温泉旅行最終日「熊本城での死闘」ほかいろいろ

 1日目の「湯布院」編の旅行記はこちら。
 2日目の「黒川温泉」編の旅行記はこちら。


 さて3日目。今日は大阪へ帰る日です。ツアーでは無い、レンタカーでの気まま旅の特権は、どこを観光するかは自分たちで決める事が出来るという事です。

「せっかくだからコンバット越前調に)、熊本城に行こう」

 午後2時50分熊本空港発大阪行きに間に合わせる為の観光地として、熊本城を選択しました。というか、熊本の名所としてここしか知らないという不勉強ぶり。ツアー客と大して変わらん自由度、特権放棄ですね。何事も、事前の準備、調査が重要だと痛感した次第です。

 とにかく朝食後、美しい黒川温泉を後にして、熊本市方面に向かう事にしました。


 さようなら、美しい黒川温泉。これは天気の良い前日に写した写真だけどな。



 黒川温泉から熊本城へは、ほぼ熊本県を横断しなければなりません。かなりの山道でしたが前日の様な寒さは無く、路面凍結の心配はありませんでした。ただ朝から降り始めた雨の影響か、数十メートル先が見えなくなるような濃霧が立ち込め、非常に危険な行程でした。

 車載ナビが無ければ、道中150回ぐらいは道に迷い、熊本城に着くまで3日は掛かっていたでしょう。それほど複雑な順路、濃霧だった訳です。当方が方向音痴だという点も見逃せませんが(自分でも嫌になるぐらいの方向音痴。響良牙ロロノア・ゾロマサキ・アンドーか当方か、というぐらいの音痴レベル)。

 とにかく経験した事の無い濃さの霧です。前を走る車の後ろに付けばまだ楽に走れますが、先頭車両は相当な負担の様で、次々とハザードランプを付けて路肩に停まり、脱落していきます。後続が通過後、すぐに列に復帰するなど、みんな先頭を走りたくない感が満載です。で、暫くしてついに当方の運転する車の前に車が無くなりました。嫌だな〜と思いながら曲がりくねる道を進むと、霧が晴れて来ました。日頃の行いが良い当方に天が報いた訳でも無く、単に山道が終わっただけらしいです。

 熊本城はどうやら市の中心部にあるらしく、道が混んで来ました(というか、熊本市が熊本城の城下町として発展したというべきでしょうか。ナビの地図でも県庁や熊本市役所が、熊本城の近くにありました)。お昼ごろに到着。景観に配慮してでしょうか、それとも地元の英雄の加藤清正公に遠慮してでしょうか、周囲に高い建物が少なく、熊本城の大小二つ並びの黒い天守閣が雨上がりの空に映えています。石垣の急勾配などは城造りの名人と謳われた清正公の手によるものだけあって、素晴らしいものです。機能美、という文言の典型例とでも言うべきでしょうか。日本三大名城と言われるのも納得です。



 駐車場に多数の観光バスが停まっています。何やら嫌な予感がします。入口に向かうと、向こうからうるさい外国語が……。九州から近いとはいえ、この円高ウォン安のご時世に、なぜこうも出会わなければいけないのでしょうか? ショッキングピンクのおばちゃんと黒づくめのおっちゃんの見た目アポロチョコ一行、再びです。もしかしたら、湯布院で見た一行と同じ集団かも知れません。同じ格好でしたから、むしろそう思いたい気もします。


 フロントガラスに怪しい文字が……。



 彼らは我々より先着していたので、一緒に見学する事にはならないと思っていましたが、後ろからも同じ言語を話す同じ格好の集団が現れ、今旅行中一番の渋い顔をする当方。どんだけおんねん?

 豊臣秀吉朝鮮出兵の折、最も戦功を挙げたのが加藤清正で、云わば彼らのご先祖を最も殺戮した悪い武将だと教育されているはずなのです。日本人の悪辣さを幼い頃から教え込むのに、格好の存在。加藤清正がどういう武将なのか、彼らが知らないはずは無いのです。それなのに清正公のコスプレをしたスタッフと一緒に記念撮影をしたり、観光地によくある顔の部分に自分の顔を覗かせる板の、加藤清正バージョンから顔を出して楽しそうにしている彼らを見て、不思議な気持ちになりました。



 憎き加藤清正と子どもを並ばせて記念撮影する親日派の韓国人たち。



 「日本博士JOY」という漫画をご存知でしょうか? 韓国人のユン・ソインという人が日本の事を描いた漫画です。この人は当方が敬愛する数少ない韓国人の一人ですが、その彼が九州旅行に来た時の事を「日本博士JOY」の中で触れています。相当に知日派であり親日派でもある彼でさえも、加藤清正は「憎き敵だった」と言っています(それだけで思考を完結させないところが普通の韓国人と違う点で、あの国で親日を標榜する事の困難さと併せて尊敬に値しますが)。つまりそれほどまでに「加藤清正=日本人は野蛮」という図式が浸透しているのです。ただ、眼前で無邪気にはしゃぐ韓国人観光客とのギャップが気になるところです。おそらくよほどの親日家の団体さんだったのか、よほどのご都合主義者の団体さんだったのかの、どちらかなのでしょう。

 熊本城では無料でガイドさんが付いてくれるおかげで、初めて訪れたとしても殆どの事は理解出来ます。ガイドさんは良かったんですけど、変な女性観光客が常にガイドさんと我々の間に割り込んで来るのには閉口しました。ガイドは同時に観光する人みんなのものだから、こちらで独り占めする気は無いですが、彼女はあからさまに独り占めする気満々です。一般人の当方が知らない様な事を熱心に質問したりして意欲満々なのは分かるんですけど、その容貌と空気の読めなさから「これが噂に聞く『歴女』というものなの?」と思いました(どうでも良いけど、『戦国無双』とか『戦国BASARA』とかの腐女子向けゲームに出ている加藤清正って、そんなに萌えタイプのキャラなの? ゲーム感想ブログの主としては申し訳ないほどに不勉強なんですけど、プレイした事が無いので分からないんです。本物の清正公は髭面の怖い顔のおじさまなんですけどねぇ……?)。全ての歴女さんがこんなタイプでは無いのでしょうが、日本人でもマナーを守れない人が居るという事は素直に認めないといけない様です。

 さて、変な人間たちに翻弄されながらも、挫けず見学を続けます。50億円以上の予算を投じて再建され、NHKなどでも特集された「本丸御殿(ほんまるごてん)」に入ります。当時のままの再現の為、木々を組み合わせた手間をかけた作りになっていて、興味深く面白かったです。御殿の中の白眉とも言える大広間での出来事。フラッシュの使用は禁止ながら撮影可能だったのですが、ここでも歴女が悉(ことごと)く当方の眼前から動かず、シャッターチャンスを邪魔して来ます(本当)。悩まされながらもやっとの思いで撮影したところ、横からフラッシュの強烈な光を感じました。見ると撮影した中年女性が職員に注意されるのを無視して、素(す)の顔で逃亡して行きます。後を追ってみると、さっきの素の表情がウソのような鬼の形相で、連れの娘さんらしい若い女性に罵声を浴びせています。おそらくフラッシュを作動させたままの(共有の)カメラを手渡されて撮影し、恥をかいた事に逆切れしているのでしょう。予想通り、韓国語でしたが。



 フラッシュ禁止の「昭君之間(しょうくんのま)」。案の定、ここでもトラブルが……。



 ガイドさんのツアーが終わり、天守閣にも登ってみたかったのですが、飛行機の時間が気になるので残念ながら断念して、熊本城を出発します。天守閣からのパノラマ展望は是非撮影したかったのですけどね。

 熊本空港に着いて、名物の熊本ラーメンを食べ(空港内のラーメン店ですが、これはとても美味しかったです)、おみやげを物色します。といっても当方はおこづかいが尽き、同行者の買い物に付き合っただけですが。……で、そんな時に因果な事にも見つけてしまったのがこれ。


 尾田栄一郎って、熊本出身だったのね〜!! 「ワンピース」の何巻かで読んだはずだけど、忘れていました。お金の無い当方は「『熊本限定チョッパーマン』、死ぬほど欲し〜っ!!!」と人目も気にせずに駄々をこねましたが、同行者の誰も当方と目を合わせず、買ってくれませんでした。今旅行中、一番残念だった事は、実はこれです。今写真を見ると、横の「すいかの力!」の絵も相当気になります。ただの消化薬なんでしょうけど。ちなみに同行者たちがおみやげに買ったのは、薩摩名物「薩摩芋タルト」でした。鹿児島なんて今回一歩も行って無いじゃん!? ……まぁ美味しかったけどさ。温泉目当てじゃ無く、熊本限定チョッパーマン欲しさに熊本再訪を期しました。

 悪天候で出発が遅れたものの、飛行機で無事大阪国際空港に到着。相当揺れて怖かったです(……余談ですが飛行機に関しては、当方言いたい事が一言どころか10兆言ぐらいありまして、いずれこのブログででも書きたいと思います)。



 いろんな意味で満喫した2泊3日の旅行記でした。楽しんで読んで頂けたなら、嬉しいです。


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