『ペルソナ4』第7話「Suspicious Tropical Paradise(あ・や・し・い 熱帯天国)」の感想
恒例のテレビアニメ『ペルソナ4』を観ての感想文、今回は第7話「Suspicious Tropical Paradise(あ・や・し・い 熱帯天国)」の感想を書きたい。第5話が日常パートでのギャグ回だとすれば、今回は戦闘パートのギャグ回だった。原作ゲームでも面白い展開だったところだけど、観る人によってはドン引きしそうな怪しさに満ちた内容でもある。とにかく今回は一番きっついキャラですから。
今後のストーリーの根幹に関わる大きなネタバレは避けていますが、少しのネタバレも観たくない方は、閲覧にご注意下さい。
- 前回の
『ペルソナ4』第6話「I'll beat you, and beat you good(絞めんぞ!キュッと絞めんぞ!!)」の感想
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主(あるじ)、イゴール(CV:田の中勇)のいつもの挨拶で迎えられるベルベットルーム。前回、天城雪子(あまぎ ゆきこ CV:小清水亜美)との間に絆を結んだ主人公・鳴上悠(なるかみ ゆう CV:浪川大輔)は、新たに女教皇のペルソナ能力を得た。何らかの因果で悠に迫りくる災難はすでに複数の人命を奪った猟奇の様相を呈し、いずれは悠のもとにまで降りかかる脅威となりつつある。
だがそれに抗う力を悠はもう持っていると言うイゴール。「本当に必要とする時、扉は開かれる」と謎めいた言葉で悠を勇気づけるイゴールの助手・マーガレット(CV:大原さやか)。
オープニング
前回マヨナカテレビで確認した衝撃的な映像。それを観たクラスメイトであり連続殺人事件特別捜査隊の同志である花村陽介(はなむら ようすけ CV:森久保祥太郎)から、早速連絡が入る。
悠 「録画したけど……」
陽介「いらねーよ!!」
マヨナカテレビに映し出された人物は、次の雨の日までに救出しないと命を落とす。予告的映像で一度映し出され、次の被害者の可能性を考慮した不良学生・巽完二(たつみ かんじ CV:関智一)が、まさかの姿でマヨナカテレビに現れたのだ。
可能性を考慮しつつも前回あれだけの暴れっぷりを見せつけた完二の姿を見て、実際に被害に遭うことは無いだろうと陽介は高をくくっていたが、やはりマヨナカテレビの呪縛からは逃れられなかったらしい。テレビの中に入る能力を持つ連続殺人事件特別捜査隊の一行は、完二救出のために出動する。
自らの意思で初めてテレビの中を訪れた雪子は新鮮な反応。テレビの中の世界で起こったことはテレビの中の住人に聞けということで、テレビの中の不思議な生物・クマ(CV:山口勝平)に完二の所在を問う陽介。犬並みの嗅覚を持つクマだったが、完二の居場所を突き止めることが出来ない。
完二のガチムチ映像を観て腰が引けている陽介は、今回の救出は無かったことにしようと提案するが、もちろんそれは里中千枝(さとなか ちえ CV:堀江由衣)に却下される。心中、陽介に賛成の悠が残念そう。
クマが言うには、完二の匂いが付いた何かがあれば、居場所を突き止めることが可能らしい。仕方が無いので、一行は一度現実世界に戻り、完二の手掛かりを求めて実家、染物店の巽屋に向かう。
完二の母(CV:逢川亮子)のもとを訪れる一行。やはり完二は昨日から行方不明となっているらしい。暴走族を壊滅させた件に話が及ぶ。その理由がバイクの騒音で眠れなかった母を気遣っての行為だったと聞き、完二が根っからの乱暴者では無いことを一行は知る。
巽屋の外で少年が立っていることに悠が気付く。事情を聞いてみると、以前悠の前で完二が落としたウサギのストラップ人形を手に少年は話し始める。彼が言うには、この人形は友人から借りた人形を無くして困っていた少年のために、完二が手作りしたものだった。優しい一面を垣間見ただけでなく、可愛い人形の編みぐるみを手作りできるという、外見に似合わない意外な面も知ることとなる。
その人形なら完二の匂いが付いているということに気付いた雪子は、少年から人形を借りることにする。
そんな巽屋前の一行の姿を偶然通りがかった刑事・足立透(CV:真殿光昭)が見ていた。雪子が行方不明になった件から悠たちを事件に関連する重要参考人だと見なしていた足立。さらに行方不明となり捜索願が出ている完二の家の前にたむろする悠たちを見て、この件を悠の叔父であり、上司である堂島遼太郎(どうじま りょうたろう CV:石塚運昇)に報告することにする。
足立。抱えているのはジュネス特売のキャベツ。好物もキャベツ。いま食べているのは商店街の惣菜店「惣菜大学」のコロッケ。
足立に目撃されたことなど知りようも無い一行は、手掛かりの人形を手に再びテレビの中に向かうため、ジュネスを訪れる。そこで彼らは、昨日完二と接触していた帽子の少年(CV:朴璐美)と再会する。少年に「変な人」と言われた完二はかなり狼狽していたらしい。少年はその完二の態度に、何かコンプレックスがあることを見て取ったと語る。
少年と別れ、テレビの中へ。
クマに人形を渡し、探ってもらう。クマの鼻センサーは完二の居場所を突き止めることに成功する。クマの案内で向かった先は、どう見てもいわゆる「ハッテン場」と称される特殊浴場であった。
中からは、発展中の男と男の声が漏れだして来る。当然の如く、行きたくないと主張し始める陽介たち男子陣。女性陣はピンと来ない感じで、完二救出のために前進を主張する。嫌がる陽介を引きずって前進を開始する千枝。そっとしておきたい悠。だが……
雪子「鳴上くんも行こう!」
悠 「ですよね(なぜか敬語で即答)」
明らかに霧とは違う湯気が漂うロッカー室を進む一行。陽介は未だに引き返すことを主張する。同調する悠に、それを一喝する千枝。この辺の悠は完全にボケ役で面白くて仕方が無い。
母親思いだったり、困っていた少年を助けたりと、思っていたよりイイ奴だった完二を助けるためと、なけなしの気力を振り絞る陽介だったが、そんな一行の前に現れたのがこれでは……。
シャドウ完二というこれまでで最凶最悪の敵の登場に、ペルソナで瞬殺しようとする陽介と悠。一旦は止め役に回る千枝だったが、シャドウ完二の余りにウザい口調とポージングに、次の瞬間、彼女のペルソナも発動する。
そんな悠たちの怒りを余所に、シャドウ完二はマイペースに自らの欲望を暴走させる。悠たちを放ったらかしにして、さらにこの異常なダンジョンの奥地へと「突入!」して行くシャドウ完二。
後を追おうとする一行の前に醜悪な警察官型の雑魚シャドウ「収賄のファズ」が立ちはだかるが、シャドウ完二のノリが自分の時と似ていると千枝に言われてキレた雪子のペルソナ「コノハナサクヤ」にあっさりと燃やされる。勢い余って陽介まで燃やすほどに怒りゲージの上がる雪子。千枝のペルソナ「トモエ」の氷結魔法、悠のペルソナ「イザナギ」の物理攻撃で瞬殺される雑魚シャドウたち。この辺まで来ると、もはや全員がボケでツッコミ役が不在の状況(敢えて言えば、比較的冷静な千枝がツッコミ役か)。
その頃、テレビの中に入れられた本物の完二はダンジョン奥の大浴場にいた。訳も分からないままに、訳の分からない状況に置かれたことに苛立つ完二。そんな中、周囲から自分に対する悪口雑言が響いて来る。
怒り狂う完二の前に、男らしい態度は飽くまでも完二の虚勢であって、偽りの姿であると看破するフンドシ一丁の男が現れる。自分と同じ顔をしたその男、シャドウ完二を見て完二は驚愕する。
ここでCMアイキャッチ。男として、これほどまでに勇気を要する救出劇があったであろうか? ……という訳で、勇気が1ランクアップして「怖いものなし」となっている。まぁそれでもこの後、いろいろなものを恐れるんだけどな。
悠たち一行は、まさにシャドウ完二と本物の完二が対面している大浴場前までやって来ていた。だがその扉の異様な雰囲気に、開ける勇気が出せないでいた(本当に5秒ほど沈黙状態で固まる)。悠のステータスが「怖いものなし」になっていても、やはり逡巡なしに突入するのは無理らしい。
どんな光景が自分たちを待ちうけているのかは想像に難くは無かった。そっとしておきたい悠。だが進まない訳にもいかない。千枝に促され、仕方なく(精神的に)重い扉を押し開く男性陣。
扉の向こうには、果たしてシャドウ完二を組み伏せる完二がそこにいた。想像通りの光景だったことに気力を失う一行。
悠 「(お前を)……助けに来た」(やる気の無いトーンで)
完二「なんだそのやる気の無いトーンは!?」
完二を突き飛ばしたシャドウ完二がポーズを取ると、湯船から何やら液体が溢れだして来た。歩を進めようとした千枝が盛大に滑る。液体はローションのようだ。そして千枝を助けようとした雪子も倒れ、2人ともローション塗れとなってしまう。
まさかのウェット&メッシー(未成年者はググってはいけません)展開。美女2人のローションプレイに録画機器を持っていないか確認する陽介に、持っていないことを心から悔やむ悠。だが、そんなことをやっている場合では無い!
完二に対し、自分が完二のやりたいことの体現者、完二の意識の一部だと告げるシャドウ完二。裁縫したり、絵を描いたりといった完二の趣味を男らしくないと断罪する女性が怖いと言うシャドウ完二。女嫌い→男好きの図式を自らに当てはめ、カミングアウトするシャドウを受け入れることなど、完二には出来なかった。悠たちの忠告も聞かず、シャドウの存在を否定してしまう。
「お前なんかが、俺なものかよ!」
これまでの通り、見たくない自分、認めたくない自分を受け入れなかった場合、「本体が認めないなら自分が本体を殺してそれになり変わる」というシャドウの意思に力を与えてしまう。
本物の完二を攻撃し、邪魔者は消えてもらうと宣言する完二の影。ガチムチ感がさらに増したその姿を見て、これが完二の本音なのかと絶句する雪子。これは本音では無く、精神が暴走してしまっているだけだとフォローする陽介。
一斉にペルソナを発動させ挑みかかるが、影に付き従っている2人のマッスル「ナイスガイ」と「タフガイ」がその前に立ち塞がる。物理攻撃が全く効かないタフガイに驚愕する千枝。同じく火炎攻撃に耐性を持つナイスガイに手を焼く雪子。
イザナギも抱きつかれてヤバい状況になる。ペルソナは自分の一部であるからして、こんな形で穢される訳にはいかない悠は、慌ててペルソナチェンジで逃れる。だが新しく呼び出したペルソナ「ラクシャーサ」も陽介の「ジライヤ」ごと逞しい剛腕に捕まってしまう。
その隙に悠と陽介の背後に回るもう一人。敏感な部分を微妙なタッチで攻撃され、2人は心が折れてしまい、精神的に立ち直れなくなってしまう。淡々と描写しているが、この辺はキモいよ……笑えるけど。
男子陣がやられ、頼れるのは女子陣。だがマッスルガイの挑発を受け、怒りまくって攻撃する千枝と雪子。この部屋に入る前の「頭に血を登らせないように」との誓いなど怒りの前に吹き飛んでしまったようだ。
電撃魔法で全員を攻撃する完二の影。電撃属性が弱点の陽介には効きそう。倒れたままの完二を見つけ、亡きものにしようと攻撃する影。
寸でのところで完二を庇ったのは、悠(イザナギ)だった。電撃の直撃を受け、膝をついた悠はウサギの人形を落とす。
全員に止めを刺そうとする完二の影に対し、悠はひざまづいたまま。危険な状態になったその時、悠の心の深奥で扉が開く。「本当に必要とする時、扉は開かれる」というマーガレットの予言通り、ベルベットルームに導かれた悠は、そこでワイルドの能力の真の意味を見出す。悠の持つペルソナ同士が合体し、新たなペルソナが誕生するという「ペルソナ合体」の極意だ。
女教皇と魔術師のカードによるペルソナ合体で、月のペルソナ「ヤマタノオロチ」が誕生した。電撃無効の能力を持ち、電撃攻撃が主体の完二の影相手には最適のペルソナだ。
ヤマタノオロチは電撃をものともせず、氷結魔法で完二の影を攻撃する。
一方完二は、悠がさっき落としたウサギの人形を見つける。そんな女々しい趣味を嘲笑われると思っていた完二だったが、悠はそんな完二を「可愛いよ」と褒める。思わず顔を赤らめる完二。
その精神攻撃は、完二の影の方にも効果があった。可愛いと言われ、喜びながらも動揺する完二の影。人形を握りしめ、自らの影と完二は決然と向き合う。
「俺は、可愛いもんが好きなんだよぉっ!!」
生身の完二のパンチにより、崩壊する完二の影。そして完二は悠に向き直り、自分を気持ち悪がらずに受け入れてくれたことに感謝する。そしてまだ消えずに残っていたシャドウを一喝する。拒絶されることが怖く、自ら嫌われることを演じていた弱い自分の心と向き合い、そしてその弱い心を受け入れることを決める。
「テメエは俺で、俺はテメエだよ……」
その言葉を聞いたシャドウ完二は満足げにうなづいて、その真の姿を現す。
完二がその心と向き合うことによって手に入れた新たな力、ペルソナ「タケミカヅチ」。アルカナは皇帝(エンペラー)。モデルは雪子の「コノハナサクヤ」と同じく古事記や日本書紀に登場する武神・建御雷神。雷神とあるだけに、得意技は電撃魔法。そして荒ぶる神らしく、物理攻撃が得意(喧嘩上等の完二のペルソナだし)。苦手相性は疾風属性。苦手と得意が陽介のジライヤとテレコになっている。
新しい力を得た直後、完二は気を失いかけ、膝をついてしまう。雪子や千枝の時にもあったように、テレビの中での過酷な体験は心身に深刻な影響を与えるらしい。完二ほどの偉丈夫ですら、倒れてしまいそうになるほどに。
完二を救出する冒険は成功に終わった。
日時は一気に飛び、翌月の6日。すっかり元気になった完二は学校の屋上で4人の先輩と再会していた。乱暴者だったのに敬語を使う完二に違和感ありの千枝だったが、こういった硬派な男は、上下関係に厳しいものなのだろう。学年が上の悠たちには敬語で接する。以前はきゅっと絞めるために追いかけ回したと言うのに……。
自分をテレビの中に押し込め、命を奪おうとした犯人に怒り心頭の完二。犯人を追う悠たち連続殺人事件特別捜査隊の一員に加わることを希望する。悠たちにとっても、大きな戦力増となるこの申し入れに歓迎の意を表する。
完二は喜び、命の恩人である悠たちのために頑張ることを誓う。
エンディング
エピローグ。夕食時、足立から報告を受けていた堂島が悠を詰問する。甥っ子が妙なことに首を突っ込んでいるのではないかと疑う堂島に対し、悠もテレビの中の世界など本当のことを言っても理解してもらえないであろうことは自覚している。気まずい沈黙が訪れる。その空気を察し、菜々子(ななこ CV:神田朱未)が喧嘩なのかと心配する。慌てて取り繕う堂島だったが、悠は自分たちが叔父、警察から不審の目で見られていることを自覚する。
2日前の雨の日に舞台は移る。雨の路上に映る何者かの影。一体何を示唆しているのだろうか? 新たな事件の勃発を思わせる。
次回に続く。
今回はかなりギャグ描写が多い内容だった。原作ゲームだと今回のダンジョン名は「熱気立つ大浴場」という名前で、まさにハッテン場的なサウナまんまなんだけど、こういったコミカルな展開もありというのがペルソナなので、今回の演出は良かったと思う。ちょっと引きつつも面白かったしね。腐女子の方もこういった世界観には興味無いでしょうねぇ、きっと。
完二が仲間に加わって、彼のコミュである皇帝のタロットカードも無事入手に成功したようだ。ゲームだと、完二コミュ発生には仲間になった後にもう一工夫が必要なんだけどね。
完二のキャラクター紹介するのを忘れていた。次回も出て来るので、その時にでも書きたい。完二くんは次からは相当狂言回し的なギャグキャラとしての登場になるんだけど。
ゲームでのキモだったペルソナ合体がついに表現されることになった。ベルベットルームの存在意義も、実はこのペルソナ合体のためにあると言っても過言ではないほど、ゲームでは大事なシステムなんだよね。どうやってアニメで表現するのか、ずっと楽しみにしていたんだけど、戦闘中に合体というのは驚いた。
次回は林間学校。日常パートでもかなり面白いシーンが多かった部分だったと思うので、次回も期待したい。千枝と雪子の料理の腕前が分かるぞ! 完二のおっとっとも期待。
タイトルは毎回自分で和訳しているのだけど、今のところ大外ししていないので安堵している。次回はまさに予告中に陽介が言ったセリフ。
次回「We've lost something important again(俺たちはまた大事な何かを失った……)」に続く。
↑ 「また」と言っているところが気になる(笑)。
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