木も無言のままではあるが、彼らの言葉に同意するように一つうなづく。


九坂「みんな何も分かってないんだな!」


 それらの言葉を大きな背中で聞いていた九坂は、呆れたような口調で彼らの意見に不同意であることを述べる。自身の観察力を否定された思いの皆帆が即座にその言葉の真意を問う。

 九坂は己自身が自分と向き合う勇気が無かったことをひと目で見抜いた好葉を心から敬意の念をもって称える。そして好葉も自分と同様に、本音ではサッカーをやりたいのではないかと言って立ち上がる。好葉は九坂に「自分と同じ」だからその気持ちが分かると言っていた。それなら九坂にも好葉の気持ちが理解できるのもまた当然の真理なのではないか?

 九坂は自分自身に向き合えない好葉の心を慮(おもんばか)ってその拳を握り締める。そこには『前回は自分が好葉に救われた。今度は自分が好葉を助ける番だ』という意思が漲(みなぎ)っていた。

 九坂のその意思に感化されたか、瞬木が好葉を探しに行くと立ち上がる。天馬もそれに続くことを宣言する。他のメンバーには練習するよう告げる天馬だが、それを鉄角が制して自らも捜索メンバーに名乗りを上げる。九坂はそれを見て、自分が心配されているかのように嬉しそうにうなづく。


 天馬、九坂、瞬木、鉄角、そして葵の5人が好葉捜索隊として駆け出す。そこにもう一人のマネージャーである水川みのり(CV:高垣彩陽)がやって来る。



「森村好葉は人を怖がっている。特に女の子を」


 今来たばかりなのに好葉が居なくなったこと、そしてそれを葵たちが探しに行くということをなぜか知っているみのりは忠告するかのようにそう告げる。女の子を怖がるということを聞かされ、葵はこれまで好葉が必要以上に自分の姿に怯えていたことを思い出す。みのりからマネージャーの心得をここぞとばかりに説教され、葵は自信を喪失してしまう。これまでこのチームに貢献したマネージャー貢献度で言えばみのりの方が1兆倍ぐらいマネージャーらしくないんだけどな。



 好葉はどこへ行ってしまったのか? 心の拠(よ)り所としていたと思われる公園からも逃げ出した彼女を探すのは手がかりが無いために難航する。天馬たちは合宿所付近をくまなく捜索するのだが、彼女の姿はようとして発見できない。ちっこいからね。



 捜索メンバーに加わらず合宿所に居残ったメンバーたちはその頃何をしていたのか?

 さくらは自室でサッカーボールを新体操のボールに見立てて背中を通して転がすという彼女独特の調整法を取っていた。その所作はいつもの彼女のスタイルだが、その顔は憂(うれ)いに満ちていた。


「みんな、放っておいてあげれば良いのに……」

 さくら自身も心に深い闇を持っている。それだけに好葉の気持ちも彼女なりに察しているのであろう。自身が落ち込んだ時は構われずに放っておいて欲しかったという経験が彼女をそう言わしめている。好葉を突き放したように見えたさくらの態度だったが、それは彼女なりに好葉を心配しているポーズだったのだろう。


 その揺れる心理状態を描写するかのように、さくらの手からボールが音もなく落ちる。



 そのボールに被(かぶ)さるようにして場面が変わる。ミーティングルームで次の対戦相手であるマッハタイガーの試合ビデオを見るのは真名部だった。真剣な表情で手元のタブレット端末を操作してデータを入力する真名部は何かを確信するかのようにつぶやく。


「やはりそうか……」

 
 スクリーンに何らかのグラフが映し出される中、皆帆がその場に入ってくる。好葉を探しに行かないのかという皆帆の言葉を、真名部は自身の説得は好葉には通じないという理由で退ける。

 そして皆帆も同じ考えであることを看破する真名部。皆帆は好葉が自分の殻に閉じこもっているという表現で、言外に真名部の指摘を肯定する。やはりこの2人は似た者同士であり、互いの考えていることを理解するのにも造作無い様子だ。



 真名部は好葉の話を打ち切り、画面に出ているデータの解説を始める。何か面白いことが分かったらしい。仮説の段階だと断りを入れつつ、真名部は論証となる映像を提示する。



 場面はグラウンド。剣城と神童はパス交換の練習をしていた。剣城は好葉に関しての神童の見解を尋ねる。神童は自身の見解ではなく、黒岩が彼女を選手として選んだことを挙げ、そこにそうするだけの理由があるはずだと述べる。つまり神童は黒岩の監督としての手腕を認め、好葉にもまだ知らない素質が隠されていると考えているということになる。


神童「だがそれが何なのか、俺には分からない」


 神童は選手個々の能力を引き出すという己の能力に限界を感じていた。しかし天馬になら……それが可能であると言いたげな神童の態度に、剣城も同意の意味を込めて笑う。瞬木を、さくらを、鉄角を、九坂を、ここまで覚醒したルーキーたちの能力を引き出したのは、天馬であるからだ(井吹宗正(CV:鈴木達央)だけは神童が引き出した気もするが……)。天馬なら何とかすると、彼の口癖のケセラセラを引用しつつ、剣城は保持するボールを豪快にシュートする。



 好葉捜索隊の苦心は続く。海岸で九坂と再会した天馬は好葉を見つけたかどうかを尋ねるが、九坂は力なく首を横に振る。

 葵は好葉が行きそうなところを思いつかないかと天馬に問う。そう言われて天馬はチームメイトであるはずの好葉のことを何も知らなかったことを思い知る。それは天馬に尋ねた葵も同様であった。もっと話しかければ良かったと葵は責任を感じてしまう。



「わたし、マネージャー失格かも……」


 先ほどみのりにマネージャーとしての心のありようを責められたことも合わせ、葵はすっかりしょげかえってしまう。いつも元気が取り柄の彼女らしくない態度に天馬もキャプテン失格だと自身を責める。その場をとりなすのは九坂だった。努めて笑みを浮かべる彼は好葉の行きそうなところを思い出そうと、最初の葵の提案に戻るよう促す。

 そこに通りがかった少女(CV:ゆりん)が九坂の足にぶつかってしまう。彼女のカバンから人参がこぼれ落ちる。



 九坂は優しく少女を気遣い、落ちた人参を拾ってあげる。その持ち物から見ておつかいだと思った葵は家事を手伝う少女を褒める。だが少女はそうではなく、これはロバにあげる餌(えさ)だと語る。

 少女が言うには、この先にロバやウサギが居る動物園があるらしい。そこに向かうのだと言って少女は駆けていく。それを見送る天馬たちにピンと来るものがあった。好葉は動物が好きという皆帆が語った言葉が思い出される。ならば好葉がそこに居る可能性も十分に考えられた。



 ちびっこ動物園にはその名の通り、子供たちがたくさん詰めかけていた。



 動物を見て触れて遊んでという体験型の動物園らしく、ロバにまたがる子供もいる。さっき九坂とぶつかった少女もとても楽しそうにロバに人参を与えている。


 その一角のウサギふれあいコーナーに、餌をほおばるウサギを嬉しそうに見ている好葉が居た。彼女はまるで十年来の知己(ちき)に話しかけるかのような表情で、ウサギに語りかける。


好葉「サッカー辞めても、必ず会いに来るからね……」


 合宿所の近くの動物園に、今後も足繁(あししげ)く通うことを告げる好葉の表情はどこか寂しげに曇る。やはりサッカーに対する未練が彼女には残っているのではないだろうか?



 遅れてやって来た天馬たちはその場で好葉の後ろ姿を認める。だけどこの場面、中学1年生の好葉ちゃんが完全に他のちびっこたち(推定小学生低学年)と同化してて違和感ないやんね。


 心配していた好葉を見つけ、ホッと胸をなでおろす一同。そちらへと向かう天馬と九坂だったが、可愛いウサギたちの集うファンシーな雰囲気に男2人で乗り込むのは場違いで気が引ける(特に九坂)。ここは同性の葵に好葉の説得を任せた方が良いのではないかと天馬は考える。

 だが葵はみのりから聞かされた『好葉は女の子が怖い』という言葉に囚われ、その役割を拒(こば)む。好葉がなぜ女の子を恐れるのか分からないが、もしかしたら何か嫌な思い出があるのかもしれない。葵からそういう事情を聞かされて改めて見る好葉の後ろ姿は、何だかとても物悲しく見えた。



 魔の手(笑)が迫ることも知らずにウサギを抱く好葉ちゃん。ウサギも可愛いけど、それを抱く好葉ちゃんが可愛すぎる。


天馬「ホントに動物が好きなんだね」


 葵では逆効果になる可能性を鑑み、天馬がそう声を掛ける。努めて優しい口調だったが、置き手紙を残して来た立場の好葉にとってはこの場所が突き止められたことと合わせて驚愕すべき事態であった。

 至福の時が終わったかのように顔を曇らせる好葉に、天馬は笑顔で自分も動物が好きだと語る。飼い犬のサスケ(CV:佐藤健輔)の話題を出して懸命に好葉の警戒を解こうと努力する天馬。葵と九坂は離れたベンチから2人の様子を窺う。


 動物が可愛いから好きだと告げる天馬に、好葉は自分は違うと言う。動物は自分に対して悪口を言わない、変な目で見ないという存在だからこそ好きなのであって、可愛いとか可愛くないとかは関係ないと言うのだ。



 自身が傷つけられることのない相手だからこそ動物にだけは心を許せるという好葉。それは言い換えれば人間にはそれとは逆の態度を取られて来たことを暗示する。


 天馬は好葉の悩みを話して欲しいと告げる。キャプテンとして力になると言われ、好葉は訥々(とつとつ)と事情を語り始める。

 彼女はこれまで激しいイジメに遭ってきたという。「見てるとイラつく」と言われ、彼女自身も心を閉ざして誰とも話さないようにしていた。だがそれが更なるイジメを誘発したという。



好葉「キャプテンもウチを見てると、そうですか?」


 あまりに悲しい言葉が好葉から聞かされる。天馬はムキになってそれを否定する。しかし好葉は長年の周囲からの態度で、自らの顔はみんなをイラつかせてしまうものなのだと思い込んでいた。イジメを受けた側がそのすべての責任を感じてしまうという理不尽さに天馬の胸は激しく痛む。


天馬「俺も、チームの中の誰も、好葉を見てそんなことを思う奴なんて一人も居ない!」


 勇気づけるためのその言葉も、存在していること自体に自信を失っている好葉には届かない。今は嫌いでなくとも、そのうちきっと自分を嫌いになるはずだと好葉は泣き出しそうな顔で語る。好葉は黒岩が自分をイナズマジャパンに選出した理由も分からないと言う。


 そんな好葉の態度に業を煮やしたのは九坂だった。やおら立ち上がり、葵の静止も聞かずに好葉の元に歩み寄る。


九坂「グダグダ言ってないで俺たちを信じろよ!! 誰もアンタを嫌ってないし、アンタは立派なイナズマジャパンのメンバーだ!」


 そう言われて好葉はハッとなって九坂を見つめる。だが手元からウサギが逃げ出し、自身も寄る辺(べ)なき立場になってしまったことを憂えるかのように視線を逸(そ)らしてしまう。

 九坂は構わずに続ける。ただ口調がキツくなっていることを自省し、声のトーンを落として優しく語りかける。サウジアラビア戦で九坂が怖がっているということに言及した好葉の言葉を受け、それは今の好葉だって同じだと諭す。

 だからこそ九坂の気持ちも分かったのだと好葉は返す。恐れるものを持つ者同士、その心境が手に取るように分かったのだと。九坂はだったら向き合えと告げる。自身が向き合い、新しい自分を見出したように好葉にもその努力を求めたのだ。

 自信を持てない好葉は自分には無理だと言うが、九坂は無理ではないと語気荒く言う。トーンを落としたはずなのに、好葉を思う気持ちが前に出過ぎてまた口調がキツくなっている。だが今度はそれに気付かないまま九坂は畳み掛ける。



「森村のおかげで俺、何にも怖くなくなったんだぜ!!」


 だが好葉は頑(かたく)なに自分と向き合うことを避ける。どうしても聞き入れてくれない好葉に対し、九坂はついつい苛立(いらだ)ってしまっていることを口に出してしまう。

 だがそれこそが好葉の悩みなのだった。他人をイラつかせてしまうこと、それが好葉を頑なにしているということを九坂は天馬に咎められてようやく気付く。

 やはりそうなのだ……自分が存在するだけでイラつくと言われてしまう……好葉は悲しげにうつむき、長年苦しめられてきたのと同じ憂いに沈む。そしてその場をも走り去って行ってしまう。誰にも合わせる顔など無いのだと言わんが如く……。



 好葉が恐れる女の子というハンデはあるが、唯一その会話に加わっていなかった葵が好葉の後を追う。天馬もそれに続くが好葉の心を踏みにじってしまった元凶の九坂はすぐに後を追うことが出来なかった。ただひとり、その場違いな場所に取り残され、頭を押さえてやらかしてしまった舌禍(ぜっか)を反省する。



 ミーティングルームでは真名部と皆帆がマッハタイガーのビデオを分析していた。真名部はタブレットを駆使してマッハタイガーのエースストライカー、11番のタムガン・ジャーの大会が始まった頃のプレーを見せ、その後に大会前の似たようなシーンの映像を見せる。

 そして大会前のデータと大会が始まってからのデータを分かりやすく並べ、重ね合わせる。そこには誰が見ても一目瞭然の明らかな違いがあった。スピード、パス成功率、シュート力、すべての要素で大会前を大きく上回っているのだ。



皆帆「まるで別人みたいだ……」


 しかもタムガンに限らず、他の選手のデータを見ても同じなのだ。人間なのだから成長することはあっても不思議ではないが、ここまでの成長は通常あり得ない。しかも全員揃ってなど無いと断言しても良いだろう。

 ほぼあり得ないことが現実に起きているという事態に皆帆は驚愕するが、実はそれだけではなかった。他のチームに関しても同様の現象が起きていると真名部の分析が物語っていた。

 これまでに戦ったオーストラリア代表、韓国代表の選手たちも大幅に強化されていた。まさに神のアクア状態。この事実を受け、皆帆の推理力が脳内でアラートを鳴らす。彼らはとんでもない事態に巻き込まれている可能性が、極めて高いということを自覚する。



 そしてその2人をドアの外からジッと見つめる視線が……。それはみのりの冷徹な視線だった。このシーン、ゾッとするほど怖い。ホラーだ。



 天馬たちの元から逃げ出した好葉は、あてどもなく街をさまよっていた。歩道橋の上からその姿を見つけた天馬と葵、九坂の3人はその場から好葉の名を叫ぶ。

 しかしショックを受けている好葉にはその声が聞こえない。もしかしたら聞こえているけれどもう人間とは関わりたくないと思っているのかもしれない。

 その証拠に、その直後に聞こえた子猫の鳴き声にはすかさず反応したからだ。道路の向こう側から好葉を呼ぶかのように鳴く子猫。

 子猫は好葉の元に来るため車道を渡ろうとする。車道は車がひっきりなしに通過する交通量の多い道路で非常に危険な事態が予測された。

 来ちゃダメだと好葉は叫ぶが、猫にその言葉が理解できようはずも無い。ついに車道に歩を進めた子猫に大型のトラックが迫る! トラックはクラクションを鳴らしつつ速度をゆるめるもののブレーキが間に合う状態ではない。このままでは子猫は轢(ひ)かれてしまう! 猫を助けたい一心の好葉は自らの危険も顧(かえり)みず、車道に飛び出す!!




天馬「危ない!!」
九坂「やめろ!!」
葵「好葉ちゃん!!」

!!??


 何と、好葉は子猫を抱えた瞬間、ものすごいダッシュでトラックをかわしてみせた!! 一瞬の出来事に固唾(かたず)を飲んで見ていた天馬たちにも何が起こったか分からない。実は好葉自身にも何が起こったのか分からないのであった。道路の向こう側、抱きかかえた子猫から人懐っこい鳴き声を掛けられ、ようやく我に返った好葉。おそらく子猫を助けたい一心でその潜在能力の一端を発動させたのではないだろうか?

 危ない橋を渡ってきたことの自覚を見せずに無邪気に鳴く子猫に説教する好葉。その元に駆けつけた天馬たちは好葉の見せたすごい動きに目を見張る。まだ状況が飲み込めない好葉に対し、葵はこれまで好葉の辛い気持ちに気付いてあげられなかった自身の不明を詫びる。



葵「わたし、約束するから! 絶対に好葉ちゃんを裏切らないって!」


 まだ警戒心の残るであろう好葉に対し、葵は今すぐに信じてもらわなくとも良いと笑顔を見せ、もう一度みんなとサッカーしてみないかと好葉の心に呼びかける。

 天馬も同調して、マッハタイガーとの準決勝を思いっきり戦おうと語りかける。このまま辞めてしまえば、好葉はおそらく二度とサッカーをすることは無いだろう。天馬は好葉がサッカーが好きになってくれることを望んでいた。

 そして九坂からも好葉に対して、「頼む」という形でチームに残留することを望まれる。子猫を救った好葉の動きに感心し、その能力を世界の強豪相手に駆使して欲しい旨(むね)を告げる。

 3人がそれぞれ好葉と顔を合わせるたびに大きくうなづく。それは言葉ではなく、態度で好葉はこのチームに居ても良い……いやこのチームに居て欲しいと告げるものであった。



 そしてその日の夕刻、グラウンドで実戦形式の練習をするイナズマジャパンのメンバーの中に、小柄な少女の姿があった。そう、好葉がチームに復帰したのだ! 



 瞬木のスピードについて行けなくて遅れていく好葉だったが、そんな彼女を九坂は心から嬉しそうに見つめる。ベンチではみのりが葵に対して上手く説得したと感心する。だが葵は笑ってその言葉を否定する。説得などしてはいない、好葉は自身の意思でここに戻ってきたのだ。


 九坂から好葉にパスが送られる。好葉はあの時子猫を助けたダッシュ力がウソであるかのように拙(つたな)いプレーをしてパスを受け損なってしまう。真名部や皆帆、さくらたちは上達しない好葉を厄介な奴が帰ってきたと言わんばかりに見つめるが、その視線はどこか温かい。

 倒れてしまった好葉に、天馬が手を差し伸べる。遠慮がちにその手を取って立ち上がる好葉。もう一度と檄を飛ばす天馬に、仲間たちが口々に軽口を叩いて混ぜっ返す。その雰囲気、天馬をはじめとする仲間の存在を実感した好葉はほんの少しだけ心を開いたように見えた。



 天馬や葵もこの状況に満足げにうなづく。今日という日は大変な一日であったが、好葉を加えたこの11人こそがイナズマジャパンであり、大事な仲間であるとの気持ちを一層強くした一日であったに違いない。



 そして合宿所にある監督室。暗がりに住む眷属(けんぞく)のような存在の謎の男、ポトムリ(CV:三木眞一郎)が、この大会の不可解さに気付きはじめたメンバーが居るということを黒岩に告げる。

 黒岩は黙して語らずだったが、深い傷痕が刻まれたその横顔は何かを決意したかのような意思を垣間見せていた……。




 果たして黒岩は何を思うのか? この大会の本当の目的とは? 真名部が解析した他チームの成長の秘密とは? そしてチームに帰ってきた好葉は活躍することが出来るのか?



 新たな謎のスタックを積み上げて、物語は次回へと続く。



  エンディング




 今回は好葉の悲しく辛い過去の秘密が明かされる回だった。イジメという問題の深刻さが描かれ、ヘビーな展開だったけど好葉ちゃんには是非とも幸せになって欲しい。今回の好葉ちゃんを見て一層イジメが許せなくなったわ。

 今回の好葉のようにイジメはされる方も問題があって恥ずかしいと思っている人も居ると思うけど、そんなことはないからね。100%イジメる側が悪いし、誰にでもイジメという卑劣な悪行がその身を襲うことはあり得る。イジメられる側に責任を押し付けるのは二重の意味で卑怯な行為だ。

 もしイジメられている人がいたら、信頼できる人に相談しよう。きっと心から心配してくれる人が傍にいるはずだから。何度でも言うけどイジメられることは恥ずかしいことでは無いからね。


 あとまったく別に今回あった怖いシーン。真名部と皆帆がこの大会の異変に気付いたシーンで、後ろから覗いてたみのりの図。あれはホラーアニメのようなシーンだった。その後、黒岩に報告していたポトムリの言い方からしてみのり=ポトムリという説がネタではなく俄然真実味を増して来た印象を受ける。あいつら同一人物だろ。どっちが本当の姿でどうやって化けてるのか分からんけど。

 余談で敵チームが異様に成長してるということを言っていたけど、それお前らが言うなと思ったのは私だけ? 素人集団のクセにお前らが一番異常な成長してるじゃんと言わざるを得ない。



 次回はマッハタイガー戦。九坂が怒髪天モードで何かを告白するという展開らしい。好葉に告(こく)るのかな? でも九坂にはサトちゃんという人がいるはずだよねぇ? ただ好葉が人を信じられるようになるには相当なショック療法が必要な気もする。九坂が彼女の心の支えになってあげられるのなら、是非とも成就(じょうじゅ)して欲しい関係ではある。好葉には幸せになって欲しいからね。



  次回「フィールドの告白」に続く。



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